四季における陰陽の法則

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四季における陰陽の法則

≪黄帝内経・素問≫四氣調神大論篇 第四章 第二節より

人体においては、陰は部位としては内臓である

その機能は精気すなわちエネルギーの坦体である栄養素を産生する

同化作用である

陽は部位としては外表の皮肉筋骨である

その機能は、陰が生産した栄養素を使ってエネルギーを消費して活動を行う

異化作用である

秋冬には、活動を控えて栄養を貯え、春夏の活動に備える

これが陰気を養うことである

春夏には、この貯えた栄養素を使って活動する

それが陽気を養うことである

経穴の左右差

富士山12月16日撮影

経穴の左右差

鍼一本で治療する場合は経穴(ツボ)をよく観察することが肝要

弁証論治して治法が決まればあとはどこに鍼を打つか

経穴の左右の差(虚実の差・寒熱の差)が最も大きい経穴が臨床では有効となる

経穴は12種類の経絡上に体の中心から左右均等に配置されている

ゆえに健康ならば同じ経穴は左右の反応も同じであるが

身体のアンバランスが生じると、経穴によっては大きく左右の差が生じることがある

こういった現象に着目して一つの経穴に一本の鍼を打つのである

また、お灸をする際には左右の経穴に交互に灸をすえると、左右の熱感が著しく異なる場合がある

こういった経穴は非常に有効、このお灸を「整えの灸」という

一年前から右の下肢の一部がシャワーの温水を浴びても熱を全く感じないという症例

右腎兪に鍼を打ち、お灸を左右にすえた

初診時は27壮すえてようやく左右の熱感がそろった

数回の治療で9壮で左右が整うようになって、シャワーのお湯の温かさが感じるようになった

1ヶ月でほぼ正常な温度感覚が戻ってきた

最近ではお灸の左右差がなくなり、自覚症状も消失した

舌診その6

陰虚内熱の舌

舌全体の色調が紅舌、紅絳舌(赤みがきつい)で

無苔になり、裂紋(ひび割れ)が見られる場合

陰液を消耗して、陰虚内熱または陰虚火旺という内熱をこもらせた状態である

中医学で弁証すると腎陰虚症、肝腎陰虚症が多く見られる

頬部が紅潮し、手足がほてり、夜間の発汗(盗汗)不眠。頭痛等に悩まされる

鍼治療では「照海」とう経穴を使うとよいが、あくまで体表観察したうえで経穴は決めるべきだ

舌診その5

膩苔(じたい)の典型例

舌苔について

舌に生じる苔については、苔の厚さ、湿潤度、色調を診る

健康なヒトの舌は、色は淡紅色でごく薄い白苔がうっすらと覆っていて

形状も大きくも小さくもなく薄くも厚くもなく、舌裏も鮮やかな薄い紅色

健康な小児の舌が見本となる

舌苔でベタベタした湿った厚い苔は膩苔(じたい)といい湿邪が停滞した状態

色が白ければ「寒湿」、色が黄色ければ「湿熱」の鑑別ができる

水をたくさん飲みすぎた結果生じる場合もある

水分摂取の目安は、苔の状態を毎日自ら鏡で見ているとよくわかる

脾胃の機能が低下した結果生じたり、脂っこい食べ物を過食して生じることも多い

舌診その4

舌診その4

写真はお血の典型例

舌裏(舌腹)の診方

舌苔が厚く舌体の色調が見えない場合

舌裏の色調を診ることで寒熱の判断ができる

また舌裏の静脈(舌下静脈)の状態を診ることで

お血(血液の停滞)血虚(血が不足)の鑑別ができる

お血がきつい場合には舌裏全体、あるいは部分的にお班という

皮下出血のような出血痕が見られることもある

舌下静脈が太くはっきりしているが

白抜けしている場合は血虚お血という

舌裏の状態は特に循環器疾患に罹患するリスクの判断や

すでに罹患している場合治療経過の指標として非常に重要である

舌診その3

舌診その3

舌が腫れぼったく、ぼた餅のように口の幅いっぱいになるときがある

これを胖大(はんどん)舌という

水が停滞し舌体を満たすために生じる

”脾虚”(消化吸収の機能が低下)によって水分代謝が低下することが多い

舌の両側に“歯痕”という歯の痕が生じることもある

このうえに舌の苔がテカテカ光って潤いすぎる場合には”陽虚”といい

身体に停滞した水によって体の冷えがきつくなることが判る

このように舌の形態によっても様々な情報が得られるのである

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舌診その2

舌診その2

例えば風邪をひいて喉が痛い時には

多くは舌の先(舌尖)が赤くなる

身体の上焦に熱が存在することを表す

高熱になると舌尖がイチゴ状の赤い斑点が現われる

アトピー性皮膚炎で顔に赤い湿疹がある場合にも

舌尖が赤くなる

治療によって舌尖の赤みが薄くなってきたら

鍼の効果が確認できる

様々な病気の予後の推察ができるのである

続きはまた明日に

舌診についてその1

舌診についてその1

当院では治療の前に毎回”舌診”をする

舌で何が判るか?

舌の表側(舌背)で色調を診る

赤みが強ければ”熱”傾向

赤みが薄ければ”寒”或いは”血虚”傾向

舌の苔の状態も重要

苔が多く湿っていれば”湿邪”の停滞

苔が乾燥していれば”熱”を表す

苔の色では白ければ”寒”

色が薄黄色から濃くなるに従って”熱”傾向

要するに一言でいえば身体が冷えているのか

熱傾向なのかが一目で鑑別できる

”寒・熱”の鑑別として最も重要かつ正確に判定できるのである

続きは次回に

画像診断と東洋医学

画像診断と東洋医学

脊髄の椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の患者さんはとても多い

MRI検査を依頼して画像で確認することも必要である

椎間板ヘルニアは鍼灸治療が奏功することはブログですでに述べた

MRI検査で椎間板の脱出が確認され「椎間板ヘルニア」と診断されても

鍼治療で痛みやしびれが消失した例も数多い

そこで、再度MRI検査を受けても、画像による変化が全くない場合がある

これは何を意味するのか

ヒトが痛みを自覚するのは、ある一定の閾値を超えたときである

鍼治療で気血の巡りを整えると、痛みの閾値が上がって痛みを感じなくなる

逆にMRI検査で異常がほとんど認められないにもかかわらず

腰の痛みや下肢の痺れを訴える患者さんも多い

痛みの閾値が下がっていると痛みに敏感になるケースである

これにはストレスがおおいに関わっている

ストレスフルになると痛みやしびれに過敏になる

ここでもココロの治療が必要になる

痛みやしびれからココロが執着しなくなれば病は癒える

高血圧症

京都のとある寺

高血圧症

10数年前から本態性高血圧症の60代♂

降圧剤を内服しても血圧が下がらない

初診時には血圧200/90

肝鬱気滞に腎虚と診たてた

左太衝・左腎兪に鍼を置く

1週間後の治療後は

血圧168/96にに下がってきた

一ヶ月に10回の治療をした結果

血圧は138/84と安定

五臓の肝・腎のバランスを整えたことで

血圧を下げることができたと考える

そのほかにも多くの症例がある

降圧剤が不要になり

乱高下する血圧が安定する

高血圧の治療は鍼灸治療が非常に有効であることを

多くの方に知っていただきたい