腰部脊柱管狭窄症の重症症例

70代♀

主訴:右大腿部の激痛

現病歴:今年の4月ごろから痛みで歩けない

    寝起きや歩行時に右大腿全面~内側の激痛

弁証:気滞血お・右胆経の気の偏在

初診:平成24年5月14日

処置:当初は足臨泣や三陰交で駆お血の処置をしてある程度の効果があったが

   MRI検査を依頼した医師からはL3/4/5後方辷り症、L4/5にて脊柱管狭窄

   の診断で、手術の検討を打診された

   その後、帯脈穴を使うようになってから、症状は緩解し、歩行痛、運動痛は

   消失し、検査を依頼したクリニックを再受診した際には、Dr 看護師等の

   スタッフが歩行の状態の変化に驚き、手術も見合わせることになった

   
   MRI画像所見や臨床所見で重症な脊柱管狭窄症であっても

   弁証論治と取穴が適切であれば、鍼灸治療は非常に有効であり

   画像所見に頼って安易に手術をしなくてもよい症例を

   当院では数多く経験している

痙攣性発声障害の症例

痙攣性発声障害(SD)

20代♀

主訴:声を出すと喉が締め付けられたり、会話が途切れ途切れになる

現病歴:7年前、カラオケで高い音が出にくくなり異変に気づく

    主訴は徐々に悪化、ボトックス注射受けるが変化なし

脈診:浮・緊・細

舌診:淡紅色・舌尖紅

弁病:梅核気

弁証:肝鬱気滞

処置:蓮風鍼3番で太衝に置鍼10分・第8診目から百会に置鍼20分

経過:第2診目から症状緩解、10診目からはほとんど症状発症しないので

   休んでいたパートを再開し、体の疲れはあるが主訴は発症しない

表情も明るくなり、治療中に笑顔も見られる。経過極めて良好

特発性膝関節骨壊死

【特発性膝骨壊死とは】

大腿骨の遠位部(膝の関節をつくっている部分)の骨が壊死した状態

60歳以上の女性に好発、最近増加傾向にある

まれに大腿骨外側顆部の関節面に発生することもある

急激な膝の痛みで発病する、夜間痛が多く、関節液が溜まることもあるが

炎症期には歩行困難となることが多い

レントゲンには骨壊死は映らないので、MRI検査で確定診断ができる

西洋医学的にはボナロン(異所性骨化阻止薬)が処方されるが

難治性である

【鍼灸症例】

60代♀

2か月前突然発症、MRI検査で特発性骨壊死の診断

夜間痛強く、絶対安静を指示される

膝関節内側部の腫脹・発熱・発赤(+++)膝関節屈曲(+++)

脾経の経絡経筋病と考え、右公孫に蓮風鍼を10分置鍼

直後に発熱(-)発赤(±)腫脹(+)

3回の治療で夜間痛(-)自発痛(-)発熱(-)

たった一本の鍼の効果におおいに喜ばれる

発症後2カ月経過し関節拘縮が残存しているが,可動域は改善しているので

正座も可能になる見込み

鍼灸中心の統合医療その2

前回報告したように名大病院総合診療科で

鍼灸師を中心とした統合医療の研究が始まろうとしている

東洋医学、西洋医学の両面でバランスのとれた知識と技術を持った鍼灸師を募集している

つまり、医師や看護師と西洋医学の言語でコミュニケーションが取れ

東洋医学では専門的な知識と技術を有するスキルが求められているのだ

愛知県内で選考作業を早急に進めているところであるが

無報酬なのでどの程度の頻度で研究会に出席するのかを打診しているところだ

臨床をしながら参加するにはそれなりの覚悟が必要だし

既に申し込みはあるが、慎重な選考が必要だ

我こそはと手を挙げる志の高い鍼灸師は御一報を

鍼灸中心の統合医療

大阪大学で立ち上がったエビデンスに基づく統合医療研究会や

プライマリ・ケア連合学会の中にも、鍼灸の勉強会が立ち上がっており

医師の鍼灸への関心は益々高まってきている

和漢が医師国家試験に出題されるまでになったように

鍼灸やその背景となる東洋医学の考え方を医師が知ることは、必然的になるはず

名古屋大学医学部附属病院総合診療科外来における

研究への協力依頼が愛知県鍼灸専門師会にあった

(以下名大病院からの依頼内容の要約)

上記のような流れの中で、統合医療チームにおいては

鍼灸師に是非とも中心となっていただく必要がある

倫理審査委員会に具体的な研究協力者名を提出することが必要となり

名古屋市内の鍼灸師から、どなたかをご推薦いただけないでしょうか。

異なる体系にたつ療法を否定しないオープンな考えをもち、

筋骨格系以外の症状に対しても対応することができる

伝統的な鍼灸の考え方を大事にしている方が希望です。

ようやく名古屋でも統合医療チームに鍼灸師が関わる時代が来た

しかも鍼灸師が中心となって統合医療の研究を進めたいというのだ

2年前に始まった「鍼灸漢方を柱とした新しい日本型医療の創生の研究」が

名古屋で動き始めたことを実感する

統合医療における鍼灸

名古屋大学付属病院 総合医療チームから、外来診療への鍼灸師推薦の依頼があった

大阪大学で立ち上がったエビデンスに基づく統合医療研究会や

プライマリ・ケア連合学会の中にも、鍼灸の勉強会が立ち上がっており

医師の鍼灸への関心は益々高まってきている

また、鍼灸やその背景となる東洋医学の考え方を、医師が知る必要が差し迫ってきている

名古屋大学医学部附属病院総合診療科外来における研究への協力依頼について

上記のような流れの中で、統合医療チームにおいては

鍼灸師に是非とも中心となっていただく必要があるということで

倫理審査委員会に具体的な研究協力者名を提出することが必要となり

名古屋市内の鍼灸師から推薦できる鍼灸師派遣の依頼が来ている

名古屋では公立病院で鍼灸の研究が遅れていたが

名大病院総合診療科で鍼灸師を中心とした統合医療の

臨床研究が現実的になってきたことは

医療改革の潮流が東洋医学に求められてきたことを示し

患者さん中心の医療(統合医療)が動き始めているのは朗報である

運動と食養生

皆健康になりたいと思い鍼治療を受ける

主訴の軽減は勿論

何故あなたは健康でなかったのかを知ること、気付くことが必要

素人判断やマスコミの情報に振り回されたりすることは論外

あなたは何故病気になったのか

職場や、家庭、人間関係のストレス

不規則な睡眠

不規則な食生活

飲食の偏りや過不足

働き過ぎによる過労

不適切な運動(健康のためと思って始めた運動)

運動不足・・・・

これらは皆患者さん自身の問題であるので

個々にアドバイスをするが

すんなり聞き入れていただける場合が多いが

様々な制約で改善ができないケースが問題だ

病の根本が解決できなければ再発もあるので

患者さん自身で生活の改善に本気で取り組むか否かで

予後も変わってくる

帯状疱疹後神経痛

麻酔科医の書いた本に「帯状疱疹後神経痛は治らない」

と表現されていた。

今治療中の帯状疱後神経痛の患者さんも

国立大学病院で神経ブロックをしても治りにくいと言われている

しかし、我々の経験では「帯状疱疹後神経痛は治ります」である

ラムゼイハント症候群による三叉神経痛は特に治りにくいようであるが

激痛で食事ができなかった患者さんが良くなっている症例もある

鍼治療の可能性は限りなく深く、高く、間口が広いと日々感じている

苦痛を緩和するための理論に基づく知識と、一本の鍼の使い方次第なのだ

三県合同研修会

(一社)愛知県鍼灸専門師会主催

第46回 愛知・岐阜・三重・三県合同研修会のご案内

21世紀の鍼灸ビジョン ~難病治療への取り組み~

平成24年9月8日(土)・9日(日)

会場:KKRホテル名古屋4F

難病治療の可能性に取り組む鍼灸師の臨床報告や実技供覧を3題とシンポジウム

教育講演は名古屋私立大学名誉教授の講演

ランチョンセミナーではランチを取りながら

セイリン株式会社の「セイリンの鍼灸鍼製造工程」

合名会社 亀屋佐京商店から「もぐさ作りの現場から」

など充実した内容になっています。(上記プログラム参照)

本会員以外の学生さんや一般鍼灸師も大歓迎します

8月15日迄の事前申し込みで

会員・学生 参加費5000円(ランチ付き)

一般    参加費8000円(ランチ付き)

お問い合わせは 

(一社)愛知県鍼灸専門師会 Tel 052-908-0123 E-mail:info@aisenkai.harikyu.co.jp

長岡治療院 Tel 052-804-8190 E-mail n_harikyu@yahoo.co.jp

降圧剤不要

80代♂

10数年健康管理として

週に一度の鍼灸治療で通院されている御夫婦

お二人とも持病があったが現在は極めて良好

御主人は最近20年以上内服していた降圧剤がいらなくなった

主治医から「長年降圧剤を内服している80代の患者さんが、

内服を中止した例は極めてまれ」と驚かれていたそうだ

血液検査の経過も極めて良好で

医師から99点とお誉めの言葉を頂いたと大層喜ばれた

我々の臨床では珍しくはなく

降圧剤の減薬・中止した症例は多数経験している