鍼灸師の区別化

一言で鍼灸師という同じ国家資格を持っていても様々

経絡治療・現代医学的治療・中医学・その他の流派

どこの研究会にも属さない自己流派

鍼灸を医療として取り組んでいない鍼灸師

我々は北辰会という中医学勉強会に所属し研鑽している

常任理事を務める(一社)愛知県鍼灸専門師会では

勉強会や、学会に積極的に参加し常に勉強を怠らない鍼灸師と

ほとんど勉強しない鍼灸師を区別するために

会のHPで会員別に勉強会に参加した記録を報告し

一般の方が自由に閲覧できるシステムを計画している

鍼灸の良さは解っていてもどこに行けばよいのか

医師の先生からもどの鍼灸師がよく勉強しているのか

質の高い医療としての鍼灸治療を提供しているのか解らない

専門書を読むだけでなく

学会や研究会によく出向く鍼灸師は

鍼灸師全体の3割ぐらいと言われている

安心できる鍼灸を受けるための情報を開示する必要に迫られている

ちなみに明日は大阪で北辰会の臨床コースがあるので

県内の6人の鍼灸師仲間と一緒に受講してきます

間違った食養生

胃腸が虚弱で冷え症の女性

元気をつけるために毎日2個の焼きニンニクを食し

体を温めるために生姜を毎日ひとかけ調理して食して2週間

元々逆流性食道炎を患って鍼治療で完治していたが

私の知らないところで素人判断の食養生をされていた結果

胸やけや、みぞおちがつまるといった

逆流性食道炎のような症状がが発症した

問診を詳しくして上記のニンニク、生姜の過食が判明

特にニンニクは胃の弱い人が食べ過ぎるとよくない

さらに生姜は体を温めるが、食べ過ぎもよくない

ニンニクはやめて、生姜の煮汁にハチミツを加えるようにアドバイス

鍼治療は左内関穴の置鍼で胃はスッキリした

食養生は偏らないように注意が必要

そして専門家の意見を聞くべき、といった1症例

傷寒論⑤

太陰病

傷寒の病が三陰病(太陰・少陰・厥陰)の時期に入ると

病邪は体内深く入り込み、生気は虚し病邪の勢いが優勢になるので

虚寒証を呈します

三陰病ではすべて体の抵抗力(生気)を補い養うことを目的とします

太陰病は三陰病の初期の段階で病は主に太陰脾経(消化器系)にあります

消化・吸収の機能が低下して、食欲不振や下痢、腹痛があり

元気がなく体が冷えます、脈は沈で弱くなります

つまり胃の実熱証である陽明病とは全く反対の病態と言えます

太陰病の治療原則は脾を温め元気を補うことで

人参湯や、桂枝加芍薬湯が基本処方、鍼灸は太白、公孫、脾兪、関元などを使います

傷寒論④

少陽病

太陽病が5~6日経過し

寒熱往来(発熱と悪寒が交互に現われる)

胸脇苦満(みぞおちから悸肋部にかけて重苦しく抵抗がある)

食欲不振、脈が硬く緊張した弦脈を呈する時は

病が少陽病に移行したことを示します

少陽病は、陽病の中で太陽病と陽明病の中間的な病型で

太陽病の表、陽明病の裏に対し病は表裏の間

すなわち半表半裏にあると考えられます

少陽病では病邪に対する抵抗力が弱まっており

病邪と生気の力関係が一進一退するので

発熱したり悪感を生じたりします

少陽病では呼吸器や胃腸に症状が現れやすく

風邪をひいても養生ができなかったり

適切な治療がなされないと病は進展します

代表的な処方は小柴胡湯です、鍼灸は三陰交を補い、後谿、天枢、大巨等の反応を

よく調べて決定します

傷寒論③

所謂”風邪”は時間単位で病態が刻々と変化します

太陽病の段階で適切な治療や養生ができれば早期に治癒します

しかし、表(太陽)の部位で治らず風寒の邪が熱と化して体内(裏)

に向かって進展すると、陽明病に移行します

陽明病では病邪と生気の勢力が伯仲し

激烈な邪生闘争が展開されるので熱証が顕著で

裏熱実証を呈します

陽明病は大別して病邪が陽明経絡にある経病(陽明外証)と

病邪が胃や大腸に伝入してしまった腑病(正陽陽明)とがあります

陽明経証は発熱・大発汗・強い口渇・脈は滑又は洪大

治療原則は清熱・基本所処方は白虎湯・経穴は衝陽、内庭、òE兌

陽明腑証は潮熱(毎日一定の時間だけ、多くは午後に体温が上昇する)

腹満便秘・舌苔焦黄・脈沈実有力

治療原則は瀉熱と攻下で・代表処方は大承気湯・経穴は上巨虚

病は非常に動きやすいので正確な診断が必要な時期である

傷寒論②

所謂”風邪”は傷寒論により

太陽病・陽明病・少陽病・太陰病・少陰病・厥陰病に分類される

太陽病の解説

風寒の邪によって引き起こされる傷寒の最初の段階(風邪の初期症状)

病邪と生気のの闘争はまだ体表部に限局されているので”表証”を呈します

風寒の邪が原因で発病するので”表寒証”を呈し

主症状は悪感・発熱・頭項強通・脈は必ず浮きます

従って治法は温めながら発汗させて邪を散らします

表寒虚証の”中風”には漢方薬は桂枝湯を用い

表寒実証の”傷寒”には漢方薬は麻黄湯・葛根湯を用います

鍼灸は外関・風門・合谷等の左右差を診て使います

≪お知らせ≫

12月5日午後の診療は研修会のため休診させていただきます

[http://www.n-*acp.com]

鍼灸学会勉強会

昨日は名大病院内の鶴友会館で

愛知県鍼灸学会主催研修会があった

演題は「小児脳障害に対する頭鍼療法と体鍼療法の併用について」

「中医師による漢方薬の処方について」

大先輩のT先生による小児脳障害の治験データーは大変価値があり

48症例の有効率は疾患にもよるが60~70%

小児の癲癇には優位に有効性あることがEBMに基づいて示された

愛知県鍼灸学会代表の山田鑑照先生(医学博士)の論文によって

小児脳疾患の有効性に確信を持って治療を積み重ねたことを強調されていた

以下は山田鑑照先生HPの論文ページアドレスなので参考にされたい

http://www.geocities.jp/kansho55/ronbun/dis9.htm

また、名大付属病院所属の中医師 胡暁晨先生は

中国の漢方薬やエキス剤の生薬を実際に舐めたり、飲んだりして

味覚で薬効を勉強させていただくという

貴重な体験をさせていただいた

漢方薬の治法治則も大変興味深く

有意義な2時間だった

虚実について

≪黄帝内経・素問≫通評虚寛論篇 第二十八 第一章 虚実論

病変を起こしている局所の組織が硬くしこり

充実した状況を示す時、これを実と言う

邪気すなわち外来性の病原因子の侵襲力が強く

人体の反応力も強く

両者が激しく拮抗する時に起こる

局所の組織の緊張が低下し

軟化、陥凹など虚弱化した反応を示す時、これを虚と言う

精気すなわち人体の抵抗力が脱落した時は

邪気に一方的に侵害されてこの様な状態を引き起こす

鍼灸治療を始めるときに最も基本的な診断は”虚実”の判定である

傷寒論①

『傷寒雑病論』は後漢の末期

張仲景(AD150年~219年頃)によって書かれた著明な医学書

その功績により後世の医家から「医聖」と崇められている

「傷寒」とは広義では外邪の因子によっておこる、外感病全般を指しており

狭義では特に風寒の邪によって引き起こされる、急性発熱性疾患を指している

漢方の立場からみると、風邪やインフルエンザを始めとする多くの感染症が

「傷寒」の範疇に属す

日頃の臨床では急性に発症した「喉の痛み」「寒気」「頭痛」「咳嗽」

などの所謂「風邪」の初期症状の鑑別に『傷寒論』の知識が必要

風邪が長引いたり急変した場合にはさらに深い知識が必要となる

以下は次回に続く

会話ができた!

40代♀

脳梗塞により右半身麻痺・記憶喪失・認知能力低下・会話成立せず

百会に鍼を打った瞬間

「ここはどこですか?」

「ここは鍼の治療院ですよ」

「僕の顔覚えている?」

「知っています」

「名札の名前が読めますか?」

「な・・が・・お・・か・・」

「すごいね!初めて会話ができたよ!」

「(^・^)満面の笑顔」