気虚その2

気虚には五臓の気虚に分類される

肺気虚:呼吸が浅い息切れ、声に力がない、汗かきが顕著で、咳嗽・痰がある

心気虚:動悸・息切れ・胸ぐるしい・不安

脾胃気虚:疲れやすい・四肢がだるい・食欲不振・消化不良・腹が張る
     便秘又は泥状便

腎気虚:頭がふらつく・知力減退・眩暈・耳鳴り・腰や膝に力が入らない
    精力減退・多尿・排尿困難

気虚の多くはこのように分類される

気虚とは

”気虚”

少し動くだけですぐ疲れる

少し長く入浴すると湯上りで疲れる

元気がない

声に力がない

息切れ

自汗(動かないのに発汗する)

食欲不振

etc・・・

全身的な虚弱の症状

舌質は淡白・脈は沈虚で重按で無力

この様な”気虚”(気の不足)

の患者さんの治療は細心の注意が必要

細い鍼で切皮程度

置鍼時間はは短め

場合によってはò`鍼を当てるのみ

治療後の脈が有力になれば有効とみなし

鍼治療の後はゆっくり休んでいただく

徐々に効果が出て疲れにくくなれば

”気虚”の程度は軽くなったと判断できる

湿熱邪

今日は日本の北に低気圧が発生した影響で、

大気の状態が不安定になり

南寄りの風で湿度が比較的高く

気温も上がり蒸し暑さを感じた

”湿熱”という外邪の影響を受けやすい患者さんは

こんな日に関節痛や神経痛が悪化する

今夜は胃腸に負担をかけないように

飲酒や、脂っこいものを控えめにすることで

体調を整え”未病を治す”こともできる

漢方薬の副作用

漢方薬には副作用が少ないと思っている人は多い

肝機能障害に小柴胡湯を与えた結果、間質性肺炎を発症し

肝機能障害=小柴胡湯の処方が見直されたのは有名な話

西洋医学の病名だけで弁証がなく同じ漢方薬を与えれば

証が合わない人が副作用をおこすのは必然なのだ

全頭型の脱毛症の患者さん20代♀

当院と漢方薬局の弁証は”心肝火旺”で一致していたが

脱毛が進行し続けるので、不審に思った患者さんの判断で

漢方薬(煎じ薬)内服を中止してから1週間で脱毛が止まった

その後は鍼治療だけで、経過は極めて順調

正しい弁証でも、漢方薬はさじ加減ひとつで副作用があるという一例

美味しくいただくということ

病気の治療に食養生はとても大切

我々は患者さんの陰陽・虚実・寒熱の体質によって

食養生を個別にアドバイスすることがある

料理研究家で有名な星澤幸子さんが

日本鍼灸師会の招きで講演をされた最後に

命をどのように愛しんで、活性化させれば、人生を華やかにさせられるのか?

という話をされた

それは、その人の生き方、考え方、食べ方次第で変わるのだと

人は食べ物が口に入った瞬間に「ああ美味しいな」と感じたものだけを

小腸から吸収できるという

だから、自分の感性や、食べたときの素朴な気持ち、味を大事にしていくことだと

豊かな自然と、四季折々に繊細な”旬”をいただけるこの国に生きることに

大きな喜びを感じて毎日の食事をいただきたいものです

陰陽消長の法則

陰が旺盛になってくると陽が少なくなってくる

陽が旺盛になってくると陰が少なくなってくる

これを「陰陽消長の法則」という

この消長の法則によって自然界や人体のバランスが保たれている

今年は春の寒気(陰)が旺盛だった為に、いつまでも寒く低温が続いた

「陰陽消長の法則」からすると

この夏は陽が盛んになる

つまり猛暑が予想される

もし猛暑がなければ人の生産活動の影響で

自然界は狂っていることになる

最近の臨床傾向

北辰会方式による少数鍼治療を研究するにつれて

来院患者さんの傾向に明らかに変化が見られる

ごく最近の新患さんの主訴(西洋医学の病名)を列記すると

重症筋無力症

不妊症

ラムゼイハント症候群

発達障害

逆流性食道炎

ジストニア

腎不全

痙攣性発声障害(SD)

骨盤位(逆子)

高血圧症

脳梗塞後遺症

多発性関節炎

眩暈

アトピー性皮膚炎

慢性気管支喘息 等々

その他にぎっくり腰等の運動器疾患が含まれる

開業して24年、当初は所謂、整形外科的な疾患が多かった

北辰会式少数鍼による弁証論治を追求していくに従って

外科を除くあらゆる診療科目が対象となってきた

来院される患者さんは西洋医学で難治性か

内服中の薬を減らしたいという希望を持っている方が殆ど

これらはすべて東洋医学が得意とする疾患である

黄砂アレルギー

最近イネ科のアレルギー患者さんが

花粉の飛散量が少ない日にも強いアレルギー症状を訴えるので

気象庁の黄砂情報を調べると「黄砂によるアレルギー」

の可能性を否定できないようだ

気象庁黄砂情報HP http://www.jma.go.jp/jp/kosafcst/

北西風にのってモンゴルのゴビ砂漠から飛散する黄砂は

中国の工業地帯上空の有害化学物質の影響も無視できない

狭心症=水分摂取の誤解

二人の狭心症の患者さんの症例

70代♂

主訴:胸苦しさ・下腿浮腫

脈診:濡脈・緩不足

舌診:淡紅・滑苔

水分摂取:夜間に1リットルの水を飲む

60代♀

主訴:胸痛

脈診:滑実

舌診:淡紅・白膩苔

水分摂取:一日2リットルの水分を摂取

お二人ともつとめて水分摂取されていた

結果として湿邪が影響した軽度の「狭心症発作」であると考えた

根拠は舌診で「滑苔」「白膩苔」とどちらも湿邪の停滞が認められたこと

叉、昨日発作が起きていること

昨日は冷えて一日雨が降っていた

外湿邪が内湿に影響したと考えられる

その上男性は下腿の浮腫が認められている

厥陰腎経の「照海」に鍼をし

治療直後に小便排泄し、下腿浮腫は軽減した

お二人には口を酸っぱくして水の取り過ぎは危険であることをアドバイスした

全ての狭心症の患者がドロドロ血液「お血」ではないということを知って欲しい

水の取り過ぎが湿邪という邪気になりうるということだ

半身不随と章門穴

脳梗塞後遺症による半身麻痺

発症直後の治療は非常に効果的で

ICUの中で早期に鍼治療を開始すると驚くような効果を表す

後遺症が全くなくなることもある

しかし、日本の医療の現状はICUで鍼灸師による治療を認める病院は皆無と言ってよい

救命処置はできても後遺症の半身麻痺に長期間悩まされることは

QOLを考慮すると極めて問題

半身麻痺の患者さんのほとんどは初診時に早くても3ヶ月入院して退院後

数か月から数年経過する症例では「空間論」による気の偏在を整える治療がよい

少陽胆経の「帯脈」や厥陰肝経の「章門」の左右差が著しく認められると

治療後の麻痺側の硬縮が緩和することが分かってきた

慢性化した半身麻痺でも鍼治療による可能性を感じている

更に追試を増やしたい

〔〕