「食べたいのに食べられない」…摂食障害への鍼灸的アプローチ
今回は、摂食障害の症例検討会を行いました。テーマは「神経性過食症(過食嘔吐)」について。
摂食障害とは、体型や体重への強いこだわりや不安が背景にある心の病気です。
過度な食事制限、むちゃ食い、嘔吐など、人によって現れ方はさまざま。
学校や仕事、家族との関係にも大きな影響を及ぼします。
今回取り上げたのは、20代女性のケース。
成人式をきっかけにダイエットを開始。
1日500〜800kcalという極端なカロリー制限で、3ヶ月で13kgの減量。
BMIは16台まで落ち込みました。
ある日、お菓子を一口食べてしまったことをきっかけに、過食が止まらなくなり、嘔吐も習慣に。
このように、過食と嘔吐を繰り返す状態を「神経性過食症」と呼びます。
背景には、飢餓状態による強い食欲の反動だけでなく、
「もっと痩せたい」「人と比べてしまう」といった歪んだボディイメージ、
そして自己肯定感の低下が大きく影響しています。

私たち鍼灸師にできることは何だろう?
ディスカッションの中から、こんな視点が生まれました:
- ストレスや抑うつによる「肝鬱気滞」への鍼灸治療
 - 胃腸の働きを整える「脾胃」のサポート
 - 「食べたいけど食べられない」という葛藤への共感
 - 少しずつでも食事量を増やす工夫や声かけ
 - なぜ体型にこだわってしまうのか、その背景の理解
 
じつはスタッフの中にも、減量や制限の経験を語ってくれた人がいました。
体型コンプレックスや他者との比較には、誰しもが少なからず共感できる部分があるのかもしれません。
摂食障害は一朝一夕に解決できるものではありません。
でも、鍼灸のアプローチで「からだとこころのバランス」を整えることで、
回復への小さな一歩をサポートできる可能性がある――そう感じた勉強会でした。
