離断性骨軟骨炎の症例

離断性骨軟骨炎は、スポーツなどで繰り返し動作により軟骨が剥がれ落ちてしまう病気です。

剥がれた軟骨が関節遊離した場合は手術が適応となる場合もありますが、

基本的には保存療法となります。

今回、小学生女児の離断性骨軟骨炎に鍼治療が有効だったのでご紹介します。

9歳 女児 

主訴:右足関節の痛み

2023年11月ごろから右足関節に痛みがあり、整形外科にて「距骨離断性骨軟骨炎」と診断されました。

MRIでは距骨(かかとの骨)の軟骨が剥がれかけている状態。

初診時は松葉杖を使っており、まったく体重がかけられませんでした。

右足の関節は拘縮しており、少し動かすだけでも思わず顔をしかめるほどの激痛でした。

東洋医学的には肝経病証と考え、行間やレイ溝を使用。

自宅では前脛骨筋や後脛骨筋のセルフマッサージを指導。

整形外科での可動域訓練も併用して、徐々に痛みが緩和して可動域が広がってきました。

5診目に、足の井穴に刺絡をした後から著明に痛みが緩和し、右足に40%ほど荷重できるようになりました。

3ヶ月後のMRIでは、距骨の炎症が引いており、

Drからは「通常こんなに早く治ることはめずらしい」と言われたとのこと。

まだ完治したわけではありませんが、予後は良好と思われます。

院内勉強会をやりました

今日は週一回の院内勉強会を開催しました。

新人スタッフの育成のため、

問診、鍼の練習、身体のみかたなど、スタッフみんなで勉強しています。

今回は舌や脈の診察方法を復習しました。

東洋医学の診察では、舌診や脈診がもっとも重要です。

新人スタッフに先輩が丁寧に教えてくれているのが印象的でした。

人に教えることも、自分の勉強になりますね。

日々いい治療ができるよう全員でがんばります!

年末年始のお休みについて

12月28日(木)〜1月4日(木)まで休診となります。

本年も大変お世話になりました。

来年もよろしくお願いいたします。

パーキンソン病と鍼灸

パーキンソン病で通院中の患者様は多い

数年から10年以上診させて頂いていると

①薬が増えない

②パーキンソンによる症状が悪くならない(現状を維持又は軽減できている)

投薬だけでなく鍼灸治療よってADL(日常生活動作)QOL(生活の質)の低下がない

よって仕事を続け、趣味や旅行を楽しみながら病気と上手に付き合っている方ばかり

鍼灸治療でパーキンソン病を治すことはできないが、大きな支えになっている

先日事情があり鍼灸の通院を中止し

3年ぶりに来院されたパーキンソン病の患者様を診させて頂いた

他の通院中の方との差は大きく

①3年前より薬が増えている

②来院中にはなかった、ジスキネジア(骨格筋の不随意運動)が増悪

数回の鍼治療でジスキネジアが軽減し

尾骨の滑液包炎による大きな腫れも縮小

鍼灸の効果を実感した

NHK東洋医学ホントのチカラ放送

昨晩NHK総合で東洋医学ホントのチカラが放送された

数年前から始まった東洋医学を解りやすく解説する人気番組

番組ディレクターは私と副院長が所属する名大医学部付属病院

統合ヘルスケアチームの勉強会に参加されたこともある

今回の内容は漢方薬を中心に鍼灸も取り入れながら診療されている

病院を紹介していたが、

こういった病院やクリニックはまだまだ少ないのが実態

慢性疾患にには、根本的に体質を改善しながら症状を緩和できる

漢方薬と鍼灸治療が理想の医療と考えている

TVだけではなく様々なメディアから東洋医学の正しい情報をどんどん発信し

期待に応えられるだけの鍼灸師の資質向上も急務である

花粉症には鍼灸治療

当院では30年前から花粉症についての臨床研究を始め、

集積したデーターを基に(公社)日本鍼灸師会全国大会で、

「耳ツボを使用した花粉症治療」と題し、院長が発表したことがあります。

著効、有効を合わせると87%の患者様で効果が認められました。

重症の方や花粉の飛散がとても多い時期に、

点鼻薬と、抗アレルギー剤の内服を併用されることもありますが、

殆どの患者様は鍼灸単独で効果があります。

東洋医学による全身の鍼灸治療と、片方の耳ツボに小さい鍼を貼付し(パイオネックス)

週に一度反対側の耳ツボにパイオネックスを貼り替える、という流れになります。

小さいお子様の場合は耳ツボのみで治療する場合もあります。

治療を始める時期は、花粉が大量に飛散する前から始めた方がより有効で、

鍼灸治療を続けることで花粉症が治癒した方も多くいらっしゃいます。

身体に負担がなく、副作用もないので、花粉症でお悩みの方にはおススメできます。

明日は学会

12月3日4日名古屋ウインク愛知で

第17回(公社)日本鍼灸師会全国大会in愛知が開催される

テーマは「ヒトを診る~東洋医学の全体観」

「患者の心理について」講師藤田医科大学 臨床心理士 F先生による講演の

座長を務めることになっている

「ヒトを診る」とは、病だけに目を向けるのではなく

心身まるごとを診るということ

繰り返す慢性疾患や不定愁訴には

心理社会的な背景、家族歴や成育歴などが影響していることが多い

我々は患者様との信頼関係(ラポール)を築き

適切な距離を取ってかかわっていくことが重要であると

F先生は説いている

臨床心理士の視点を参考に臨床に生かしたいと考えている

イップス緩解

トロンボーンの演奏中不随意に下顎が動くので

演奏が出来ない患者様

ジストニアの疑いで来院されるが、イップスと考え

鍼治療をすること2回

驚くことに8年間全く変化なかった症状が消失

音楽家の悩む不随意運動(イップス、ジストニア)

への鍼治療の有効性が示唆された

新型コロナウイルス感染後遺症について

過去にブログで有効症例を複数報告してきたが、

鍼灸の専門誌でも新型コロナウイルス感染後遺症の分析、症例報告が増えてきている

【鍼灸治療が適応する代表的な罹患後の症状】

〇疲労感・倦怠感〇関節痛〇筋肉痛〇咳〇喀痰〇息切れ〇胸痛〇脱毛〇記憶障害〇集中力低下

〇不眠〇頭痛〇抑うつ〇嗅覚障害〇味覚障害〇動悸〇下痢〇腹痛〇睡眠障害

罹患後の症状については画像検査や採血検査で異常や重症度を示しにくく、

西洋医学的な評価やアプローチが難しい面があるので、

東洋医学的な評価とアプローチが注目されている。

全身倦怠感、思考力の低下【気虚・気滞】

ブレインフォグ、集中力の低下、睡眠障害、脱毛【血虚】

嗅覚障害【肺陰虚】味覚障害【脾虚】等々

治療効果を上げるためには症状による対症療法ではなく、弁証論地が重要になる

当院では感染後遺症に対して90%程度の有効率である

緑内障の有効症例

60代男性

X-10年緑内障発症

大学病院で眼圧を下げる点眼薬をするも

眼圧左右17

視力の低下も著しく3ヶ月以内に失明すると言われ来院

X-2年週に一回の鍼灸治療を開始

2年が経過

眼圧は右14左12に下がりつつあり視力も徐々に回復し

日常生活に支障ない生活が維持できている

弁証:腎虚・肝血虚と診たて、養肝補血、補腎の治療が奏功している症例