高齢者の高血圧

本態性高血圧症で長期間降圧剤を内服している高齢者は多い

降圧剤は一生飲まなければならないと考えるのは西洋医学の常識

しかし、鍼治療で血圧が下がって、降圧剤が減量又は不要になる症例を

我々は多く経験している

主治医は血圧測定をするたびに何故下がるのか理解できないようであるが

血圧は数字に表れるので、下がり過ぎる血場合減薬は必然となる

中高年の女性の急性腰痛

中高年の女性で急性腰痛が、腰椎・胸椎圧迫骨折であることは珍しくない

腰椎圧迫骨折はレントゲン写真で診断できることがほとんどだが

MRI検査で診断されるケースもまれに遭遇する

よって、急性腰痛で寝起きの痛みが最もつらく

腰椎棘突起に叩打痛が認められる場合は、必ずレントゲン検査を依頼するようにしている

レントゲンで異常がなくとも経過が悪い場合にはMRI検査も必要

腰椎に異常が認められない急性腰痛と比較して

治癒までの経過と養生法が全く異なるので、検査と経過の説明が大切だ

軽症でも痛みが軽減するまで1ヶ月程度かかることもある

しかし、鎮痛剤やコルセットに比較すると治癒までの期間が短縮されるので

鍼灸治療は相対的適応症と考えている

骨は何のためにあるのか

ヒトの体は206個の骨の集合体である

206個の骨で形成される骨核の役割とは?

二足歩行のヒトの体を支える脊柱や骨盤

五臓六腑を守る肋骨等から成る胸郭

しかし、骨が持ついちばん大切な役割は

実はカルシウムを貯蔵することである

ヒトの体には約1㎏のカルシウムがあり

その99%骨や歯に貯蔵され

食べ物に含まれるカルシウムが吸収されて骨に貯えられる

全身の組織でカルシウムが必要になると

骨から溶け出して血液によって運ばれる

この貯蔵のバランスが崩れ、骨のカルシウムが減ると

「骨粗鬆症」が起こり、骨折のリスクが増えるのである

舌痛

60代♀

主訴:数年前から舌先がピリピリし口が乾く、動悸イライラ

メイラックス0.5㎎、抑肝散を内服するも変化なし

一日中舌先のピリピリした痛み、やる気が出ない

1時間の問診と体表観察で、弁証は肝鬱化火

左後谿に1寸1番で10分置鍼(切皮程度の刺入)

2日後に第2診、翌日から主訴消失、気分も明るくなる

脈は沈虚なので抑肝散は強すぎるのでは?

お薬の内服もいらなくなるでしよう

急性腰痛の養生法

急性の腰痛はこの季節に多い疾患の一つ

多くは風寒邪の影響を受けて発症するが

発症後2~3日はカイロや温泉等で温めると、悪化するので注意が必要だ

今日も坐骨神経痛が発症して温泉に3日続けて入り悪化した症例や

ぎっくり腰で自宅で入浴し、さらにカイロを貼ってて悪化した症例

に遭遇した。初期は関節や筋肉に炎症が起き、熱による痛みが主体なので

冷湿布で冷やして安静が必要であるが、

安静にできない場合は自宅ですることは冷湿布で冷やすことだ

多くの場合温めてはいけない

動けない程の腰痛であれば、要請があれば往療に伺うことも可能なので

無理に来院されるよりも冷やして安静が一番

介護予防運動

この10年間で要支援、要介護を含む

要介護認定者数は218万人から455万人に

倍増している

寝たきりの原因は

①脳血管障害(脳卒中など)25%

②高齢による衰弱 17%

③骨折・骨折 12%

④認知症 11%

⑤関節疾患 11%

⑥パーキンソン病 6%

⑦その他 17%

所謂”老年症候群”としての寝たきりを予防することで

生活の質を高め、医療費の抑制ができるのだ

介護予防運動指導員という資格を有する我々ができることは

転倒予防、廃用性症候群からの運動機能の向上などにより

要介護にならないようにする運動訓練を指導することで

外来患者さんに適切なアドバイスをしつつ

往療患者さんにはさらに積極的な関与をしている

入居施設内での運動訓練をすることで

施設から自宅に戻ることができた症例もある

病気の予防とともに今後は要介護にならないために

介護予防運動への取り組みも重要になってくる

陰陽平衡の法則による厳冬

今年の冬は全国的に寒さが厳しい

今年の夏は猛暑であった

猛暑=陽が極まると

陰陽の平衡を保つために

冬の厳しい寒さ=陰は極まる

陰陽平衡の法則から引用すると

今年の冬の寒さは自然界の陰陽のバランスを保つための

自然の摂理と東洋医学は教えている

寒さ=寒邪による影響は体に現われ

ノロウイルスや、インフルエンザの流行に繋がる

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内痔核に刺絡

80代♀

内痔核が腫れて肛門の痛みで排便できないという

体表観察で百会の熱(++)

百会の刺絡をして数時間後には内痔核の腫れが引き

痛みなく排便できたと喜びのお電話をいただいた

百会と肛門は督脈という経絡で繋がり

痔疾患にとても効果的、刺絡による放血によって

内痔核の鬱血を速やかに改善することができる

慢性副鼻腔炎

1年前からの慢性副鼻腔炎

抗生物質が効かず、頭痛のため毎日鎮痛剤を内服

上顎洞、篩骨洞に膿が溜まって頭痛となる

右合谷瀉法、しん会から刺絡

直後より頭痛から解放された

このような抗生物質に抵抗する慢性副鼻腔炎に

中医学によるアプローチは有効であることを多く経験している

但ししばらく週に1~2回の通院が必要

鍼灸学校と人間教育

鍼灸の専門学校は数多いが

コミュニケーション能力を

教育している学校はまだ少ない

社会経験のない若い学生だ

人とのコミュニケーション能力を教育することは

必須ではないかと感じる

治療家である前に、社会常識をもち、正しい言葉づかいができる

教養のある人間であってほしい

院内教育のありかたも考える必要があるのかもしれない