神経学的診察

今日は、水曜定例の勉強会を行いました。

今日のテーマは運動器疾患の診察に欠かせない

「神経学的診察」について理解を深めました。

神経学的診察とは、筋肉を動かす運動神経や、知覚を司る感覚神経の障害を調べる診察方法です。

我々鍼灸師は、画像診断ができないため、実際に患者さんの体を触ったり、

動かしたりして、どこに問題があるかを調べます。

神経学的診察が必要な患者は、脊柱管狭窄症、頚椎症、椎間板ヘルニアなどにより痛みやしびれがある場合です。

専門的な内容になりますが、

例えば頚椎の4番/5番の椎間板ヘルニアの場合

・上腕二頭筋、三角筋の筋力低下

・上腕外側の感覚障害

・上腕二頭筋腱反射の減弱

などの異常を認めます。

このように神経学的診察を行えば、ある程度の障害を特定することができます。

患者さんにとっては「なんのこっちゃ!」といった感じですが、

診断・治療の上でとても重要な検査になります。

・・・気づけばもうこんな時間!

スタッフの皆さん、遅くまでご苦労様でした(笑)

「All for the patient」の精神でこれからも頑張ります!

脊髄損傷(?)の症例

こんばんは、長岡哲輝です。

今日の印象的だった症例を紹介します。

50代 女性

主訴 両膝と肩の痛み

母指の動かしづらさを感じ、X-2年にK病院で脊髄損傷の診断を受けました。

その後、肩痛や膝痛が出現しましたが、医師から

「脊髄損傷は色んなところが痛くなる病気だから仕方ない。」

と言われたことから、「薬を飲んでも治らないだろう。」と思い、

服薬もせずに辛い痛みに耐えていました。

患者さんは、自分の症状を「脊髄損傷からきている」と思っていましたが、

診察をすると肩は「五十肩」膝は「変形性関節症」でした。

このように医師の言葉はとても影響力が大きいですが、

ときに医療に対する不信感や、不安を煽ることも少なくありません。

私達、鍼灸師はしっかりと患者の病態を見極め、適切な説明をすることも大切です。

「病を診て、人を診ず」という典型的な一症例でした。

マッサージについて

まちなかでは「手もみ」「リラクゼーション」「タイ式マッサージ」などの名前で

マッサージを提供する店舗を見たことがあると思います。

今や「コンビニより多いマッサージ店」などと言われているほどに、その数は増えています。

マッサージは、もともと中国伝統医学がルーツになっており、

あん摩や推拿と呼ばれ、江戸時代には漢方、鍼灸と並び医療の中心でした。

現在日本でマッサージを行うことができるのは、「あん摩・マッサージ指圧師」のみです。

しかし、「リラクゼーション」などの名前で、ストレス解消やリラックスが目的として

無資格でマッサージを提供する店は多くみられます。

マッサージも、カイロプラクティックと同様、規制があまく非常にグレーな領域です。

正しい医学知識を持たなくても施術が行えるので、症状の悪化につながる恐れもあります。

マッサージを受ける際は、「あん摩・マッサージ指圧師」の資格を持つ

治療者に行ってもらうのが賢明でしょう。

下のURLは厚生労働省が作成した、あん摩・マッサージ指圧師や鍼灸師などの“資格者”と

“無資格者”を見分けるポイントがまとめられたものです。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000118514.pdf

鍼灸と整体

こんにちは、長岡哲輝です。

今日、診療中患者さんにこんなことを聞かれました。

「先生、鍼灸と整体は違うんですか?」

鍼灸、マッサージ、整体、整骨院は一般の方からすると、

混合されがちで、これらはすべて一括りになっている印象を受けます。

前回、ブログで統合医療のお話をした、続編として

民間療法や補完代替医療について、それぞれの違いや特徴をご紹介したいと思います。

そもそも、整体という言葉は、大正時代にアメリカで誕生した「オステオパシー」や

「カイロプラクティック」という療法を「整体」と訳したのが始まりと言われています。

「オステオパシー」や「カイロプラクティック」は、脊椎の歪みを様々な手技により調節する療法です。

米国では、「オステオパシー」「カイロプラクティック」を行うものは、4年制大学で教育を受け、

資格試験に合格しなければ施術をおこなうことはできません。

オステオパシーに関しては、医師と同等に「医療行為」が許されています。

しかし、日本において整体・カイロプラクティック・オステオパシーに関する

公的な資格や教育はなく、各療法の医学的根拠や安全性も確認されていません。

特に頚椎ヘルニア、脊柱管狭窄症、圧迫骨折など器質的に問題がある場合、施術により

症状の増悪が起こる場合があるため、注意が必要です。

つづく・・・

ノロウイルスに注意!2

ノロウイルスを始めとする感染性腸炎を東洋医学的に考えてみましょう。

腸炎の主症状は、激しい下痢や腹痛です。

腸炎を起こす方の多くは、「脾胃」(消化吸収する能力)を弱らせています。

脾胃が弱い場合、体には内湿(ないしつ)といって水分が停滞しやすくなります。

そんな状態のなか、外寒(外からの冷え)が体に侵入して、脾胃の機能をさらに弱らせると

感染性腸炎にかかってしまうのです。

東洋医学的な予防方法は、普段から「脾胃」を元気にしておけばいいのです。

鍼灸では、足三里、太白、陰陵泉といったツボに普段から鍼や灸をしておくといいでしょう。

また、急性の下痢を発症した場合は、「裏内庭」というツボに灸をすることで

腹痛や下痢の症状の軽減が期待できます。

また、ウォーキングや手足のストレッチは気のめぐりを整えてくれるので、

普段から適度に体を動かすことが「脾胃を元気にする」養生になります。

ノロウイルスに注意!

こんばんは、長岡哲輝です。

ノロウイルスは感染性腸炎の原因菌のひとつで、

冬季(11月~1月)に発生しやすいことが分かっています。

症状としては、嘔吐、下痢、腹痛、発熱などです。

ノロウイルスはインフルエンザなどと違い、ワクチンがないので感染予防が重要です。

感染経路として、最も多いのは経口感染(口からウイルスが侵入すること)です。

感染の原因となる食品はカキ、しじみ、ほたてなどの二枚貝が最も多いといわれています。

特に、加熱処理されていないカキなどが原因となることが多いです。

二枚貝を食べる場合は、85~90℃以上で90秒以上加熱することが必要です。

また、感染した人の便や吐物には、大量のウイルスが含まれているため、

便や吐物を処理した手などを介して2次感染してしまいます。

食品を直接取り扱う場合は、手洗い、エタノール消毒が大切です。

つづく・・・

愛知県鍼灸師会研修会に参加

画像は日本統合医学協会より引用

こんにちは、長岡哲輝です。

昨日は、愛知県鍼灸師会が主催する研修会に参加しました。

その中でも、特に伊藤京子先生(名古屋大学医学部 総合診療科)の

「統合医療」に関する講義が印象的だったので紹介します。

伊藤先生は総合診療医であり、名大病院では統合医療を行っています。

(統合医療=西洋医学に鍼灸を始めとした補完代替医療を組み合わせておこなう医療のこと)

伊藤先生がコーディネーターを務める名大病院の「統合ヘルスケアチーム」には当院の院長が所属しており、

西洋医学的な病名がつかず、治療に苦渋するケースに対して、

鍼灸師やヨーガ療法士、運動療法士などの多職種が補完代替医療を介入して治療します。

西洋医学でてがつけられないから、鍼灸でなんとかしてください。

という並行的視点ではなく、チーム全体で患者に最善の医療を考えるのが「統合ヘルスケアチーム」です。

患者は、「みんなで自分のことを考えてもらっている」という安心感があるそうで、

それだけで治療効果が高まっているといいます。

慢性疾患の増大にともない“治癒が困難”な患者がこれから日本で増え続けます。

慢性疾患は西洋医学的な治療に苦渋する場合が多く、患者のQOLは低下しています。

統合医療は、これから需要の高まる医療で鍼灸の活躍できる場でもあります。

しかし、補完代替医療に対する医師の認知が低いため、日本ではまだまだ浸透していません。

名古屋大学附属病院で行われている統合医療の取り組みは、最先端の医療と言えるでしょう。

インフルエンザ集団感染

今年に入ってからインフルエンザの感染が全国で拡大しており、

現在患者数は300万人以上と言われています。

その中でも、特別養護老人ホームなど介護施設での集団感染が問題となっています。

特に寝たきりの高齢者は感染後の重症化が進みやすく、命を落とすケースが多くなっています。

なくなる方の殆どは、インフルエンザが直接の原因ではなく、感染が重症化し、

肺炎を合併することが原因と言われています。

フレイルになると、筋力の低下や活動量の低下に伴い、

食事の摂取量が減少し、やがて低栄養状態となってしまいます。

低栄養状態では、“アルブミン”という血中のタンパク質が減少します。

アルブミンは免疫を司るリンパ球の働きに重要であるため、

低栄養状態の人は免疫機能が低下しており、感染が重症しやすいのです。

介護施設に入所されているかたは、フレイル~寝たきりのかたが多く、

このような重症化が進みやすいという背景があります。

介護施設の感染防止策にも問題はありそうですが….

フレイルについて5

一人で食事をとることが当たり前、というかたは多いと思います。

柏市が行った調査によると、一人で食事をとるかたは栄養状態が悪く、

フレイルになりやすいという結果が出ています。

高齢者の孤食(ひとりでとる食事)は非常に問題になっています。

同じ調査で、「同居者がいるのに孤食」の方は低栄養、抑うつなどのリスクが高いと言われています。

つまり、一人暮らしかどうかではなく、孤食かどうかが問題なのです。

一人暮らしでも、友人や家族と食事の機会をつくることで

食欲がでて、様々な食品をとることに繋がり栄養状態の改善になります。

一人の食事より、みんなでわいわい食べる食事は美味しく感じますよね?

意外と普通のことが、高齢者の低栄養やフレイルの予防には重要です!

NHKで鍼灸特集!

明日の午後7時30分からNHKの「ためしてガッテン」で鍼灸が特集されます。

ここ最近NHKでは東洋医学の特集が組まれることが増えてきてます。

話によるとNHKのディレクターが鍼灸にとても関心を持っているそうです。

民放で鍼灸が紹介されることはあまりなかったので、これを機に認知が高まることと思います。

ちなみに、番組に出演される伊藤和憲先生は明治国際医療大学の教授で、僕の上司にあたる先生です。

痛み(慢性疼痛、線維筋痛症、トリガーポイント)に関する研究をされており、

尊敬する先生のひとりです。

お時間のあるかたは是非ご覧下さい。

慢性痛しびれが改善!逆子も治る!?東洋の神秘「はり治療」
http://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20190123/index.html

追記 
本日の放送は錦織選手の試合のため2月20日の午後7時半に変更となりました。