痛みの悪循環について:不眠と痛みの関係

痛みが改善していくひと、痛みが慢性化して長引いてしまうひと

一体なにが違うのでしょうか。

前回のブログでは、「破局的思考」というネガティブ思考が関係していことをご紹介しました。

もうひとつの要因として「不眠」がおおきく影響しています。

下の図をご覧ください。

痛みの破局的思考(ネガティブ思考)があるひとは、不安、恐怖により痛みへの警戒心がつよくなります。

その結果、痛みを避けようとするため動かなくなって、筋力が低下して、より痛みを強く感じてしまうのです。

これが「痛みの悪循環」です。

さらに、この図のなかの「不眠」という言葉にお気づきでしょうか。

「眠れない」ことで、不安や恐怖というネガティブな感情がより強くなることもわかっています。

つまり、不眠そのものが痛みの悪化と密接に関係しているのです。


では、この痛みの悪循環をとめるには、どのようなことが必要なののでしょうか。

つづく・・・

痛みの悪循環について

身体に痛みが出た時、みなさんはどのように対処されますか?

おそらく、痛み止めを飲んだり、痛みが出る動作を避けたりするのではないでしょうか。

不安になったり、心臓がドキドキしたりすることもあるかもしれません。

このように痛みを無意識に避けたり、交感神経が緊張するのは本能的な反応といえるのです。

つまり、「痛み」は身体にとって警告信号のような働きがあります。

これは急性痛(発症から3ヶ月以内)の特徴です。


では、慢性痛(発症から3ヶ月以上経過している)の場合はどうでしょうか。

「痛み」に警告信号としての働きは無くなり、痛みそのものがひとつの「病気」となります。

痛みの範囲が広がったり、痛む場所が冷えてきたり、眠れない、疲れやすいなど・・・

これらの症状は痛みが慢性化して、脳が過敏になっているサインです。

それだけではありません、慢性痛の患者さんは、通常のひとにはない独特な考え方を持っています。

それを「破局的思考」といって、以下のような特徴があります。

・痛みのことばかり考えてしまう

・このままどんどんひどくなってしまうのではないかと不安

・自分ではこの痛みをどうすることもできない

・痛みがあるからなにもできない


もし、いま身体に痛みを持っていて、これらの考えに当てはまる場合は、「痛みの悪循環」に入ってしまっている可能性があります。

つづく・・・

コロナ後遺症による異臭症治癒

コロナ後遺症による異臭症が治癒した症例を共有します。

当院では数多く異臭症の症例があり、そのほとんどが回復・治癒しております。


20代女性

X年7月にコロナ陽性、解熱した後から味覚がまったく無くなってしまう。

8月に耳鼻科を受診しましたが、特に異常は見つからず。

10月ごろから甘い臭いや油が腐ったような異臭がするようになる。

食事はフルーツや冷やご飯などしか食べられない状態。

特に、揚げ物、焼いた肉や魚はまったく食べられませんでした。


東洋医学的には脾虚胃熱として、印堂や合谷、行間などに処置。

徐々に食べられる品目が増え、2ヶ月後には異臭の程度が半減しました。

3ヶ月後には揚げ物が食べられるようにまで回復。

半年後には日常生活に支障がない程度まで改善したため治療終了となりました。


当院の異臭症の患者さんのほとんどは約6ヶ月〜1年で症状は消失or寛解しています。

鍼灸がとても有効な症状なのでお困りのかたは一度ご相談ください。

フェザータッチの重要性:触れることの意味

今日は鍼灸師のもっとも重要なスキルのひとつ「フェザータッチ」についてお話します。

フェザータッチがていねいに、正確にできるかどうかは鍼灸の効果におおきく影響するのです。

フェザータッチとはその名のとおり、羽毛で皮膚をなでるような軽微なタッチのことです。

東洋医学では「切診」といわれる診察方法がありますが、「切」というのは、切り離すという意味ではありません。

もう一つ、ぴったりと密着するという意味があります。

術者の皮膚と、患者の皮膚がフェザータッチを介してぴったりと密着してる状態。

触れられている患者さんはとても心地よい感覚です。

一方、術者は患者の皮膚(ツボや経絡)からさまざまな情報を読み取っています。

発汗、軟弱、緊張、硬結などなど・・・

その皮膚からの情報をもとに、鍼を打つツボを選択するわけです。

しかし、フェザータッチで「切診」を行うと、診察そのものが「治療」という意味を持ちます。

すなわち、すでに鍼を打つ前から、フェザータッチにより気の流れが整い、治療が行われているのです。


話は変わりますが、とある医師が「すべての患者に必ず聴診器をあてる」とおっしゃっていました。

体に触れるという行為に治療的側面を持つのは、鍼灸師だけではありません。

もちろん「触れる」という行為が、信頼関係のうえに成り立つことは忘れてはいけません。

気圧の低下による不調

低気圧が近づくと、頭痛やめまい、関節痛などの体調不良が起こりやすくなります。

これは気圧の変化が自律神経に影響を及ぼし、体内のバランスが崩れるためです。

東洋医学では「湿邪」が経絡や臓腑に侵入することでおこると考えられます。

鍼灸治療は、気血のめぐりを調整し、水分の滞りを改善させます。

陰陵泉、外関、復溜などが有効です。

漢方では、雨天時の頭痛、吐き気、めまいには五苓散を、

動悸、のぼせを伴うめまいや立ちくらみには、苓桂朮甘湯が有効です。

定期的な鍼灸治療で、気圧変動に強い体づくりを目指しましょう。

体調が優れない時は、ぜひ当院にご相談ください。

帯状疱疹後神経痛の症例

帯状疱疹後神経痛に鍼治療がとてもよく効いた症例をご紹介します。

70代男性

X年1月から右のそけい部〜殿部にかけて帯状疱疹を発症されました。

痛み止めやビタミン剤を処方されましたが効果なし。

4月にT病院にてそけいヘルニアの手術をされましたが、術後もそけい部痛みが軽減せず、

主治医のドクターから当院をご紹介いただきました。

主治医の見解としては、そけいヘルニア術後の痛みが長引くことは稀であることから、

「帯状疱疹後の神経の炎症が長引いている状態」とのことでした。


当院の見立てでは、帯状疱疹後神経痛として

蠡溝(れいこう)に5番鍼を15分置鍼。

直後から明らかにそけい部の痛みが軽減。

5診目には10だった痛みが1~2まで軽減。

服が擦れて痛かったのもほとんどよくなりました。


蠡溝は肝経の湿熱をとるツボとして有名。

神経の炎症が、蠡溝の清熱作用により軽減したと考えられます。

帯状疱疹後神経痛には鍼治療が有効だと改めて実感した症例でした。

スタッフの神対応がすばらしい!

今日の臨床での一コマ

手関節の痛みを訴えている女性。

「もしかしたらリウマチじゃないか心配しているんです」とのこと。

担当のN先生が、手関節の診察をすばやく行い、

「リウマチの疑いもあるので、一度専門の先生に診てもらいましょう」と説明してくれました。

その後、紹介状まできちんと書いてくれました。

横から見ていて、すばらしい対応だなと感心。

きちんと病気の鑑別を行い、専門医の先生へつなぐとこができました。

リウマチは早期発見・早期治療がもっとも重要です。

まちの鍼灸師が第一発見者になることもあるかもしれません。

それは患者さんにとっても大変価値のあることです。

臨床力をぐんぐん伸ばすN先生の神対応でした!

医療機関からのご紹介増えてます

ここ最近、病院やクリニックからご紹介いただく患者さんが増えています。

きっかけとしては、西洋医学ではなかなか治らない病気に「鍼を受けてみてはどうですか?」と医師から尋ねられたり、

患者さんのほうから「いい鍼灸院を教えてください」と医師に相談したりするケースがあるようです。

多くの場合、医療機関から「診療情報提供書」という紹介状が送られてきますので、きちんと返信をすることも心がけています。

地域で長く頑張っていたおかげで、地域の医療機関とのつながりが徐々にできています。

医師から「長岡治療院なら安心してかかれますよ」と言っていただけるよう、スタッフ一同で日々研鑽しています。

外関(がいかん)の効能

風邪を引くと、外関というツボが冷えたり、発汗する反応が出ることがあります。

このツボは特に以下のような症状に効果があります。

  • サラサラの鼻水
  • 悪寒
  • 咳(痰が白色)

これらの症状は、体が冷え(寒証)に傾いている証拠です。

こうした風邪の諸症状には、外関へのお灸が有効です。

また、漢方では小青竜湯がこれらの症状に対して有効とされています。

こちらを参考につぼを探してみてくださいね

https://tsubonet.com/case_tsubo/gaikan-pic-film

原因不明のめまい:PPPDかも?

今日は「PPPD」についてお話しします。

PPPDとは「持続性姿勢誘発性めまい」と呼ばれる症状のことで、

雲の上を歩いているようなふわふわ感が3ヶ月以上、毎日続いている状態を指します。

この病気には以下の3つの特徴があります。

1.立ったり歩いたりすること

2.体を動かしたり、動かされたりすること(エスカレーター、電車、バスへの乗車など)

3.複雑な模様や激しい動きのある映像を見ること

(大型店 舗の陳列棚、細かい書字、映画、スクロール画面、ドローン撮像動画 など)、により症状は増悪します。


原因はさまざまで、過去のめまいの経験や、心理的ストレスが影響することがあります。

PPPDの治療には、薬物療法やリハビリテーション、心理療法などがありますが、鍼灸も効果的なアプローチの一つです。

鍼灸は、身体の自然治癒力を引き出し、ストレスを軽減し、自律神経のバランスを整える効果があります。

これにより、めまいやふらつきの症状が改善されることがあります。

もし、PPPDにお悩みの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度鍼灸を試してみてください。

身体と心のバランスを整えることで、より快適な生活を取り戻すお手伝いができるかもしれません。

参考文献

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/123/2/123_170/_pdf

https://www.med.niigata-u.ac.jp/oto/common/file/dizzy.pdf