椎間板ヘルニア

【腰椎椎間板ヘルニア】

当院の受診患者さまのなかで、主訴が「腰痛」を訴える方は約30%あり、
受診患者さまのなかで最も多くなっています。

「腰痛」と一言でいっても様々な原因に分かれ、痛みの種類や病気の経過も
異なります。
急性腰痛「ギックリ腰」の原因は椎間関節や、仙腸関節の捻挫が多く、
痛みが激しい割には比較的早く治癒するケースがほとんどです。

慢性腰痛の場合は原因が様々で、その多くは腰椎や椎間板に何らかの異常
がみられることが多く、年齢構成で見ると、20歳代~50歳代までは腰椎椎間板ヘルニアが最も多く見られます。(下肢の症状が全くなくても)
受診前に整形外科などを受診し、正しく診断されている場合が多いのですが、X腺検査だけで異常なしと診断されて、当院よりMRI検査を依頼して初めてヘルニアがわかる場合も多くなっています。

椎間板ヘルニアは、理学的な検査やX腺検査、MRI検査を経て正確な診断が
できるので、整形外科の受診歴がない方で、椎間板ヘルニアが疑われた場合には、症状の程度によっては当院からMRI検査を依頼して、画像を確認させていただいております。
当院では腰椎椎間板ヘルニアと正しく診断されただけで、100例以上の症例があり、そのうち症状緩解又は治癒に至った症例は約80%です。
鍼灸治療をしても痛みが緩和せず、結果的にPLDDや顕微鏡下によるOpeに至った例は2~3%ありますが、受診に至るまでに神経ブロックなど、西洋医学の治療を受けても緩解せず、あとは手術しか方法がないといわれ、鍼灸治療を続けて治癒した例なども数多くあります。

花粉症と鍼灸

今年(平成22年)の冬は厳しい寒さが続くので、
スギ花粉の飛散は遅れているようですが、
患者さんのなかには、早くも花粉症を訴える方もが増えてきました。

なぜ花粉症にによる症状が出る人と、出ない人がいるのでしょうか?
当院では花粉症になりやすいタイプを分類し、根本的な原因(内因)
を調べることで、治療に役立て養生法の指導をさせていただいています。
1・脾虚湿盛
  胃腸の弱りで体内の水の代謝が低下し、水邪、湿邪を形成する。
  鼻水があふれ出るようなタイプに多い。
  飲食の不摂生も関係します。
2・肺気虚
  元々肺の機能低下があったり、風邪を引くことがきっかけで
  鼻水・鼻づまりが起きやすくなります。
3・肝気上逆
  イライラやストレスがにより、肝気が上逆し発症する。
  眼の痒みや、鼻から喉にかけての違和感が生じます。
4・腎虚
  先天的な虚弱体質、持病が長期化したり、過労により腎精を消耗する。
  津液が停滞し鼻水が溢れる。
5・脾胃湿熱
  体質的に湿熱傾向のある方(油ものや味の濃いものを食べすぎ、
  酒の飲みすぎなどにより、湿熱が脾胃に停滞し眼の痒み眼の充血
  がみられる。

ざっとこのような原因に分類して治療をします。

花粉症になりにくい体質にするには
1・ストレスをためない
2・イライラしない
3・脂っこいものや、スナック菓子等の過食、お酒の飲みすぎ、
  水分の取りすぎに注意する。
4・風邪を引かないよいうに休養、睡眠を充分とり、
  うがい手洗いをしっかりする。

これだけのことに注意しても花粉症が治らない方には鍼灸治療を
お勧めします。当院では87%の有効率です。
[http//www.n-acp.com]

眩暈(めまいと鍼灸

症例報告
嘔吐を伴う眩暈は急に発病し、ひどいと食べることも動くこともできなくなる
怖い病気ですが、本日、鍼灸治療が著効を現したので報告します。

主訴:吐き気を伴う眩暈(めまい)
患者:61歳女性
現病歴:3日前の朝起床時に急に回転性のめまい発症、数回嘔吐する、
    かかり付けの病院で点滴を受けるが症状に変化がない。
    昨日イチゴを食べたが吐いてしまう。胃がムカムカして何も食べられ    ない。起き上がるときには眼をつぶっていてもめまい
    がする。
所見:3日間で4キロ痩せ、気色は白く、元気がないが、神はあり。
   脈診は浮弦数、舌診は微黄の膩苔(べとべとした苔写真参照)
   強い口臭、腹診では心窩部に熱邪を触れる。
   眩暈が起きる前日に焼きそばやチーズ等を食べ過ぎたとのこと。
弁証:痰濁中阻による眩暈
処置:清熱化痰を目的に、長さ30ミリの直径1番(0.16ミリ)鍼で左の
   内関、太衝に10分置鍼。その後右の肝兪、脾兪に10分置鍼。
   処置後に脈緩み。眩暈が軽減したので、治療を終える。
翌日:治療後の夜に少しお腹が空き、おかゆを食べたが吐くことはなかった。
   眩暈はほとんど感じない、胃のむかつきが残っている。
処置:左内関、公孫に10分置鍼、足の三里に半米粒大で八分灸を7壮すえる。
   治療後には元気が出て食欲が出てきた、めまいは消失した。
考察:脂っこく消化の悪いものの過食によって、脾の運化が失調し、痰湿が
   生じ、精陽の昇るのを阻害したと考えられる。

中医学による眩暈の分類は以下の通りです。
実証 肝陽化風(ストレスや怒りによって発症しやすい)
   痰濁中阻(飲食の不摂生が原因となることが多い)
虚症 陰虚陽亢(陰虚による虚熱が上亢しておきる)
   中気不足(胃腸の虚弱の体質や過労が原因)
   心脾両虚(過度の過労や出血のために心脾が虚損して上部の栄養障害
        によておきる)
   腎精不足(老化による腎気の虚弱で髄が満たされないために発症)

写真によって少し黄色がかって、べとべとした舌の苔の状態がよく分かると思います。脾(消化吸収の機能)が弱るとこのような舌になります。
このように、中医学では眩暈の分類をしており、詳しい問診や体表観察、脈診
や舌診、腹診などによって、病態を弁別して治療の方針を立てるのです。

めまいや頭のふらつきなどには鍼灸治療をお勧めします。

不妊治療

妊娠しました!

月経不順と不妊症で通院していたMさん(30才)が結婚3年目で、この度
めでたく妊娠が確認できました。
この患者さまは「気血両虚」という症で、1年間週に1回の治療を続けた結果、
体質改善ができ妊娠につながりました。
不妊症には「肝鬱気滞」「瘀血」「気血両虚」「腎気虚」等その原因は様々です。
生理不順や、冷え症はもちろん、治療が長期にわたる場合は、不定愁訴が多いタイプが多いようです。
臨床家にとって、不妊症の患者さまの妊娠の成功ほど苦労の報われる治療はありません。Mさん本当に良かったですね、おめでとうございます!

逆子の治療

いわゆる「逆子」の治療に鍼灸が有効なのはまだあまり知られていません。
妊婦さんが産婦人科を受診中に「逆子」と診断されるのは28週頃からが多いようです。
鍼灸治療で最も有効な治療期間は28週から32週の間で、当院でその間の成功率は約80%です。
やはり早期の治療が最も効果的です。
【症例】
10月31日に来院された24歳の第2子の妊婦さんは30週と6日でした。
三陰交という下腿内側のツボに鍼を10分間置鍼して、温灸をし、右の肩こりのツボに3本置鍼しました。11月2日産婦人科でエコー検査で正常位に戻ったことが確認されました。この症例は1回の治療で成功した例ですが、平均すると3~4回で正常位に戻ります。
しかし、あくまで、28週から32週の間で早ければ早いほど効果的です。
また、経産婦さんも成功率が上がります。
逆子と判ったらお早目の受診をお勧めします。

研修会

26日に京都で北辰会の夏季研修会が開催され、参加してきました。

私が参加したのは、体表観察・実技上級者コースで、
苦痛を訴える患者さまにたいして、どういった手法で診察し、治療をするかという、鍼灸臨床の最も大切かつ、奥の深いテーマでありました。

体表観察とは・・
生体の体壁を治療家の手指をもって、直接按じて診ることを中心として、
体表及び体内の状態を察知することであり、この中には、気色、色、形態等を視覚を通して観察することなど、直接体表に触れないで行う間接的体表観察も含まれます。

その内容は、
1・顔面診 2・眼診 3・爪甲診 4・舌診 5・脈診6・腹診 
7・原穴診 8・背候診と数多く、一つ一つここで解説するのは膨大な内容になるので今日は控えますが、東洋医学では、西洋医学と大きく違うのが、この体表観察の内容の深さであるといえます。検査機械や血液検査などの数値だけでは現れない、微細な体表の病的な状態を、見て、触って、詳細に観察することがとても大切なのです。

体表観察した結果として、どういった治療をするのかという、治療方針が見えてくるのです。

全日本鍼灸学会学術大会

6月9日~10日に岡山県倉敷市で
全日本鍼灸学会学術大会が開催され参加してきました。
200を超える演題の発表や、シンポジウム、特別講演など
多彩なプログラムが分科会式で同時進行で発表されます。
参加者は1500人を超え、大変盛況でした。
特に興味深かったのは、”自然治癒力””免疫”というキーワードです。
癌を含めて、病気になるのも、病気を治すのも”免疫力”が深くかかわ
っていています。
鍼灸治療は、誰でも持っている免疫力、自然治癒の働きを、引き出して、
高めることができる数少ない医療です。しかも、副作用が少なく、ローコストの医療です。
病気になったときは、鍼灸治療で気血の巡りをよくして、自然治癒力を高め、
さらに、食事や生活習慣の”養生”をすることが何より大切ではないでしょうか。
免疫学の権威とされる学者や医者が、「2ヶ月以上薬を使っても変化がなければ、薬を止めなさい。」とおっしゃっていました。
長期間効かない薬を使っていると、自然治癒力を損なうだけだと・・・
ヒトの自然治癒力、免疫力は場合によっては”癌”をも消退させる力があるんだと・・・

来年は京都で同学術大会は開催されます。

鍼灸学会学術大会参加

6月9日(土)10日(日)は臨時休診です。
岡山県倉敷市にて鍼灸学会学術大会が開催されます。
しっかり勉強してきますので、報告は後日いたします。

慢性頭痛の著効例

症 例:24歳♂

主 訴:6年間続く慢性頭痛、背中のコリ、倦怠感

現病歴:18歳に「肺胞低換気症候群」と診断されて、ステロイド剤を内服を始める。
    以降慢性の頭痛発症。主治医はステロイドの副作用ではないかという意見。
    ほとんど毎日頭頂部の頭痛があり、時々拍動性の偏頭痛に悩まされている。
    週に2~3日はロキソニン(消炎鎮痛剤)を内服してしのいでいる。

治 療:脈診、舌診、腹診、望診、等により中医学で”肝腎陰虚症”と診たて、
    1寸の3番鍼で右照海、太衝に置鍼10分、火曳の鍼を関元に当てて、
    渋脈が緩んだのを確認して、風池、肩井、霊台に置鍼10分。
    という処置を2回して、本日来院時には毎日の頭痛がなくなり、
    ロキソニンも治療を始めてから1回内服しただけとのことでした。

考 察:虚熱(陰陽のアンバランスで発生する熱)が上亢(頭に熱が上る)して、
    頭痛が慢性化していたようです。
    頭の内熱を冷まし、内熱を体の下へ引き下げる処置がうまくいって、
    2回の治療で6年間続いていた頭痛が緩解してきたと考えております。
    これからも、経過観察する必要がありますが。
    僕たち臨床家の最大の喜びは患者さまの「楽になりました!」という言葉と、
    心からの笑顔を見させて頂くことです。
    仕事の疲れがその一言で吹っ飛び、あ~鍼灸師になってよかったな~・・・と
    しみじみと思います。
    19年臨床していてもやはり”初心忘るるべからず”ですね。

    治療院の前の八重桜は早くも満開になりました!
    明日写真をアップしますね。

    

腰部脊中管狭窄症

4月4日に報告した脊中管狭窄症の患者さま
最近は2~300mは休まずに歩けるようになりました。
このまま順調に回復してゆくことを期待したいと思います。

治療院の前の通りは、300mくらい八重桜が両側の歩道に植えられています。
このまま寒波が来なければ、月末には美しい濃いピンク色の八重桜が満開に咲き誇る
でしょう。
そのときには写真をアップしますので見てくださいね。