舌診についてその1

舌診についてその1

当院では治療の前に毎回”舌診”をする

舌で何が判るか?

舌の表側(舌背)で色調を診る

赤みが強ければ”熱”傾向

赤みが薄ければ”寒”或いは”血虚”傾向

舌の苔の状態も重要

苔が多く湿っていれば”湿邪”の停滞

苔が乾燥していれば”熱”を表す

苔の色では白ければ”寒”

色が薄黄色から濃くなるに従って”熱”傾向

要するに一言でいえば身体が冷えているのか

熱傾向なのかが一目で鑑別できる

”寒・熱”の鑑別として最も重要かつ正確に判定できるのである

続きは次回に

画像診断と東洋医学

画像診断と東洋医学

脊髄の椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の患者さんはとても多い

MRI検査を依頼して画像で確認することも必要である

椎間板ヘルニアは鍼灸治療が奏功することはブログですでに述べた

MRI検査で椎間板の脱出が確認され「椎間板ヘルニア」と診断されても

鍼治療で痛みやしびれが消失した例も数多い

そこで、再度MRI検査を受けても、画像による変化が全くない場合がある

これは何を意味するのか

ヒトが痛みを自覚するのは、ある一定の閾値を超えたときである

鍼治療で気血の巡りを整えると、痛みの閾値が上がって痛みを感じなくなる

逆にMRI検査で異常がほとんど認められないにもかかわらず

腰の痛みや下肢の痺れを訴える患者さんも多い

痛みの閾値が下がっていると痛みに敏感になるケースである

これにはストレスがおおいに関わっている

ストレスフルになると痛みやしびれに過敏になる

ここでもココロの治療が必要になる

痛みやしびれからココロが執着しなくなれば病は癒える

高血圧症

京都のとある寺

高血圧症

10数年前から本態性高血圧症の60代♂

降圧剤を内服しても血圧が下がらない

初診時には血圧200/90

肝鬱気滞に腎虚と診たてた

左太衝・左腎兪に鍼を置く

1週間後の治療後は

血圧168/96にに下がってきた

一ヶ月に10回の治療をした結果

血圧は138/84と安定

五臓の肝・腎のバランスを整えたことで

血圧を下げることができたと考える

そのほかにも多くの症例がある

降圧剤が不要になり

乱高下する血圧が安定する

高血圧の治療は鍼灸治療が非常に有効であることを

多くの方に知っていただきたい

信仰するということ

アラユル宗教・宗派において

熱心に信仰することは

病気になった時に強い味方になる

病気と対峙し

自分と対峙し

考え、思いをめぐらし

信仰する神・仏に教えを請う

気持ちが前向きでプラス思考になることで

生気が増し邪気を払うことができる

治療家と患者さんの信頼関係も築きやすい

アラユル病を治す力に信頼関係は最も重要

慢性の疾患ではときに鍼治療の効果を倍増させる

治療家の真摯な姿勢に

患者さんのココロが解れる

これが自然治癒力をひきだすのである

ストレスと舌診

ストレスと舌診

様々なストレスによって”気滞”が生じ

長引くと”気逆””肝陽上亢””肝火上炎”という

所謂「気が上に昇る」状態になる

ゆえに舌の尖が赤みをおびる

きつくなると、”紅刺”といいイチゴ状の赤い斑点が見られる

この写真はその典型的な舌で、全体の色調は紅色

舌尖はさらに紅色がきつく

舌尖全体に紅刺が見られる

ストレスフルの患者さんの舌である

治療による舌の変化は後日報告する

小児の風邪

龍安寺 筆者撮影

小児の風邪

中学生の♀

38℃~39℃の発熱2日

37℃の微熱が2日

内科で風邪の診断、4日間内服治療

身体のだるさ頭重、痰、咳続く

風熱表証と診たて

右合谷7分置鍼

少商に刺絡

薬は中止

7時間後電話にて確認

平熱に下がり、だるさも取れ、スッキりしたとのこと

少々の風邪で抗生剤や、総合感冒薬を内服すると

熱は下がるが、生気を弱らせ、熱をこもらせる

清熱の処置で生気を補うと、自然治癒力が治してくれる

後谿穴の効果

飛騨の里 

後谿穴の効果

心神不安、抑うつ、不眠、うつ病などの精神科疾患に

後谿(こうけい)という手のツボをよく使う

安神作用として非常に優れた効果がある

7月21日のブログに

23種の薬を処方されているうつ病患者さんのことを書いた

鍼治療で体調がよいので薬の減量を主治医に頼んだが拒まれた

ところが、治療を始めて一ヶ月で

なんと22種類の薬を自分で減らしたのだ

それから3カ月、催眠剤を1種内服するのみで

体調はすこぶるよい

来院時にはいつも私にVサインをしてくれる(^^)/

この患者さんにも後谿穴を使った

矯正歯科との連携

スイセンの花

矯正歯科との連携

昨日解説した頭痛の原因が(西洋医学的に)

歯列の乱れによる噛み合わせの不良という事例は少なくない

歯列の乱れや、顎関節症が疑われた場合には

緑区のH矯正歯科医院に紹介状を書いている

H矯正歯科医院の先生は矯正歯科学会の”指導医”の資格を取得した

名古屋市内でも数少ない矯正歯科医で、その高い技術には定評がある

矯正歯科を標榜していても、登録医、認定医、専門医、指導医に分けられ

経験年数と試験によりランクがあるので、よく調べ受診することが肝要

顎関節症は、顎関節の関節円板の炎症や変形によって

顎関節の痛みのみならず、随伴症として頭痛や肩こり

その他のまざまな不定愁訴が発症することがある

機質的に歯の噛み合わせの不良が疑われる場合

歯列の矯正が欠かせないのである

しかし、多くの場合はスプリントの装着と鍼灸治療で解決できる

当院より紹介してOpeに至った症例は今のところ皆無である

顎関節症に至る前のごく初期の噛み合わせの

異常をよく調べることで、病気の芽を摘み取ることができる

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頭痛と中医学

頭痛と中医学

今夜は院内勉強会

主訴で多い「頭痛」をテーマとした

中医学による頭痛の弁証論治のトレーニングをした

頭痛を中医学により分類すると

ヾ陵枉縊供Υ硫仂絮

肝腎陰虚

5し賣承

い血症

メ眤兊譱

多くはこの5種に分類できる

それぞれ治法が異なるので

多面的観察と、詳細な問診が必要なのは言うまでもない

慢性頭痛で治りにくいものには

頭痛ダイアリーをつけていただく

頭痛の芽が日常生活のなかに潜んでいることは多い

胃の気の診方

金閣寺の紅葉 筆者撮影

胃の気の診方

昨日解説した「胃の気」の続きです

臨床では「脈診」で胃の気をうかがう

末期がん患者、急性期の脳梗塞、心筋梗塞など

治療に耐えうる状態か否かの判断

予後不良か否かの判断

治療が適切か否かの判断

「胃の気」の盛衰が大いに関わっている

 【症 例】

①抗がん剤で衰弱し骨転移したがん患者70代♂

 初診で脈診は胃の気が触れないが
 
 数回の鍼治療で脈有力になり

 胃の気旺盛になる

 結果食欲がでてきて、一ヶ月で3㎏体重が増えた

 今では食事が美味しく、食欲旺盛、排便正常

 「生きる希望が見えてきた」と本人家族より大いに感謝される

②脳梗塞で意識不明の95才の♀

 医師からあと2週間もたないと言われた

 脈をとる

 浮いて弦脈、胃の気おおいに有力

 意識はなくても当分大丈夫ですと伝える

 3ヶ月後に退院

 発症後4か月経過し、老健に入所となった

 現在胃瘻での栄養摂取であるが

 時折呼びかけに答えるようになった

 95才の年齢である、親族の気持ちは複雑な様子

③左脳梗塞60代♂

 医師からは半年は職場復帰はできないと言われた

 当初より胃の気旺盛

 井穴(指先の経穴)からの刺絡(血を抜く治療)を数回

 発症して1ヶ月後に退院、右の片麻痺なし、言語障害なし
 
 職場復帰を果たした

  
 胃の気を正確に知ることができると

 生命予後さえも知ることができる貴重な症例です