中医薬膳セミナー

昨日は(一社)愛知県鍼灸専門師会主催のセミナーだった

中医薬膳セミナー第1回「体質対応・弁証中医薬膳の話」

講師の西川 修先生は北京中医薬大学卒業の正真正銘の中医師

薬膳セミナー講師としてTV出演、講演、新聞雑誌の執筆等

大変多忙かつ有名な先生

日本で広く言われている所謂”薬膳”は殆どデタラメで

”薬膳”とは正式には中医栄養学に基づいて作られた食べ物をいう

個々の患者さんの体質に合った食材と調理法があるので

弁証論治をして証を立てたうえで処方すること

これが本物の薬膳料理という

大阪出身の先生らしく難解な用語を解りやすくユーモアを交えて

時間オーバーのエキサイティングな講義だった

第2回目を1月にお願いしているので楽しみだ

大人の発達障害

最近大人の発達障害が問題になっている

患者さんの心理社会的背景を聴取していると

発達障害の範疇で特にADD(注意欠陥障害)

が疑われる成人が企業に紛れ込んでいることは間違いなく

子供の発達障害がクラスに1人と言われているように

大企業に在職中の社員であっても

本人も周囲もADDとの認識がないと思われるケースは多い

同じことを何度注意しても間違いを繰り返す

並行して複雑な業務ができない

一つの仕事をこなすのに時間がかかる

デスク周りが片づけられない等々

「どうしてこんなことができないの!」

とイライラする前にADDを疑い上司に相談することだが

上司が発達障害に理解がないことがほとんどで

その人の周囲は仕事を進めるうえで大きな障害となっている

管理職であれば大人の発達障害への理解を深めるための勉強が必要だ

滑肉門の応用

足陽明胃経の滑肉門

北辰会では主に空間診で反応を診る穴所

肝鬱や気の偏在による痛みなどに効果があることは臨床でよく経験しているが

うつ病にも相当効く経穴であることが解ってきた

40代♂ うつ病

随伴症状としては歯の食いしばり

不安感・焦燥感・頭痛・体がだるい・頸部の強いこり

右滑肉門に5番鍼で20分の置鍼

刺入は横刺で方向は右から左に向ける(臍を中心に気の流れは右回り)

数回で筋骨格系の主訴はかなり軽減

肉体的な随伴症状が軽減すればココロも余裕が生まれる

経穴の応用は奥が深く面白いと改めて括目した

眼瞼下垂改善

40代♂

重症筋無力症

30代に発症

メスチノン→マイテラーゼ内服

腎虚<肝陽上亢と診たて

週に1回の通院を1年間

顕著だった左眼瞼下垂はほぼ気にならない程度に回復した

一時ステロイド使用も大学病院では検討されるも回避

全身症状もなく経過は良好

重症筋無力症の症例は増えており

ほぼすべての患者さんに主訴の改善が認められ

ステロイド使用に至った症例はない

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北辰会夏季研修会

昨日は大阪森ノ宮で開催された

北辰会夏季研修会にスタッフと参加してきた

腹診と打診の臨床応用をじっくり時間をかけてするので

毎年恒例であるが参加するたびに

腹診と打診手技の奥深さに驚かされる

今日の診療はいつもに増して指先が鋭敏となり

概ね良い治療ができたと思う

約500年前に禅僧の僧侶であった夢分斉が

母の病気を治したい一心で工夫を凝らし

独自の腹診術と、打診法を開発した

この人の病を治したいという一念

これこそ医療の原点である

またまた寒湿邪の影響

寒冷前線が日本の南に横たわっている

異例の気圧配置の8月だった

北からの冷たい空気の影響と南からの湿気

朝晩は過ごしやすいが

真夏のパジャマと夏蒲団で寝ていたり

昼間に半ズボンで過ごして

下半身が冷えている患者さんが多い

二四節気では既に立秋が過ぎて秋の気配を感じるので

衣服と鍼灸治療で調節して寒湿邪を受けないようにしたい

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舌診による瘀血

ある患者さんの舌背

主訴:顔面の痙攣と頸肩部の慢性的な痛み

弁証:肝鬱化火・瘀血証

舌辺の暗紅色が顕著

原因は食生活の乱れ

駆瘀血の処置とともに

食養生の指導をした

このまま放置していると

循環器疾患のリスクが高いことも付け加えた

続いて今夜は院内勉強会

今日の7人の新患さんのカンファレンスと

問診のトレーニングを2班に分かれて行う予定

不眠と心兪

不眠の訴えは多い

以前このブログで不眠の中医学的な分類を示したが

五臓の”心”の問題で眠れない場合

心陰虚の不眠

心腎吹不交の不眠

心脾両虚の不眠

以上に分類できる

背部兪穴の心兪に虚の反応が顕著に表れている場合

虚側の心兪に鍼を打ち

左右に交互にお灸をすえるととても効果がある

施術した夜は必ず眠りが深くなり

催眠鎮静剤を用いるより遥かに自然な眠りを促すことができる

風邪の変遷その2

≪黄帝内経素問・熱病篇 第三十一≫

傷寒(風邪)の過程において3日を過ぎたものは

病邪は裏陰の内臓の経脈に入っているので

邪気を下方に漏らす瀉下法を使えば軽快する

風邪の変遷その1

≪黄帝内経素問・熱病篇 第三十一≫

傷寒(風邪)の過程において

第一日目は太陽経が病邪の侵襲を受ける

太陽経は頭から背部を通り腰から下肢の背面を経て足に至る

そこで病を受けると後頭部や項、背中や腰が痛む

治法は発汗法で、鍼は瀉法治療後に速やかに発汗すれば

風邪の病は素早く癒える