COPD患者への鍼治療

鍼治療で慢性閉塞性肺疾患(CODP)

の息切れ及び酸素の状態を改善できるとの報告が

医学学術雑誌Archives of Intemal Medicine誌に掲載された

(Vol 172.No.11:2012)

明治国際医療大学鍼灸学部准教授の鈴木雅雄氏による研究で

鈴木氏らは息切れを有する軽症から最重症までのCODP患者26人

を対象に鍼治療を週に一度10週間おこない

息切れの評価を6分間歩行で行った

その結果、息切れスケールで4から2まで改善し

さらに動脈血酸素飽和度も88.5%から91.4%まで改善した

この結果から鍼治療には息切れを改善するばかりではなく

酸素の状態も改善する効果があることが分かった

COPD(慢性閉塞性肺疾患)患者への朗報となろう

※この記事は朝日新聞社発行のメディカル朝日に掲載された内容から引用

虚側の天枢で腰の激痛が著効

40代♀

腰の激痛が3ヶ月続き

整形外科や接骨院で治療を受けるも悪化の一途

空間診で右天枢(健側・虚側)に1番鍼で補法

右腎兪に補法で置鍼

2診目には痛みが9割軽減する

この患者さんは脈診で沈虚、素体は虚証

弁証は脾腎両虚証

K先生の虚側の天枢の補法が著効したという症例

〔〕

眩暈鑑別診断

西洋医学による眩暈の原因は

1.慢性中耳炎由来の内耳障害

2.メニエール病

3.遅発性内リンパ浮腫

4.眩暈を伴う突発性難聴

5.外リンパ浮腫

6.前庭神経炎

7.良性発作性頭位眩暈症

8.中枢性頭位眩暈症

9.薬物による前提障害

10.内耳梅毒

11.ハント症候群

12.聴神経腫瘍

13.椎骨脳底動脈循環不全

14.血圧異常による眩暈

15.頚性眩暈(頚部外傷後の眩暈)

16.心因性眩暈

※1897年めまいの診断基準委員会答申書より

このように多くの原因が上げられるが

腫瘍による眩暈以外はすべて鍼灸適応症と考える

原因により治療効果に差異はあるが

我々は除外診断をしながら

東洋医学的な弁証論治によって予後を推定し

対応することが我々の仕事と心得ている

〔〕

頭位眩暈症

40代♀

朝から眩暈

頭を下に向けたりする動作でフワフワする

左内関、公孫で1回で治癒

眩暈の原因で除外すべきは頭蓋骨内の器質的病変

例えば脳や下垂体の腫瘍、脳血管疾患

しかし、外来で自力で来院可能な症例の殆どは

メヌエル氏病以外は

”良性発作性頭位眩暈症”BPPVが最も多い

この疾患は鍼灸で治しやすいので

精査を受ける前に鍼灸治療を試してみたほうが

治癒までの期間が早くなる

〔〕

未熟児への外射法

35週で生まれた未熟児

生後2週間

気色は黒ずみ先天の腎気不足が見られる

関元に24金のてい鍼を皮膚から2㎝離して翳す

鍼が触れていないのにその瞬間赤ちゃんの体がビクッと動き

両親大いに驚く

補腎の処置で健やかな成長を願う

※5日(日)6日(月)休診となりますので

ブログもお休みさせていただきますm(_ _)m

〔〕

空間診による腱鞘炎治療

50代♀

利き腕の小指屈筋腱の腱鞘炎

以前から度々発症

空間診により右上の気の偏在を認め

右梁門に3番蓮風鍼を横刺で切皮直後に

手首の背屈、掌屈の痛みが消失

10分間置鍼後に自覚他覚とも痛みは消失

右梁門穴は臍の右上に位置する

空間的な右上の気の偏在を整える効果が高い経穴だ

日本の鍼灸の起源

日本での鍼、灸、湯液などの伝統中国医学は

遣隋使や遣唐使などによってもたらされたとされている

藤本蓮風先生の”蓮風の玉手箱”によると

http://www.sankei-kansai.com/2013/04/27/20130427-064781.php

宮内庁正倉院事務所長の杉本一樹氏との対談で

興味深い事実が語られている

8世紀奈良時代の六法全書ともいえる

『律令』(日本思想大系)に

「医疾令」として国家の医療制度について定めてあり

鍼師(官職名としては針博士・針師)

が医師、按摩師などと共に存在していたと記述されている

従って日本の鍼治療の起源は約1200年前に遡る

世界的にみても”最も繊細な鍼治療”が

現在迄連綿と受け継がれてきたことになる

逆流性食道炎著効

50代♀

1年前から胃酸が上がって喉がヒリヒリする

逆流性食道炎の診断

内服治療するも効果なく当院受診

来院時に仰臥位は上半身を上げてしか寝れない

舌:やや暗紅色、微黄苔、舌尖紅

脈:沈虚・胃の気あり

弁証:肝気犯胃

処置:左内関

初診時夜からよく眠れる

第2診で主訴緩解しはじめる

第4診でほぼ主訴消失,食欲亢進

上半身はフラットで眠れるようになる

逆流性食道炎で苦しんでいる多くの患者さんに

鍼灸治療の有効性を知って頂きたい

〔〕

大学合格メール

大学受験中に腹部ガス貯留による

腹部膨満感で苦しんでいた患者さんから

無事難関突破し大学合格し体調も良くなったと

喜びのメールをいただいた

途中で治療にこれなくなる患者さん

我々はとても気になるものである

経過報告のメールは大歓迎!

受験勉強中のストレスで病気を発症し

鍼灸治療で乗り越えた若者を

25年間数多く診させてもらった

めでたく合格し新しい生活に順応することで

おおかた病は癒えるものだ

24日(水)25日(木)は社員旅行で休診となり

ブログも休ませていただきますm(_ _)m

〔〕

鍼治療の起源は?

鍼治療の起源は中国ではなく古代ヨーロッパにあった?

過日NHKで最古の冷凍ミイラ”アイスマン”の特番があった

http://www.nhk.or.jp/special/detail/2013/0324/

この番組はとても興味深く視聴した

”アイスマン”を解凍して調査したところ

現在の経穴(ツボ)と一致する部位に入れ墨の痕があり

鍼治療を受けていた様子を連想させたのだ

アイスマンは約5千年前のヒトである

これを信頼できる専門家が分析した結果

15か所の入れ墨のうち9か所はツボと重なるか

5mm以内のずれの範囲内にあったという

特に、背中に見られる5か所の入れ墨は

膀胱経のツボに重なるかごく近傍にあった

左足くるぶし側面に見られる2つの入れ墨のうちの1つは崑崙穴に近い所にあった

この事実は、治療を目的とした鍼が行われるようになった時代が

古代中国における伝統医学の発祥(およそ1,000 B.C.とされる)

よりもはるか昔であったという

”衝撃的な発見”になる可能性がある

有史前における人類間の文化的接触が

非常に遠くまで及んでいたことと考え合わせると

鍼治療の起源が地埋的に見て東アジア(中国)ではなく

ユーラシアであった可能性を示唆していると考えられるのだ

これに対して中国側は当然否定的な見解を示しているらしいが

さて、古典医学の歴史が塗り替えられるのか・・・

外野から楽しみながら様子を見ることにしよう