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外関で回復

軽い寒気がして身体がだるい

葛根湯症と考え、葛根湯を5錠2回内服し

ある程度緩解したものの、脈浮滑弦は変わらない

昨夜寝る前に自分で左外関に30分置鍼した(虚側)

今朝からは完全復活

早く鍼をしとけばと今更考えるが

鍼灸師の不養生です

とはいえ、開業して25年

風邪で仕事を休んだことが一度もないのが

ささやかな自慢かな

小青龍湯証

『小青龍湯証』は、傷寒に属して同時に水飲を兼ねた一種の病証で、

簡単にいえば「外寒内飲証」である

「傷寒論では」この病変を「傷寒、表解せず、心下水気あり」と概括している

「傷寒表解せず」とは、悪感、発熱、無汗、身疼痛などの太陽傷寒の表証が存在していることである

「心下に水気あり」とは、もとから水飲が内停して胃を犯し

胃気が降らないで上逆して嘔気になる状態を指している

脈は弦、舌苔は白滑、咳と共に希薄な泡沫状の痰を吐出する、口渇はない

よく喘息や花粉症などに小青龍湯を病名処方されることがあるが

弁証をしっかりせずに投与することは危険である(特に虚喘においては)

体力のない高齢者などに長期間投与して重大な副作用を招くことがあるので注意が必要

全ての漢方薬は弁証論治せずに病名処方するべきではないにもかかわらず

漢方薬は副作用なすくないのでと言う間違った理由で

患者の求めに応じて処方されているのが問題

麻黄湯証

麻黄湯の適応は「傷寒論には」

「太陽病、頭痛、発熱し、身疼し、腰痛し、骨節疼痛し、悪風し、汗無くして喘するものは、麻黄湯租

之を主る」と記述されています

これにはインフルエンザのような(診断は医師にしてもらうこと)きつい風邪も含んでいます

ポイントは、脈は浮緊となり、節々が痛くなる、汗は出ない、咳、です

葛根湯症との違いは、節々の痛み、場合によっては咳があることです

虚証の人への処方は注意が必要なので、専門家に相談しましょう

次は『小青龍湯』です

葛根湯証

よく風邪の初期には『葛根湯』と言われているが

風邪の初期症状でも様々、体質や病態によっては副作用が出る場合もある

『傷寒論』を参考にすると正しく処方ができるので解説したい

「太陽病、項背強ばり、汗なく、悪感するは、葛根湯これを主る」とある

これは病が主として項背に鬱し、発散できないでいることを示します

この場合は、病は表にあり、骨節に至っていないので、筋肉痛による痛みやこりを自覚します

しかし、無汗(汗が出ない)なので表が塞がれているのが特徴です

必ず寒気(悪感ほどではない)を伴います

脈は浮き硬くなりことも鑑別するポイント

微熱があったり、節々が痛む、咳が出る場合は葛根湯は使えません

叉、虚証のヒトにも適しません、場合によっては胃腸に負担がかかります

これらの除外するポイントが無ければ、風邪のひき始めに早めに服用すると

速効性があります、但し、3~4回内服して効果が見られない場合は

「証」が違うということなので、専門家に診てもらう必要があります

次回は『麻黄湯』の解説をします

傷寒論とは

東洋医学の古典に『傷寒論』という重要な文献がある

西暦196~204年にかけて後漢の張仲景が著した

どんな文献かと言うと

1・外感熱病の識別と治法を論じた専門書
 
  所謂”風邪”の様々な病態(インフルエンザも含め)を分析し

  風邪の病態に応じた漢方薬の処方を詳しく著している

2・弁証論治として六経分証(太陽・陽明・少陽・太陰・少陰・厥陰)

  をもって諸病を包括しており、内科雑病を論じている

この『傷寒論』を理解することにより

より多彩な病に対する対応ができ

病の変遷の見通しができるようになる

今日の勉強会は傷寒論の入り口である

太陽病(感冒)の弁別法を勉強した

最近特にインフルエンザを含め風邪の患者さんが多いので

より適切な治療とアドバイスができるようになるはずだ

冬の感染性胃腸炎

冬に多発する急性胃腸炎は

激しい嘔吐、下痢を主症とする感染性の胃腸炎で

一般に胃腸風邪等と呼ばれているが

主にノロウイルス・ロタウイルスの経口感染によって発病する

素体として脾(消化吸収の機能)が弱い”脾虚”が見られると

湿邪が停滞しやすくなり、胃腸が弱る

さらにストレスにより胃気上逆がおきると

より感染・発病しやすくなるので

ストレスケアと養生が必要になる

特に師走や年末年始は、忘年会やお節等で

飲食不摂生(食べ過ぎ、飲みすぎ)になり

胃腸に負担をかけやすい時期であることや

一般に多忙な時期で疲れも溜まっていると

免疫力(衛気)が低下しやすくなる

さらに空気の乾燥によりウイルスが活性しやすいという

2重3重に悪条件が重なるのでこの時期に発症しやすくなる

従って予防法は当然ながら

食べ過ぎ飲み過ぎで胃腸に負担をかけないこと

疲れをためないで睡眠をよくとり

規則正しい生活で免疫力をアップすること

これができないから胃腸風邪にかかるんですねえ

スポーツ選手の風邪の予防

二四節気の大雪を過ぎ

今日は北西の季節風が強く体感温度もとても寒く感じた

表寒証の風邪の患者さんが多い

左右の外関、風門、印堂、しん会等の左右差、寒熱を

老宮(手掌の中心)で触診する

この時期スポーツで発汗する人は要注意!

毛孔が開いたところに寒邪が容易に体表から裏に入り

急激に悪感・発熱・を伴う裏熱証に発展することがある

従って発汗直後に絶対冷たい風に当たらないように

冷たいスポーツ飲料は避け

暖かいお茶などで水分補給をし

早めに新しい下着に着替え

速やかに身体を温めることが予防法である

小児の風邪

龍安寺 筆者撮影

小児の風邪

中学生の♀

38℃~39℃の発熱2日

37℃の微熱が2日

内科で風邪の診断、4日間内服治療

身体のだるさ頭重、痰、咳続く

風熱表証と診たて

右合谷7分置鍼

少商に刺絡

薬は中止

7時間後電話にて確認

平熱に下がり、だるさも取れ、スッキりしたとのこと

少々の風邪で抗生剤や、総合感冒薬を内服すると

熱は下がるが、生気を弱らせ、熱をこもらせる

清熱の処置で生気を補うと、自然治癒力が治してくれる

風邪の予防

風邪の予防

風邪の邪気には”寒邪””燥邪”が多いことは既に述べた

冬至を過ぎて、気温が下がり北風が吹く季節

皮毛は閉じて”寒邪”から身を守る準備をしている

そのような季節に大量に汗をかき汗腺が開くと、

一気に寒邪が衛気を破って裏に侵入する

所謂”邪生闘争”では寒邪の奇襲を受け、

生気が破られる、負け戦である

体は悪寒し、発熱、節々が痛み、激しい咳、喉の痛み

という急性症状が現れる

故に先人は冬は体力を消耗するようなことは避けるべし

と言っているのである

一見体が頑丈そうな若いスポーツ選手が

冬にひどい風邪を引くことが多いのはこの為である

汗腺が開いている時にはくれぐれもお気をつけ下さい

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風邪の治療

MIHO MUSEUMにて筆者撮影

風邪の治療

風邪の初期症状に鍼治療は速効性を示す

40代♀

寒気と鼻水(透明)咳、じっとりとした発汗、体のだるさ、熱はない

中医学では風邪がどの位置(病位)にあるかを弁別する

風邪の初期は体表で邪気と生気が”邪生闘争”をする

言葉を換えれば病は”戦い”なのだ

生気が勝てば邪気(風邪)が負けて病は癒える

この患者さんの場合は”風熱表症”と診たてた

左合谷に一本鍼を打つ

浮いていた脈は落ち着き舌苔も薄くなる

10分後寒気とじっとりとした汗はすぐ引いた

治療した夜は咳も出ずにぐっすり眠ってスッキリしたと元気な様子

今日は左外関に一本鍼を打つ、肺兪にお灸をすえた

鼻水が止まった

あとは、生気がしっかりしているので自然に治る

”勝ち戦”となったわけである