肩こりと後渓

こんにちは、長岡哲輝です。

肩こりを主訴に、当院を受診される患者様は非常に多いです。

肩こりは、頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症、胸郭出口症候群などの運動器疾患によりおこるものと、

ストレートネックや不良姿勢、上肢帯のアライメント以上などの機能的な障害によりおこるものがあります。

そのどちらにも、大きく影響しているのがストレスです。

東洋医学的には、「肝鬱気滞」と考えられます。

肩こりに対する治療は、頸肩部の筋緊張部や支配神経に対して鍼治療(鍼通電)を行うのが一般的ですが、

肝鬱気滞がベースにある場合、「後渓」が有効な場合が多くみられます。

つづく・・・

患者との関わり方

こんにちは、長岡哲輝です。

水曜日に定例の院内勉強会を行いました。

今回の症例は、「咳」が主訴の30代女性の方でした。

問診をしていくなかで、持病の再発の不安、家庭内でのストレス、悩みを相談できない・・・

「咳」だけではない、様々な問題点が明らかになりました。

初対面の治療者に、自分の生活環境や家庭内の事情、精神状態について話すのは、

患者様にとって、とても勇気のいることだと思います。

私たちは、どんな治療者であれば病気で悩んでいる方の力になってあげられるのでしょうか。

鍼治療のスキルがあることや、診断力があることだけではなく、

また、「頑張りましょう」と励ましたり、「あなたの病気は〇〇が原因です」と

病気の説明をすることではないと思います。

「苦しんでいる人は、自分の苦しみをわかってくれる人がいるとうれしい」

という小澤竹俊先生の“援助的コミュニケーション”の重要性を改めて感じました。

鍼灸という力を借りて病気を治療していく過程には、「苦痛に寄り添い、支える」という

治療者の姿勢が、自然治癒力を引き出す力になるだろうと信じています。

国際疾病分類(ICD-11)について

こんばんは、長岡哲輝です。

2018年6月にWHOは国際疾病分類の第11版(ICD-11)を公表しました。

そのなかで、我々鍼灸師としてはとても重要な、“伝統医学”の分類が導入されました。

国際疾病分類とは、WHOにより国際的に定められた、疾病の分類や、世界共通のコードのことを指します。

例えば、発達障害でみられる、アスペルガー症候群、自閉症、知的障害などはすべて、

F84 広汎性発達障害という分類に含まれています。

今回、ICD-11に伝統鍼灸の分類が導入されるにあたって、

どれぐらい日本で伝統医学が使用されているかという調査が行われています。(今回は経脈病証のみ)

当院でも、全日本鍼灸学会に情報提供を行い、伝統医学の発展に協力しております。

今後の伝統医学におけるエビデンスや、ビッグデータに関する重要な取り組みと思います。

これが将来の療養費や保険適用の拡大につながる、ひとつのきっかけになります。

伝統医学に関わる鍼灸師として、今後も積極的に協力していきたいです。

北辰会スタンダードコース

こんにちは、長岡哲輝です。

昨日は、大阪で行われている北辰会のスタンダードコースに参加しました。

当院では、中医学を基礎とした“北辰会方式”を採用しており、毎月行われる定例会に参加しています。

昨日は、体表観察の実技練習と、正邪弁証、中医小児科学の講義を受講しました。

体表観察では、原穴を中心にフェザータッチの確認や、衛気を意識した切診を心がけました。

よく意識してツボを触ると、ツボから伝わる気の粗密(反発したり、吸い込まれる感覚)を確認することができます。

熟練すると触るだけで、ツボの虚実を見分けることができるそうです。

竹下有先生に陽池を触っていただいたあとから、体が温まり、発汗してきたことには驚きました^^;

体表観察は、北辰会では治療の一部であるという認識です。

丁寧な体表観察は、それだけで治療になってしまうということですね。

午後の講義も、基礎的な内容の復習から、臨床に即した内容まで幅広く学ぶことができました。

学んだことをしっかりと患者様にフィードバックできるようスタッフ一同頑張ります!!!

アサンテナゴヤ活動報告 その4

愛知医科大学の宮田先生のご講演の中で、特に印象的だった言葉があります。

“セレンディピティ”という言葉です。

ノーベル賞や科学的な大発見をきっかけに、よく使われるようになった言葉のようです。

ある時、アサンテナゴヤに全く見ず知らずの人が、多額の資金援助をしてくださったそうです。

その方は、偶然ホームページ上でアサンテナゴヤを知り、

活動内容に賛同して、支援をしてくださったといいます。

セレンディピティという言葉には

「予期せぬアクシデントから素敵な偶然に出会ったり、探しているものとは別の価値観に出会うこと。」

といった意味があります。

ふとしたことがきっかけで、幸運を掴みとるといった感じです。

僕がこのアサンテナゴヤの活動に興味を持ったのも、ある偶然がきっかけでした。

愛知県鍼灸師会が主催している、災害支援鍼灸の講習会を聞きに行った日のことです、

その日の夜は、鍼灸師会の先生方との懇親会に参加していました。

その時たまたま、隣の席に座っておられたのが石川佳子先生(アサンテナゴヤの理事)でした。

そこで初めてこのアサンテナゴヤの活動を知るきっかけになりました。

宮田先生の“セレンディピティ”という言葉をきいて、

今まで自分がたまたま取った行動や、偶然とおもっていた出来事には意味があるのでは。

と感じ、この言葉の意味を深く考えるようになりました。

つづく・・・