妊娠をきっかけに悪化したアトピー 鍼灸と養生で体も心もラクに
30代の女性。
もともと小児アトピーがありましたが、大人になってからは落ち着いていました。
ところが、2人目の妊娠中から再び、顔や身体にかゆみと赤みが出るようになり、症状が悪化。
ステロイドの塗り薬を使っても、効果が切れるとかゆみがぶり返してしまう状態。
そこで、自己判断で糖質や小麦を制限する食事療法を始めたところ、体重が5kgも減少し、BMI(体格指数)は16にまで低下。
産後に戻っていた生理も、やがて止まってしまいました。
そんな中、当院を初めて受診されたのはX年6月でした。
脈や体の状態から「血虚血瘀(けっきょけつお)」と見立てました。
これは、体を巡る血が足りず、さらに血の流れも滞っている状態。
治療としては、「活血化瘀(かっけつかお)」「養血(ようけつ)」という方針で、
三陰交に鍼を15分ほど置きました。
あわせて養生指導も行いました。
過度な食事制限はやめて、糖質や小麦も含め、しっかり食べるようにアドバイス。
ステロイドは“1FTU(ワンフィンガーチップユニット)”と呼ばれる適量を、しっかり塗るようお伝えしました。
すると、2回目の来院時には顔の赤みが少し引いていました。
3回目には体重が1kgほど増え、脈にも力が出てきたため、今度は百会に**刺絡(しらく)**を行いました。
これは、ツボから少量の血を出して巡りを促す方法です。
5回目の治療では、関節のかゆみや顔の赤みはほぼ消え、夜もぐっすり眠れるように。
今ではステロイドを使わなくても、かゆみがコントロールできるようになりました。
適切な養生アドバイスと、タイミングを見極めた刺絡の判断が功を奏しました。
何より、患者さんとの信頼関係がしっかり築けていたことが、大きな要因と感じます。
西村先生のすばらしい症例でした。