七草粥

正月明けは飲食過多により

脾胃を弱らせている人が多い

腹診で胃土(臍とみぞおちの中間のあたり)に邪(緊張)を認め

舌診では舌苔が厚くなっているので

不問診(問診せずとも)で判定できる

多くの場合内関の鍼や腹部打鍼で改善する

アトピー性皮膚炎で飲食過多をしてしまった場合(あってはならないが)

湿熱に対する治療が必要

上巨虚、豊隆、梁門等を使って瀉法

井穴に対して古代鍼や刺絡も有効だ

そして、今日は七草粥の日

疲れた胃腸をゆっくり休め、

場合によっては一食抜いても良い

老子の思想その4

日々の生活の中で肉体を持ちながら

自分の良心(人の道)を真面目に守って生活することができますか

自分の生活の中で精神を集中することができて

それでも心身は柔軟にして赤子のようにいられますか

良心の鏡に恥じないような生活を自分はしていますか

他人や国の為に陰で良いことを自分がしていても

これをあえて他人に知られないようにできますか

万物の生死に面しても女性の母性のように

これを受け入れることができますか

この世のすべての知識を自分が持っていても

これを他人に自慢せずに控えめにいられますか

自分が開発して大切に守り育てた色々な物事を

自分の物とはせずにこれを自慢せずに

自分が取り仕切ろうとしないことができますか

これらのことができることが”聖人の徳”なのです

これらの言葉は老子が自分自身の生活で心がけていることを説明しています

老子とはこの様な人物であったのです

しかし、自分はこのように実践していると老子が書くと

これはこの内容に反することになりますから

あえて聖人のおこないと表現されています

激変する時代の世情から来る心の揺らぎにも

母性の心をもって自分の心を静かに保つことが大切で

静かな心で物事を眺めて自分ができることを努力すること

そのうえで流れる方向には、臨機応変に進む勇気も人間には大切だ

このように老子は唱えるているのであろう

握力UP

重症筋無力症の患者さん

ADLは徐々に改善しつつあり

治療開始4ヶ月で握力7㎏が27㎏にUP

薬は最小限で維持している

今後の改善がまだまだ期待できる

ガングリオンは鍼灸治療で治る

        我が家のクリスマス用トールペイントのお飾り

ガングリオンとは、手首や足首、肘など関節の周囲にできる良性の腫瘤

大きさは大豆大からウズラの卵大まで様々で、殆どは痛みを伴わない

稀に神経を刺激して痛みを伴うこともあるが、

整形外科では注射で吸引するが、再発が多く外科的に摘出手術もあるようだ

関節液や腱と腱鞘の潤滑油である滑液がガングリオンの袋に送られ

濃縮してゼリー状になることが西洋医学的な病態

肘関節にできた直径3㎝のガングリオンの症例

整形外科では経過観察といわれたが

数回の鍼灸治療で完全に消失

鍼灸治療で消失したガングリオンは再発は皆無

鍼灸治療は、不要な液体は自然に身体が吸収する生体のもつ機能を

高めることができるから早期治癒ができると考える

身体表現性障害

身体表現性障害とは

西洋医学であらゆる検査を受けて異常がないにもかかわらず、

痛みや吐き気、しびれなど多くの様々な身体的な症状が

長い期間にわたって存在する状態をいう

症状は体のさまざまな場所に生じ、しばしば変化する

患者さんの中には、症状を身体的に説明する原因がないことを

なかなか受け入れられず、医療機関を転々としてしまう方も多い、

進行すると仕事や家庭などにおける日常生活に支障が出てくる

充分な問診もされずにうつ病と診断され

抗うつ薬を処方されても良くならない

この病には心理社会的な背景が複雑に潜んでいるので

時間をかけた問診が必要であるが

病院でほとんどされないので

病の根本的な背景をつかむことができない

名大病院総合診療科は信頼できるので受診をお勧めできる

東洋医学では元々心身一如の生体観がある

当院のように初診の1時間の問診をすると

かなり病気の背景を探ることができ

通院されることで信頼関係が築ければ

鍼灸治療で充分に対応可能である

病の根本原因を患者本人から気付くことが最終目標となる

風邪の発熱

風邪をひくと高熱が出て肺炎になりやすい女児

肺炎になると入院となり本人家族も大変だ

治療目標は風邪をひいても肺炎に至らないようにすること

週に一度の小児鍼の治療を始めて3ヶ月

昨夜38°発熱したが、薬を飲まず一晩眠ってしっかり発汗した

今朝には平熱に下がり、本人はいたって元気

発熱は”生気と邪気の戦い”が体内でおきた結果であって

発熱を無理に下げない方が自然治癒力を高め、丈夫な身体になる

今回の発熱に対してご両親の対応は冷えピタを貼っただけ

発汗することで熱が冷めるのも早くなる

抗癌剤副作用に対する鍼灸治療

70歳♂

主訴:抗癌剤副作用による食欲低下、体重減少、味覚異常、舌の痺れ、足底の痛み

腎臓癌により、右副腎と肝臓の一部摘出Ope

Opeは成功し、転移なし、腫瘍マーカー(-)

再発予防で抗癌剤を内服、副作用に苦しむが主治医は再発予防で必要との判断

滋陰目的で照海に置鍼10分~20分の処置を2カ月続け主訴は軽減、食欲出る

以降は胃の気を補う目的で、滑肉門に置鍼20分、足の三里に施灸

4か月目に主治医が減薬しても良いとの指示が出て更に体調が良くなる

治療開始して半年で4㎏体重増加、一年前に予後不良と言われていたが

旅行に行けるようになり、経過は極めて良好

抗癌剤は、食欲減退により胃の気が弱ることで

自然治癒力を著しく低下させる

免疫力を上げ、再発予防を目的とした鍼灸治療は

多くのがん患者さんを救うことができる

アレルギー性上気道炎の診断

喉の痛みや、鼻水を訴える患者さんが多い

脈診では風寒邪を受けていないので風邪ではない

多くは肝気犯肺による、アレルギー性鼻炎、咽頭炎、結膜炎だ

耳のツボで、神門、内鼻、気管に圧痛が認められば診断は確定する

治法は0.3mmのパイオネックスを耳に貼付するだけ

簡便で、有効な治療であるが、根治を目指すのであれば

アレルギー疾患も勿論、本治法でアプローチする

陰陽の一般論

≪黄帝内経・素問≫太陰余命論篇 第二九 第一章

陰陽の一般論

人体の陽とは自然界の天の気に相当し

エネルギーの供給と消費を司る

そこで人体の外部すなわち頭と手足の機能を主宰している

陰は地の気に相当し

エネルギーの生産と貯蔵を司る

そこで人体の内臓の機能を主宰している

故に陽経には活動に備えて精気が充実しているが

陰経の方はエネルギー生産の時を除くといつも精気は虚している

虚実論

虚実とはなにを示すのか

≪黄帝内経・素問≫第2巻第1章 虚実論

病変を起こしている局所の組織が硬くしこり、充実した状況を示す時

これを”実”と言う

邪気すなわち外来性の病因因子の侵襲力が強く

人体の反応力(精気)も強く

両者が激しく拮抗する時に起こる(邪生闘争)

局所の組織の緊張が低下し、軟化、陥凹など虚弱化した反応を示す時

これを”虚”と言う

精気すなわち人体の抵抗力が脱落した時は

邪気に一方的に侵害されてこの様な状態を起こす

鍼灸治療において最も基礎的な鑑別はこの”虚実”を見分けることである

望診・聞診・問診・脈診・舌診の全ての診察法を動員して素早く判定する

最も重要なのは”脈診”である

一見”虚”にみえても”虚実狭雑”していることもあるので注意が必要