顔面神経麻痺の症例

40代 男性

主訴:右顔面神経麻痺

現病歴:1週間前にカゼをひいた後から、口が開きにくい、目が閉じないなど、

顔面の動かしづらさを発症。D病院で顔面神経麻痺と診断され、ステロイド、抗ウイルス薬開始。

現症:柳原法8点(重症)、表情筋は軽度収縮あり

現病歴を詳しく聴取すると、カゼを引いている状態で無理に仕事をしたとのこと。

もともと呼吸器系が弱く、カゼをひきやすい体質だった。

西洋医学的な病態:末梢性顔面神経麻痺(ベル麻痺)

東洋医学的な病態(弁証):風湿熱、空間右上の気の偏在、脾胃湿熱

治療:翳風、外関(顔面神経走行部)、右胃兪(空間の歪みの調節)

顔面神経麻痺は、東洋医学的に外感の邪(外から体の中に侵入する邪気)が原因です。

特に、風邪、湿邪、熱邪などが経脈に侵入すると麻痺を発症します。

主訴を発症した前日は、春一番が吹き、風が強く、日中の気温が急激に上昇した気候でした。

このような気候の場合、「風邪」が体に侵入しやすい状態となります。

もともと呼吸器系が弱い人は、衛気(体をまもるバリア)が弱っているため、

容易に外感の邪を受けてしまします。

顔面神経麻痺は、再発する場合もあるため予防法として、呼吸器系の症状をコントロールして

衛気を高め、免疫力を落とさないことが重要です。