「リンクワーカー」光代さんの「おせっかい」

 
 
患者さんのなかには、いわゆる「リンクワーカー」と呼ばれるひとがいる。
 
「鍼灸ってしってる?」「あそこの長岡治療院ってとこおすすめよ。」
 
いろんなお友達にクチコミして、情報を拡散してくれるひとのことだ。
 
 
「リンクワーカー」はものすごい数の人脈をもっているので、
 
困っている人がいたら、その人にぴったりの提案やアドバイスをしてくれる。
 
 
 
こんな、事例があった。
 
 
夫に先立たれ、一人暮らしになったために、社会とのつながりが薄れてしまった悦子(仮名)さん。
 
ひと付き合いは苦手で、積極的に外にでていくタイプではなかった。
 
 
悦子さん唯一のつながりは、その地域で有名な「リンクワーカー」の光代(仮名)さん。
 
光代さんは、悦子さんに「マダム御用達の某ジム」を紹介したり、
 
折り紙教室に誘って、いろんなお友達を紹介したり。
 
悦子さんにとって、「リンクワーカー」の光代さんは憧れの存在だった。
 
 
じつは光代さん、当院の患者さんでもある。
 
鍼灸をとても気に入ってくれて、感謝のお手紙を下さった。
 
患者様からの喜びの声
https://ameblo.jp/n-harikyu/entry-12510996117.html
 
 
光代さんのお友達や、そのまたお友達、お友達の息子さん・・・と
 
紹介していただいた患者さんがどんどんリンクしていった。
 
そのなかの、ひとりが悦子さんだった。
 
 
いまは、コロナ禍でなかなかお友達とも会えず、すこし気分も落ち込み気味。
 
でも、「みなさん悦子さんのこと心配してますよ」と伝えると、
 
「本当ですか!?」と嬉しそうに、お友達のことを話してくれた。
 
いまも、週に1回欠かさず治療を受けに来てくれる。
 
「先生のところが、私の居場所になってます」という言葉がとても印象的だった。
 
 
 
ぼくは、光代さんや悦子さん、そのお友達の方々と出会って
 
鍼灸が「コミュニケーション」のきっかけになったり、
 
鍼灸院がひとつのコミュニティーとして、
 
「そのひとの居場所」になれることを、はじめて知った。
 
 
「ひととひとをつなぐ」きっかけをつくるのが、
 
いわゆる「リンクワーカー」で、言い換えれば「おせっかいおばさん」なのかもしれない。
 
 
だれかのおせっかいは、だれかの助けになって、
 
そしてまた、おせっかいの連鎖が生まれる。
 
その先には、その人なりの「生きがい」や「幸せ」を見つけられるかもしれない。
 
 
 
ときには、「鍼灸師」と「患者」いう肩書をいったんおろして、
 
「おせっかいおじさん」と「おせっかいおばさん」になって、
 
幸せのおっせかい連鎖(?)をつくっていけたらな〜と思う。