帯状疱疹後神経痛の症例

60代 女性

主訴:右手掌のしびれ、右手の筋力低下

現病歴:X年9月頃、庭仕事の後から右前腕に強い痛みを自覚。

10月初旬になると手に発疹が出現したため、近医の皮膚科を受診して帯状疱疹の診断。

発疹はおちつくが、しびれが軽減しないため当院に受診。

現症:右のC6-C8領域に発疹(痂皮化)、右の第3~4指の先端は知覚過敏

握力は右8kg、前腕や手指の筋力低下が顕著

西洋医学的病態:帯状疱疹による神経障害性疼痛
治療:4診目までは合谷、神門などを選穴、5診目移行はC5-6傍脊柱部、尺骨神経走行部などへ刺鍼

経過:初診治療直後に握力8kg→10kgへ増加、しびれも10→7へ軽減。

その後も、ステロイド、リリカなど薬物療法と鍼灸治療を併用し、1ヶ月半ほどで完治。

握力も左右差ほとんど無くなるまで改善しました。

考察:帯状疱疹後神経痛は60歳以上や、初期の疼痛の程度が強い場合、

難治性で慢性疼痛に移行しやすいと言われています。

本症例でも、初期の疼痛の程度は強く、高齢でありました。

また、感覚神経だけではなく、運動神経の麻痺が起こっており、予後不良と思われましたが、

薬物治療と鍼灸治療の併用で、約2ヶ月で完治する事ができました。

発症初期になるべく早く抗ウイルス薬を開始し、鍼灸治療を併用することで、

帯状疱疹後神経痛の遷延を予防することができます。