認知症?うつ病?

認知症に間違われやすい疾患として、うつ病があります。

高齢者のうつ病の原因は、主に身体機能障害(疼痛、筋力低下、移動能力の低下、寝たきり)や

社会性の低下(配偶者を亡くす、独居、外出困難)によるストレスで起こる場合が多く、

症状としては、意欲の減退(アパシー)や記憶力の低下など、認知症と同じような症状がみられます。

高齢者うつ病の場合は、抑うつ気分が強く、物忘れの訴えが強いことが特徴です。

認知症では、記憶力の低下を認めようとしなかったり、はぐらかすといった特徴がありますが、

うつ病の場合は、「わからない」と繰り返すことが多いと言われています。

つづく・・・

お彼岸

昨日(3/21)は、春分の日でした。

今はちょうどお彼岸の時期ですので、お墓参りに行かれたかたも多いかと思います。

お彼岸はもともと仏教用語で、ご先祖様がいる世界を「彼岸」といいます。

また、今わたしたちのいる世界を「此岸」といい、「彼岸」は西に位置して、

「此岸」は東に位置すると言われています。

春分の日の前後は、太陽が真東から真西に沈むため、

「彼岸」と「此岸」が最も通じやすい日ということで

この時期に、ご先祖様にお参りする風習がついたそうです。

お彼岸にはおはぎを食べますが、小豆には「邪気を払う効果」があるといわれています。

この時期に小豆を食べることや、ご先祖様に感謝することは、

自然への祈りや感謝とも深く関わっています。

また、あずきにはビタミンB1、カリウム、食物繊維などが含まれるため

利尿作用、排便促進、血栓予防などの効果があります。

仏教や東洋医学の考えを生活に取り入れる風習はいまも残っています。

昔の人々の知恵や経験は大切にしたいですね。

顔面神経麻痺の症例

40代 男性

主訴:右顔面神経麻痺

現病歴:1週間前にカゼをひいた後から、口が開きにくい、目が閉じないなど、

顔面の動かしづらさを発症。D病院で顔面神経麻痺と診断され、ステロイド、抗ウイルス薬開始。

現症:柳原法8点(重症)、表情筋は軽度収縮あり

現病歴を詳しく聴取すると、カゼを引いている状態で無理に仕事をしたとのこと。

もともと呼吸器系が弱く、カゼをひきやすい体質だった。

西洋医学的な病態:末梢性顔面神経麻痺(ベル麻痺)

東洋医学的な病態(弁証):風湿熱、空間右上の気の偏在、脾胃湿熱

治療:翳風、外関(顔面神経走行部)、右胃兪(空間の歪みの調節)

顔面神経麻痺は、東洋医学的に外感の邪(外から体の中に侵入する邪気)が原因です。

特に、風邪、湿邪、熱邪などが経脈に侵入すると麻痺を発症します。

主訴を発症した前日は、春一番が吹き、風が強く、日中の気温が急激に上昇した気候でした。

このような気候の場合、「風邪」が体に侵入しやすい状態となります。

もともと呼吸器系が弱い人は、衛気(体をまもるバリア)が弱っているため、

容易に外感の邪を受けてしまします。

顔面神経麻痺は、再発する場合もあるため予防法として、呼吸器系の症状をコントロールして

衛気を高め、免疫力を落とさないことが重要です。

NHKで鍼灸特集

本日、3/18(月曜日)の22:45~23:10から、

NHKで東洋医学、鍼灸の特集があります。

東京大学付属病院や明治国際医療大学などで行われている、科学的な根拠に基づいた

最新の鍼灸医療についてご紹介があります。

お時間のあるかた是非御覧ください。

東洋医学ホントのチカラ~最新科学で迫る鍼灸(しんきゅう)の秘密~「Part1」

[http://www4.nhk.or.jp/P5063/]

地域医療における鍼灸師の役割

在宅医療カレッジを聞いて、今自分たち(開業鍼灸師)が地域でできることはなにか?

今一度整理して考えたいと思います。

1.日常生活の支障になっている症状(疼痛、運動機能障害、精神機能、内臓機能など)
  
を軽減させる。QOLの向上を目指し、生きがいや目標を支える。

2.特に、高齢者の場合フレイル・サルコペニア、低栄養のリスクを早期に発見し、
  
悪循環に陥らないように適切に治療・指導を行う。
 
(食欲の改善、活動量低下の原因となる運動器愁訴の軽減、食事指導など)

3.地域の診療所、病院、地域包括センター、介護福祉施設と連携を図り、

鍼灸治療院のみでは対応しきれない患者を適切に紹介する、または在宅医療へ繋ぐ

4.在宅医療の現場で、鍼灸師が活躍できるしくみをつくる

5.養生(東洋医学的な健康観)の考え方を地域に広め、0次予防の意識を持つことで病気を予防する

鍼灸は、単に肩こり腰痛を治す治療法のひとつではありません

これからは、慢性疾患が増え、病気とともに生きる時代。

東洋医学、鍼灸の多様性を生かし、人々の健康を支える治療院を目指したいです。

在宅医療カレッジ まとめ

・年間1兆円ごとに医療介護費は増大している、行政や制度に頼ることは今後難しい

・65歳以上が急増して、3人で1人の高齢者を支える時代から、

 1人で1人を支える時代へと変化してきている。

・人生の最後は必ず医療・介護が必要になる、「残りの人生をより楽しく」を目標にする

・疾病の治癒、社会復帰を目指す医学モデルから、病気を抱えながらでも生きていけるよう、

 本人の強みを生かし、環境を整える「生活モデル」へシフトチェンジ

・病気の予防には、まず食べることが重要!

 過度な塩分制限、カロリー制限は低栄養の引き金に

・病気になっても、住み慣れた地域で最後まで暮らしていくためには、
 
 家族、友人、地域とのつながりなどの社会関係資本を根っこに、
 
 医療と介護が連携していくことが重要。

講演の内容で重要なお話をまとめました。

ひとりでも多くの人に、今後の日本が進んでいく未来のこと、

いま自分たちにできること、を考えるきっかけになればと思います。

在宅医療カレッジ in 京都 参加報告 その3

社会とのつながりが寿命を決める

以前、ブログで孤食(ひとりで食事をとること)の問題についてご紹介しました。

https://blogs.yahoo.co.jp/n_harikyu/72702058.html

男性の一人暮らしや、同居者がいるのに一人で食事をとっている男性は、

うつや低栄養のリスクが高まります。

人間の健康には、社会や人とのつながりが重要なことが分かってきました。

社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)という言葉があります。

人間は本来、家族、友人、地域に支えられながら生活を送っています。

家族の絆、地域での交流、ご近所付き合いなど。

人と人とのつながりが人間の健康には大きく影響しているという考え方です。

ある研究では、社会とのつながりがなく孤独な人は、たくさんのつながりを持つ人と比べて

死亡するリスクが2.8倍高かったという結果が出ました。

また、入院した場合サポートしてくれる人がまったくいない場合は、

6ヶ月以内の死亡率は60%と非常に高いことがわかりました。

皆さんはどれぐらい、人や社会との関わりを持っていますか?

仕事での役割、家族との関係、友人との付き合い、ボランティアへの参加・・・

このような関わりが多ければ多いほど、人生を豊かにしてくれます。

人とのつながり、社会とのつながりこと長生きの秘訣なのです。

在宅医療カレッジ in 京都 参加報告 その2

低栄養の悪循環

低栄養は悪循環を生じ、寝たきり死亡の原因となります。

低栄養状態であると診断された高齢者は、約3年後の生存率が20%未満と極めて低いと言われています。

持病やストレス、うつなどにより活動量が低下すると、食欲が低下し、

食事摂取量が減少することで低栄養状態に陥りやすくなります。

一度低栄養状態になると、骨格筋量が減少することで転倒、骨折しやすい状態となってしまいます。

そして、入院・手術により免疫力が低下し肺炎などの感染症を合併し、寝たきりとなる悪循環に至ります。

糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化などにより、厳格な塩分・カロリー制限をすると

高齢者では、低栄養が進み、骨格筋が減少しやすくなります。

65歳以上は、厳格な食事制限よりも、しっかりとカロリー・タンパク質を摂取することが必須。

佐々木先生は、ハンバーガーや牛丼をたまには食べましょう!とおっしゃっていました。笑

栄養状態が人生の質を決める、といっても過言ではありません。

在宅医療カレッジ in 京都 参加報告

会場内で描かれたブリーフィング

昨日は、京都の池坊短期大学で開催された、在宅医療カレッジに参加してきました。

講師の佐々木先生は、日本一規模の大きい在宅クリニックを経営されている内科医です。

先生の講演のなかで、いくつか印象に残っていることや、特に先生が強調されていたところを

自分なりにまとまて書いてみます。

今までの日本の医療とこれからの医療

これまでの日本の医療は、短期的なリスク回避、安全優先、制限中心、弱点重視などで

病気になったら治療する、障害にはリハビリを行い社会復帰を目指すという

「医学モデル」が中心になっていました。

しかし、これからの日本は75歳以上の高齢者が急増して、疾病も複雑化するため

病気を治癒、完治することが難しくなります。

医療費は、年間1兆円増大しており、今までのように社会保障制度に依存することはできません。

「何かあったらすぐ入院」では、いずれ限界がきます。

これからの医療は、病気になっても住み慣れた地域で幸せに暮らしていけるよう

「地域で支える医療」へと変化していかなければいけません。

その人の強みを生かし、最適な生活環境を整える「生活モデル」へとシフトチェンジが必要です。

つづく・・・

明日は京都へ行ってきます

https://www.pt-ot-st.net/index.php/seminar/detail/55651より引用

明日は、「在宅医療カレッジ in 京都」に参加するため、京都の池坊大学へに行ってきます。

ご講演される先生は、日本一の在宅医療のネットワークを経営しておられる、佐々木淳先生です。

佐々木先生のご講演には、これまで何度も衝撃を受けました。

明日は、どんなお話を聞けるか楽しみです。

参加報告は、また次回!