臨床見学の学生

鍼灸学校の夏休みの間

臨床見学の学校指定治療院の当院は

10人程度の見学生を受け入れている

単位制となっていないので

見学に来る学生は皆真面目で熱心

但し皆治療法に迷いがある

どういった診たて方をすればよいのか

学校では統一された東洋医学的診断法がないといっても過言でない

何度もこのブログで叫んでいるが

全国統一して黄帝内経・素問・霊枢を教科書にすべきだ

この2400年前の東洋医学の永遠不変のバイブルを

学校教育で取り入れることで学生の迷いが少しはなくなるはず

あとは卒後に様々な治療法を選択して自らの生涯教育とすればよい

卒後の研究や勉強さえできない鍼灸師は自然淘汰される

打鍼研修会

昨日は所属する中医学研究会北辰会の夏季特別研修会があった

スタッフ3名とOGと一緒に参加

テーマは「腹部打鍼」

午前は夢分流腹診をベースとした腹診の手順と実技

午後からは参加者同士で体表観察を交えて

腹部の邪に対して打鍼だけで整える治療を

繰り返し反復練習した

”相曳之鍼”の微妙な圧の加え方で速やかに

脈状や腹部の邪の変化が現われることに感銘した

今日から臨床で早速で活用して効果を実感

北辰会方式の基礎を確認してリセットし

日頃の疑問点を解消することができたので

有意義な研修会だった

[httpo://www.n-acp.com

リベド血管炎の症例

30代♀

中学生から下肢に紅斑が発症

当初は軽度であったが20才から悪化

下腿内顆周辺に潰瘍ができ激痛

悪化と軽減を繰り返し

30才で「リベド血管炎」の診断

歩き過ぎる、疲れる、梅雨時等に悪化

内出血→潰瘍→激痛の繰り返しで日常生活に支障あり

難病治療に取り組む当院HPをご覧になって来院

弁証:お血症・湿困脾土

治法:駆お血・健脾・去湿

取穴:公孫・三陰交・太衝など一穴のみ適宜取穴

   潰瘍の形成される経絡の井穴に刺絡

経過:今年の梅雨~夏は潰瘍ができない

   疲れたり、下肢に負荷をかけても悪化しない

   生理血塊がなくなり、生理血色も暗紅色がなくなる

   お血が駆除されたことが確認

   
結語:まだ経過観察が必要であるが

   西洋医学では治療法がないこの病気にたいして

   中医学による弁証論治と少数鍼、刺絡が効果的であり

   治癒への可能性を見出せたことは大きな意義があり

   この病で苦しむ患者さんへの朗報となるであろう

低音性の耳鳴り

40代♀

開業した24年前からの患者さん

当初の椎間板ヘルニアの治療治癒しており

健康管理で週に一度の治療を続けている

時に右の耳鳴り(ブーンという音)

が増減する

弁証は「肝腎陰虚症」

治法は右照海

最近は睡眠不足がなければほぼ消失した

腰部脊柱管狭窄症の重症症例

70代♀

主訴:右大腿部の激痛

現病歴:今年の4月ごろから痛みで歩けない

    寝起きや歩行時に右大腿全面~内側の激痛

弁証:気滞血お・右胆経の気の偏在

初診:平成24年5月14日

処置:当初は足臨泣や三陰交で駆お血の処置をしてある程度の効果があったが

   MRI検査を依頼した医師からはL3/4/5後方辷り症、L4/5にて脊柱管狭窄

   の診断で、手術の検討を打診された

   その後、帯脈穴を使うようになってから、症状は緩解し、歩行痛、運動痛は

   消失し、検査を依頼したクリニックを再受診した際には、Dr 看護師等の

   スタッフが歩行の状態の変化に驚き、手術も見合わせることになった

   
   MRI画像所見や臨床所見で重症な脊柱管狭窄症であっても

   弁証論治と取穴が適切であれば、鍼灸治療は非常に有効であり

   画像所見に頼って安易に手術をしなくてもよい症例を

   当院では数多く経験している

痙攣性発声障害の症例

痙攣性発声障害(SD)

20代♀

主訴:声を出すと喉が締め付けられたり、会話が途切れ途切れになる

現病歴:7年前、カラオケで高い音が出にくくなり異変に気づく

    主訴は徐々に悪化、ボトックス注射受けるが変化なし

脈診:浮・緊・細

舌診:淡紅色・舌尖紅

弁病:梅核気

弁証:肝鬱気滞

処置:蓮風鍼3番で太衝に置鍼10分・第8診目から百会に置鍼20分

経過:第2診目から症状緩解、10診目からはほとんど症状発症しないので

   休んでいたパートを再開し、体の疲れはあるが主訴は発症しない

表情も明るくなり、治療中に笑顔も見られる。経過極めて良好

特発性膝関節骨壊死

【特発性膝骨壊死とは】

大腿骨の遠位部(膝の関節をつくっている部分)の骨が壊死した状態

60歳以上の女性に好発、最近増加傾向にある

まれに大腿骨外側顆部の関節面に発生することもある

急激な膝の痛みで発病する、夜間痛が多く、関節液が溜まることもあるが

炎症期には歩行困難となることが多い

レントゲンには骨壊死は映らないので、MRI検査で確定診断ができる

西洋医学的にはボナロン(異所性骨化阻止薬)が処方されるが

難治性である

【鍼灸症例】

60代♀

2か月前突然発症、MRI検査で特発性骨壊死の診断

夜間痛強く、絶対安静を指示される

膝関節内側部の腫脹・発熱・発赤(+++)膝関節屈曲(+++)

脾経の経絡経筋病と考え、右公孫に蓮風鍼を10分置鍼

直後に発熱(-)発赤(±)腫脹(+)

3回の治療で夜間痛(-)自発痛(-)発熱(-)

たった一本の鍼の効果におおいに喜ばれる

発症後2カ月経過し関節拘縮が残存しているが,可動域は改善しているので

正座も可能になる見込み

鍼灸中心の統合医療その2

前回報告したように名大病院総合診療科で

鍼灸師を中心とした統合医療の研究が始まろうとしている

東洋医学、西洋医学の両面でバランスのとれた知識と技術を持った鍼灸師を募集している

つまり、医師や看護師と西洋医学の言語でコミュニケーションが取れ

東洋医学では専門的な知識と技術を有するスキルが求められているのだ

愛知県内で選考作業を早急に進めているところであるが

無報酬なのでどの程度の頻度で研究会に出席するのかを打診しているところだ

臨床をしながら参加するにはそれなりの覚悟が必要だし

既に申し込みはあるが、慎重な選考が必要だ

我こそはと手を挙げる志の高い鍼灸師は御一報を

鍼灸中心の統合医療

大阪大学で立ち上がったエビデンスに基づく統合医療研究会や

プライマリ・ケア連合学会の中にも、鍼灸の勉強会が立ち上がっており

医師の鍼灸への関心は益々高まってきている

和漢が医師国家試験に出題されるまでになったように

鍼灸やその背景となる東洋医学の考え方を医師が知ることは、必然的になるはず

名古屋大学医学部附属病院総合診療科外来における

研究への協力依頼が愛知県鍼灸専門師会にあった

(以下名大病院からの依頼内容の要約)

上記のような流れの中で、統合医療チームにおいては

鍼灸師に是非とも中心となっていただく必要がある

倫理審査委員会に具体的な研究協力者名を提出することが必要となり

名古屋市内の鍼灸師から、どなたかをご推薦いただけないでしょうか。

異なる体系にたつ療法を否定しないオープンな考えをもち、

筋骨格系以外の症状に対しても対応することができる

伝統的な鍼灸の考え方を大事にしている方が希望です。

ようやく名古屋でも統合医療チームに鍼灸師が関わる時代が来た

しかも鍼灸師が中心となって統合医療の研究を進めたいというのだ

2年前に始まった「鍼灸漢方を柱とした新しい日本型医療の創生の研究」が

名古屋で動き始めたことを実感する

統合医療における鍼灸

名古屋大学付属病院 総合医療チームから、外来診療への鍼灸師推薦の依頼があった

大阪大学で立ち上がったエビデンスに基づく統合医療研究会や

プライマリ・ケア連合学会の中にも、鍼灸の勉強会が立ち上がっており

医師の鍼灸への関心は益々高まってきている

また、鍼灸やその背景となる東洋医学の考え方を、医師が知る必要が差し迫ってきている

名古屋大学医学部附属病院総合診療科外来における研究への協力依頼について

上記のような流れの中で、統合医療チームにおいては

鍼灸師に是非とも中心となっていただく必要があるということで

倫理審査委員会に具体的な研究協力者名を提出することが必要となり

名古屋市内の鍼灸師から推薦できる鍼灸師派遣の依頼が来ている

名古屋では公立病院で鍼灸の研究が遅れていたが

名大病院総合診療科で鍼灸師を中心とした統合医療の

臨床研究が現実的になってきたことは

医療改革の潮流が東洋医学に求められてきたことを示し

患者さん中心の医療(統合医療)が動き始めているのは朗報である