今年を振り返って

久しぶりの院長の投稿です

本日午前6人の急患さんの治療を終わり今年の診療が終了

12月に入って猛烈に忙しくスタッフもフル稼働

10人のスタッフ全員が元気でいてくれたのがなにより

今年のトピックス

①春からフレッシュな新人2人がスタッフに加わった

 どちらも開業目標がありとても優秀で教えがいがある

②9月から長男の長岡哲輝がスタッフに

 明治国際医療大学修士課程を修了後附属病院で

 外科手術後や、がん化学療法の副作用について臨床と研究を深め
 
 多職種医療連携の在宅医療にも携わった経験を活かして

 将来の院長候補として頑張ってます

③全日本鍼灸学会学術大会が来年5月に名古屋市で開催されるこの機会に

 「リベド血管症の一症例」の症例報告の抄録を慌ただしく作成し投稿完了

 この疾患についての学会発表は過去一度もないので参加者の反応が楽しみ

 今後は多数ある有効症例について来年以降の学会発表の為の資料作りを進めたい

④9月に胆囊結石の手術で入院

 スタッフたちの勧めで長期間休養させていただきました(感謝!)

 担当患者様には大変ご迷惑ををおかけしました(陳謝!)

⑤あらゆる疾患、特に難病に於ける神魂の関わりについての理解を深める

 正しく病態を分析する上で七情の過不足の問題は非常に重要

 患者自身が気づいていないことが多く

 信頼関係を深めながら、ご自身で気づいていただくことがキモ

※今年を振り返る最後にいち天文ファンとしてこの動画を贈ります

(wikipediaより)
ペイル・ブルー・ドット(英語: the Pale Blue Dot)とは

1990年に約60億キロメートルのかなたからボイジャー1号によって撮影された地球の写真である

太陽系家族写真の1枚として撮影されたこの写真では、広大な宇宙に対して

地球は0.12ピクセルの小さな点でしかない

ボイジャー1号は当初の目的を達成して太陽系を離れるところであったが

カール・セーガンの依頼を受けたアメリカ航空宇宙局 (NASA) の指令によってカメラを地球に向け、

この写真を撮影した。撮影された地球が淡く青い点(a pale blue dot)であったことから

この写真自体が「ペイル・ブルー・ドット」(Pale Blue Dot)と名付けられた

2013年現在、地球から最遠の場所で撮影された地球の写真である

このブログを見ていただいた全ての方に深く御礼申し上げます

皆さま健やかで素晴らしい新年をお迎えください

今年も残り2日

こんにちは、長岡哲輝です。

今年の診療も残すところ今日と明日の2日となりました。

みなさん今年はどんな一年でしたか?

私は、京都の明治国際医療大学から長岡治療院にきて早4ヶ月が経ちました。

今年の漢字は「災」という漢字ですが、

私自身、今年の1年を漢字で表すなら「繋」ではないかと思います。

京都の大学では、研修指導生という新制度に1年目で入ることができたのは

私の恩師である教授からのお声掛けがあったからです。

また、この一年で病院内や学会などで医師、看護師、理学療法士など様々な医療職種と関わることができ、

人と人との繋がりを強く感じました。

ブログで紹介させて頂いたアサンテナゴヤの方々との繋がりも、偶然のきっかけがあったからです。

これまで「点」として認識していた自分の中で経験が、

長岡治療院で臨床に携わるなかで、それが「線」として繋がっていると感じます。

残り2日、みっちりとつまった予約。

皆さまが穏やかな年末を過ごせるよう、心をこめて治療させていただきます!

風邪にショウガ

こんにちは、長岡哲輝です。

ココ最近、風邪が主訴の患者さんが増えています。

50代、女性の1例です。

風邪をひき、喀出しにくい痰と咳が持続している状態。

脈は浮、やや数(早い脈)、舌の赤みが強く、苔が無い。

東洋医学的には、風熱証、肺陰虚と考えました。

問診していると、風邪のひきはじめにショウガとにんにくを大量に摂取したとのこと。

一般的には、ショウガやにんにくは風邪に効く!という印象がありますが、

内熱タイプ(体に熱がこもっている)の方は、ショウガ、にんにく、ねぎ、にら、などは

内熱をさらに悪化させ、風邪をこじらせてしまう危険があります。

患者さんは、もともと内熱タイプ。

風邪をひいて熱がこもったところに、更に食材の過剰摂取から内熱が悪化してしまいました。

対処法としては、体を冷やす野菜(白菜やトマト)や、果物(梨や柿)を摂取すること。

治療は、肺にこもった熱を取る“尺沢”や“魚際”、清熱作用のある“風池”や“大椎”に鍼をしました。

食材もそれぞれツボと同じように、性質があります。

ショウガやにんにくは体を温め、発汗させるため、

内熱(体に熱がこもっている)、陰虚(体の水分が不足している)体質の方は要注意です!

気候と坐骨神経痛

こんばんは、長岡哲輝です。

一段と寒さが強くなって、朝と日中の気温差が大きくなっています。

患者さんが訴える症状でこの時期、特に多いのが「坐骨神経痛」です。

神経痛を東洋医学では「痺証」といって、“寒邪(冷え)”が経絡に滞っている状態と考えます。

日中気温が上がったときは、”風邪(暖かい風)”により皮膚の?崕理(毛穴)が開きます。

そこに、夜から早朝にかけて気温がぐっと下がると、開いた?崕理から”寒邪(冷え)”が侵入して

坐骨神経痛などの神経痛を発症するのです。

“寒邪”は下半身から侵入することが多いので、しっかりと腰や殿部を温めることが重要です。

また上半身を厚着してしまうと、発汗してさらに?崕理が開くので、

上半身はなるべく薄めにして上着で調節するといいでしょう。

寒暖差が激しい日は、汗をかかない程度の上着に、厚手のタイツや靴下を合わせるのがベストでしょう。

気逆咳

こんにちは、長岡哲輝です。

慢性的な咳が主訴の30代女性。

先週から風邪をひき、咳が増悪したとのこと。

風邪(外感病)の場合、咳、咽頭痛、鼻汁、悪寒などの症状が同時期に起こった場合を指します。

体表観察では、脈が浮いてきたり、ツボが発汗したりする反応を示します。

患者さんの訴えは「咳」のみ、体表観察では脈は沈んでおり、太衝や行間は実の反応。

よく問診を行うと、家庭でのストレスが長引いていて、精神的にとても落ち込んでいるとのこと。

この患者さんの咳は、東洋医学的に「気逆咳」といいます。

長期的なストレスは、気が滞るだけでなく、上に突き上げてしまう「気逆」という状態になります。

突き上げた気は、肺の機能を阻害して「咳」が出現します。

治療は、突き上げた気を引き下げる「行間」というツボに鍼をしました。

置鍼後、咳はピタッと落ち着き、気分もリラックスしたとのこと。

気逆咳に対して鍼治療は、即時的な効果を期待できそうです。

フィジカルアセスメントの重要性

70代男性、坐骨神経痛(大腿後面の痛み)を主訴に来院される。

信頼をおいている他院の先生から「あなたは坐骨神経痛になりますよ。」と言われたあとから、

本当に坐骨神経痛になったとのこと。

坐骨神経痛では、間欠性跛行、SLR陽性、感覚障害、筋力低下、腱反射の消失

などの理学検査や神経学的所見に異常をみとめます。

また、神経痛を疑う場合、痛みの性質は「ピリピリ」「ジンジン」「ズキズキ」など

比較的、鋭い痛みが起こるのが特徴です。

患者さんの訴えは、“なんとなくだるい”

もちろん神経学的、理学検査所見に異常はありません。

軽い筋肉の緊張が“なんとなくだるい”を引き起こしたと考えました。

坐骨神経痛では無いことを説明し、筋の緊張を緩める鍼とストレッチの指導を行いました。

患者さんの病態を、鍼灸師が鑑別するためには、

フィジカルアセスメント(問診、触診、聴診などの客観的な情報)がとても重要です。

時間はかかりますが丁寧に行うことで、適切な「病態把握」と「病状説明」に繋がるのです。

ゲップと期門

こんにちは、長岡哲輝です。

40代 女性

ゲップを主訴に来院中。

数回治療を行っていましたが、一向に改善せず。

体表観察で、右の期門に顕著な圧痛と実の反応あり。

1番鍼で10分置鍼したところ、ぴたっとゲップが止まり、抜針直後に排便もあり。

ゲップが治まっただけでなく、「刺鍼直後にのどや脇腹に響く感じがあった」とのこと。

普段常用しないツボのため、改めてツボの穴性を確認しました。

期門は足厥陰肝経の募穴です。

効能としては、疏肝理気、清熱肝胆、清血熱などですが、

期門は足太陰脾経との交会穴のため、脾胃の病(嘔吐、ゲップ、胃痛)などにも効果があるとの記載がありました。

また、肝経は側腹部を通り、のどをまとっているので

脇腹やのどへの響きがおこることにも納得しました。

つまり、この患者さんのゲップに関しては、

肝の失調(気のめぐりがスムーズでない状態)により

脾胃の働きが低下した“肝胃不和”であると考えられました。

「ゲップに期門」は、今後の治療の選択のひとつとなりました。

本庶佑教授のノーベル賞受賞

こんばんは、長岡哲輝です。

本庶佑教授がノーベル生理学医学賞を受賞され、大きなニュースとなりました。

本庶佑教授は、がん細胞を抑制する免疫細胞にブレーキをかけるPD-1という分子を発見しました。

そのPD-1という免疫にブレーキをかける分子を阻害する薬“オブジーボ”を開発したことが

ノーベル賞の受賞につながりました。

現在がん治療は、手術療法、化学療法、放射線療法の3大療法が主流ですが、

新たに第4の治療として“オブジーボ”をはじめとする免疫療法が非常に注目されています。

免疫療法は、がんの種類を問わず全てのがんに適応と言われていますが、

今の所、一部の肺がんや皮膚がんにのみ適応されています。

今後は、がん患者の遺伝子情報を解析して、どのようながん患者に最も有効なのか研究が進められていくそうです。

2人に1人ががんにかかる時代ですが、がんは「コントロールできる慢性疾患のひとつ」

になる時代もそう遠くはなさそうです。

食欲不振の症例

こんにちは、長岡哲輝です。

今回は、食欲不振に対して、鍼灸治療が効果的であった症例を報告します。

症例 30代女性

主訴 食欲不振、胃もたれ、倦怠感

現病歴 以前から少食であったが、夏バテから食欲不振が増悪。摂取量の低下による体力の衰え、不安感が強い。

胃カメラでは、軽度の胃炎を指摘。

弁証 肝脾不和、脾胃気虚

治療 後渓、公孫、足三里(灸)、自宅でのセルフ灸を指導

経過 3診目から少しずつ食欲が出る。4診目には、食欲十分あり、顔色(気色)が良好になる。

肝脾のバランスを整えることで、数回の治療で食欲が改善し、摂取量が増加してきています。

西洋医学的には、消化管機能を整えることで食欲を改善させると考えられます。

また、鍼灸治療はグレリンという食欲ホルモンの分泌を促し、摂食中枢に働きかけている可能性もあります。

肩こりと後渓 その2

後渓は手太陽小腸経の兪木穴であり、督脈の主治穴です。

臨床経穴学では、督脈を通じさせることで痙攣を抑えたり、太陽経の疏通を促すと記載があります。

北辰会方式では、後渓は心肝の清熱作用、胆経の調節、陽気の調節の作用があるとされています。

心肝気鬱、心肝火旺、肝鬱化火など内熱傾向がある場合に用いると、数回の治療で寛解する例を経験します。

また、食いしばり(TCH)を併発している方には、聴宮や聴会など、

三叉神経領域の刺激を加えるとさらに効果的と思われます。

今後、肩こりの症例を蓄積して、より有効な治療を検討していきたいと思います。