認知症予防その3

認知症の予防として

これまでは「頭の体操」や「指先のトレーニング」等が重要だと考えられてきた

しかし国立長寿医療研究センターの研究では

『有酸素運動』こそが一番の予防法という調査結果が出された

運動習慣のある人とない人で、認知症の発症率を比較した研究のひとつとして

ローリンらは、まったく運動しない人(a群)と

週に3回以上ウォーキングをする人(b群)

週に3回以上、早歩き程度の運動をする人(c群)を比較した

a群の認知症の発症危険度を1とすると

b群では0.67、c群では運動をしない人の半分、0.5の危険度だったそうだ

続きは次回に

認知症予防その2

認知症の前駆症状であるMCI段階での治療と予防について

MCI:mild cognitive impairment

以前からAD(65才以上で発症するアルツハイマー病)の

前駆期・初期の症状として様々な概念が提唱されてきたが

最近最も注目されているのがMICだ

現時点では認知症でも正常でもなく

近い将来ADへと進行する可能性の高い疾患

MCIと診断された人の10~12%が1年以内に

最終的には約半数がADへと進行したという報告がある

したがってMCIは、早期のADを意味すると考えられている

≪MCIの定義≫  

1.自覚的な記憶障害の訴えがあり、家族によってそれが確認される
2.運転や家計などの日常生活能力は保たれている
3.記憶以外の全般的な認知機能は正常
4.年齢に比し記憶力が低下している
5.痴呆は無い。

見た目や振る舞いは普通なのに

認知機能が落ち始めている”グレーゾーン”の段階だ

続きは次回に

三叉神経痛の一症例

50代♀

咽頭炎を発症してから海外旅行に出かけ

日差しを浴びてから左三叉神経第1~2枝領域の神経痛発症

痛みで朝目覚める程

弁証:左上気の偏在・左太陽経経気不利

処置:左太衝、左足臨泣・八椎下等に3番鍼で置鍼

経過:第6診目に主訴消失

心理社会的な背景が複雑にあって、強いストレスの元を傾聴

頑張り過ぎないようにアドバイスしてからさらに調子が良くなった

痛みを増長する背景が見えてくることで

心身一如の東洋医学の本質が確認できた一症例

扁桃体の暴走と、不平等社会がもたらすうつ病

10月20日夜9時から放送されたNHKスペシャル

「病の起源 第3集 うつ病~防衛本能がもたらす宿命~」を興味深く視聴した

http://www.nhk.or.jp/special/sp/detail/2013/1020/

■発症メカニズムを解明

その秘密は、意外にも5億2千万年前に誕生した魚の研究から明らかになってきた

魚でもある条件を作ると、天敵から身を守るために備わった脳の「扁桃(へんとう)体」

が暴走し、うつ状態になることが分かってきた

その発症メカニズムは、天敵に出合うと強いストレスホルモンが出て、

それが「扁桃体」の活動を活性化し、不安や恐怖の記憶として脳に残りやすくなる

それにより、天敵から身を守る行動に繋がり、生き残る確率を高めてきた

ところが、こうした不安や恐怖が長期間続くと、扁桃体が暴走を始めて脳が萎縮してい

き、魚でもうつ病になるというのだ

■背景に格差拡大と対人関係の複雑化

紀元前のメソポタミア文明で、人類最初のうつ病の記録が残っているという

富を持つ権力者が現れ、貧富の格差が激しくなったことが原因だという

今でも狩猟採集で暮らす原始共同体のアフリカのある部族

皆で協力して獲得した獲物は共同体内で”完全に平等”に分けられるという

この部族を米国の大学が調査した結果、うつ病患者はゼロで、

うつ病になる要素も非常に低いという結果が出た

発達した農耕民族はピラミッド型の階級社会となり

”完全な平等は”くずれ、上下関係が発生し不平等が生まれる

公平や平等というのは心の安定には非常に大事な要素

「立場の弱い人は常に強いストレスにさらされている」

比較的自身の裁量で仕事ができる範囲が広い専門職や技能職に比べ、

ノルマや上司の厳格な管理の下に置かれている

営業職や非技能職の職業グループの人たちの方が

うつ病が格段に多いという調査結果もある

■生活改善療法で薬漬けから解放

最後に、米国で最近注目されているTLCと呼ばれる生活改善療法を紹介

薬漬けにするだけの日本のうつ病医療に警鐘を鳴らしている

宇宙空間の身体への影響

宇宙飛行士が体験するのは急速な体力の衰えだった

骨量は、骨粗鬆症の10倍!の速さで減少し

骨折や、尿路結石リスクが高まる

ふくらはぎの筋肉は、毎日1%!づつ細くなり

地上の寝たきりの2日分、高齢者の筋委縮の約半年分に相当する

これらの現象はゼロG(無重力)の世界ならではの現象

人類は1Gの重力に適した体の構造と機能を有しているので

宇宙飛行では無重力環境での健康管理技術が必要

ここで得られたデーターがロコモティブシンドローム

(運動器の障害によって介護、介助が必要な状態)

の対策に役立っている

日本鍼灸師会全国大会in岡山

第9回日本鍼灸師会全国大会inおかやま

13日14日に岡山市で鍼灸の学会が開催された

県民公開講座「宇宙と地球」での

元JAXA宇宙飛行士山崎直子さんの講演は面白かった

400㎞の宇宙空間に滞在中は非日常の連続

身長は2~3㎝伸び、腰痛が消失することが多いが

逆に腰痛を発症するケースもあること

長期滞在で免疫力が低下すること

宇宙酔いは7~80%で発症すること

あらゆる薬品、手術器具、抜歯のペンチまで用意されていること

皮膚の外科的な縫合や抜歯の訓練までされたこと等々

宇宙飛行士の遭遇する身体の変化や健康管理に鍼治療が介入し

その効果を評価するというミッションの実現に向けて

JAXAきぼう利用フォーラム 宇宙鍼灸科学研究が

いつ採用されるのかに注目したい

セイリン(鍼のトップメーカー)は既に宇宙飛行士の使用する鍼を開発済み

一つのアイデアとして鍼灸師がテレビ電話で指示をして治療するという案が

考えられているという

ワクワクする3時間の講演はあっという間だった

失声症緩解

20代♀

車の自損事故2日後に全く声が出なくなる

半身のしびれや脱力感も発症

半年後に当院初診来院

発する言葉はとぎれとぎれ

動きも緩慢

本は腎虚、標は肝鬱化火

3番鍼で百会20分置鍼

4診目より言葉は出やすくなる

12診目の現在は連続し会話ができるようになってきた

交通事故の精神的な大きなショックで失声症に至った症例

        【休診の案内】 
 
 13日14日は日本鍼灸師会全国大会inおかやま

 に参加する為14日(月)は休診させていただきます

ことばは絶対ではない

「道」は本来無限定なものである

したがって、ことば=概念による区分も、一時的なものに過ぎない

にもかかわらず、ことばを絶対視するからこそ

事物を差別と対立の相においてのみ捉えることになるので

例えば「左」ということば=概念に対しては「右」という対立概念が生まれる

こういった相対的な分類に基づいて「秩序」と「等級」が形成され

「差別」と「紛争」をもたらした

これこそ人間が知によって得た八つのものなのである

だからこそ聖人はいっさいの現象をあるがままにまかせて論じようとしない

一般の人びとは、ことばを絶対視してたがいに是非を争いあう

つまり、ことばを絶対視し、是非を論じるのは

「道」を理解していない証拠なのである

≪荘子より抜粋≫

天枢の効果

先日名古屋駅で遭遇したN700系のドクターイエロー

慢性化した三叉神経痛に対して

患側の天枢穴に25分置鍼

激しい疼痛が消失して経過良好

臍(へそ)周囲のツボの反応を良く調べることで

空間的歪を整えることができるのだ

痛みとココロ

病の根本原因を探るために

患者さんの心理社会的背景を把握することは重要

生育環境、家庭環境、家族構成、夫婦関係、親子関係

会社員であれば、社内での人間関係等々

初診の問診で聴取できず

話して頂ける時期まで不明な事もよくある

しかし、経験を積めば体表観察と直感で

心理社会低背景の問題がありそうであるかを

読み取ることができるようになる

初診時にプライバシーにかかわる内容を

いきなり聞き取る必要はない

訴える痛みの裏側には自分で気づかない問題が潜んでいることは実は多い