肝風内動

60代♂

日頃から畑仕事や魚釣りなどを楽しむ実証の男性

今日から降圧剤が変更されて朝1錠内服した

夕方入浴後にのぼせたようになり

その後来院時にはめまいで天井がぐるぐる回っているという

血圧を測るとBP:190/110

日頃は140/70前後

脈診で浮弦数、舌診は舌尖が紅

「肝風内動」と診たて、右行間に瀉法で10分置鍼

直後にめまいは治まり、血圧は136/76に下がる

来院直前に激しい土砂降りの雨が数分間降っていた

寒冷前線が通過するときには気圧が急激に下がる

このことが気の乱れを起こした可能性がある

一本の鍼による応急処置で血圧安定し、めまいも治まった

http://wwwn-acp.com

濾胞性リンパ腫

院内のポインセチア

濾胞性リンパ腫完治

50代♂

2年前に発病、抗がん剤内服で手足の痺れ

下腿の原因不明の発赤発症

1年前から鍼治療開始

半年間は週に一度の治療

後の半年は月に一度の治療

手足の痺れは消失

体調は極めて良好

最近のCT検査でリンパ節腫瘍の消失が確認

血液検査では全ての項目で正常値に至り

完治した。一本の鍼で・・・

耳鳴りと鍼灸

アマリリスが咲きました

耳鳴りと鍼灸

耳鳴りは30代~上限なしで罹患するヒトは多く

西洋医学では耳鼻科で治すより慣れろとよく言われる治りにくい疾患である

しかし、鍼治療であっけなく治ることが多いことはあまり知られていない

”申脈”というツボが足の外踝の下5分にある

この”申脈”に鍼を打つと治療直後から慢性の耳鳴りが消失、

軽減した症例を12月だけで数例経験した

この”申脈”は足陽蹻脈の宗穴で耳の後ろ側をまとっている

少しの鍼刺激で耳周囲の気を動かすことができる

耳鳴りの多くは素体としての腎虚が多いが

気滞、気逆が関与していることを伺わせる

症例を重ねて、機会があれば学会などで発表したいと思っている

鍼灸のEBMを高めるためには多くの治験例を集積する必要がある

四季における陰陽の法則

患者さん提供写真

四季における陰陽の法則

≪黄帝内経・素問≫四氣調神大論篇 第四章 第二節より

人体においては、陰は部位としては内臓である

その機能は精気すなわちエネルギーの坦体である栄養素を産生する

同化作用である

陽は部位としては外表の皮肉筋骨である

その機能は、陰が生産した栄養素を使ってエネルギーを消費して活動を行う

異化作用である

秋冬には、活動を控えて栄養を貯え、春夏の活動に備える

これが陰気を養うことである

春夏には、この貯えた栄養素を使って活動する

それが陽気を養うことである

経穴の左右差

富士山12月16日撮影

経穴の左右差

鍼一本で治療する場合は経穴(ツボ)をよく観察することが肝要

弁証論治して治法が決まればあとはどこに鍼を打つか

経穴の左右の差(虚実の差・寒熱の差)が最も大きい経穴が臨床では有効となる

経穴は12種類の経絡上に体の中心から左右均等に配置されている

ゆえに健康ならば同じ経穴は左右の反応も同じであるが

身体のアンバランスが生じると、経穴によっては大きく左右の差が生じることがある

こういった現象に着目して一つの経穴に一本の鍼を打つのである

また、お灸をする際には左右の経穴に交互に灸をすえると、左右の熱感が著しく異なる場合がある

こういった経穴は非常に有効、このお灸を「整えの灸」という

一年前から右の下肢の一部がシャワーの温水を浴びても熱を全く感じないという症例

右腎兪に鍼を打ち、お灸を左右にすえた

初診時は27壮すえてようやく左右の熱感がそろった

数回の治療で9壮で左右が整うようになって、シャワーのお湯の温かさが感じるようになった

1ヶ月でほぼ正常な温度感覚が戻ってきた

最近ではお灸の左右差がなくなり、自覚症状も消失した

舌診その6

陰虚内熱の舌

舌全体の色調が紅舌、紅絳舌(赤みがきつい)で

無苔になり、裂紋(ひび割れ)が見られる場合

陰液を消耗して、陰虚内熱または陰虚火旺という内熱をこもらせた状態である

中医学で弁証すると腎陰虚症、肝腎陰虚症が多く見られる

頬部が紅潮し、手足がほてり、夜間の発汗(盗汗)不眠。頭痛等に悩まされる

鍼治療では「照海」とう経穴を使うとよいが、あくまで体表観察したうえで経穴は決めるべきだ

舌診その5

膩苔(じたい)の典型例

舌苔について

舌に生じる苔については、苔の厚さ、湿潤度、色調を診る

健康なヒトの舌は、色は淡紅色でごく薄い白苔がうっすらと覆っていて

形状も大きくも小さくもなく薄くも厚くもなく、舌裏も鮮やかな薄い紅色

健康な小児の舌が見本となる

舌苔でベタベタした湿った厚い苔は膩苔(じたい)といい湿邪が停滞した状態

色が白ければ「寒湿」、色が黄色ければ「湿熱」の鑑別ができる

水をたくさん飲みすぎた結果生じる場合もある

水分摂取の目安は、苔の状態を毎日自ら鏡で見ているとよくわかる

脾胃の機能が低下した結果生じたり、脂っこい食べ物を過食して生じることも多い

舌診その4

舌診その4

写真はお血の典型例

舌裏(舌腹)の診方

舌苔が厚く舌体の色調が見えない場合

舌裏の色調を診ることで寒熱の判断ができる

また舌裏の静脈(舌下静脈)の状態を診ることで

お血(血液の停滞)血虚(血が不足)の鑑別ができる

お血がきつい場合には舌裏全体、あるいは部分的にお班という

皮下出血のような出血痕が見られることもある

舌下静脈が太くはっきりしているが

白抜けしている場合は血虚お血という

舌裏の状態は特に循環器疾患に罹患するリスクの判断や

すでに罹患している場合治療経過の指標として非常に重要である

舌診その3

舌診その3

舌が腫れぼったく、ぼた餅のように口の幅いっぱいになるときがある

これを胖大(はんどん)舌という

水が停滞し舌体を満たすために生じる

”脾虚”(消化吸収の機能が低下)によって水分代謝が低下することが多い

舌の両側に“歯痕”という歯の痕が生じることもある

このうえに舌の苔がテカテカ光って潤いすぎる場合には”陽虚”といい

身体に停滞した水によって体の冷えがきつくなることが判る

このように舌の形態によっても様々な情報が得られるのである

http://n-acp.com

舌診その2

舌診その2

例えば風邪をひいて喉が痛い時には

多くは舌の先(舌尖)が赤くなる

身体の上焦に熱が存在することを表す

高熱になると舌尖がイチゴ状の赤い斑点が現われる

アトピー性皮膚炎で顔に赤い湿疹がある場合にも

舌尖が赤くなる

治療によって舌尖の赤みが薄くなってきたら

鍼の効果が確認できる

様々な病気の予後の推察ができるのである

続きはまた明日に