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左後谿著効

80才♂

慢性的な腰痛・右肩観察痛

60代大腸癌で開腹Ope

左腹部に縦に20㎝のOpe痕あり

その為に臍が右に5㎝移動している

左後の気の偏在と診たて

左後谿蓮風鍼3番で10分間置鍼

直後に全ての痛みが消失

本人家族とも驚き不思議そうな表情であったが

最後には一本の鍼で痛みが取れた事を実感し笑顔で帰られた

空間診を巧みに操るとこの様な劇的な効果が期待できる

脊柱側弯と章門

60代♀

2日前に突然背部の激痛で動けなくなり

救急外来受診、内科新患を疑い全身の精査の結果異常認めず

原因不明としてロキソ二ン処方される

激痛は軽減傾向ではあるが、強い背部痛と、寝返りが困難な頚部痛

体表観察で脊柱の大きな側弯が認められたので

左章門に蓮風鍼置鍼10分

抜鍼後には大きなS字状の側弯と背部痛は消失

空間診で章門は帯脈穴とともに身体の歪を整える重要な穴処

顕著な左右差が認められる場合は奏功する

超旋刺

非常に細い鍼(1番~01番)を用いて

経穴に切皮し(一mm程度)左回転で

一分間に数百回の高速回旋するという治療を

”超旋刺”という

愛知県鍼灸専門師会の研修会で理論と実技の講演があり

最近試験的に臨床に取り入れている

診断の基本は中医学での弁証は勿論、

そこに”空間診”による少数鍼の成果はすでに報告した通り素晴らしい

しかし、最後にとりきれない軽度の痛みが残る場合に

”超旋刺”を補助的に使うと、上手くいくことを経験してきた

追試を重ねているが、非常に軽微な刺激なので患者さんの体の負担はなく

北辰会方式を逸脱するものでもないので、

あくまで補助的な処置としてではあるが

確かに有効な手技で、さらに発展する可能性がある

股関節痛に対する空間的処置

60代♂

30年目から左股関節痛で胡坐をかけない

左パトリックテスト陽性

気滞とお血所見以外の臓腑の失調は認められないので

空間弁証をする

左(患側)帯脈に著明な緊張(邪)を認める

30mm3番鍼を左帯脈に横刺で10分間置鍼する

直後に左パトリックテストは(-)

驚くことに即座に胡坐をかけるようになり

患者さんも大変驚き、喜ぶことしきり

他にも今日の外来患者さんで多数の症例を得た

臨床が面白くとても充実した一日だった

帯脈の臨床

昨日はスタッフ3人と大阪で北辰会の臨床コースの定例会があって参加した

午前は2時間体表観察の手技の復習

主に腹診・背候診のフェザータッチや

望診のトレーニングで診断基準を再確認した

東洋医学は検査数字に頼らない”匠の技の診察”なので

常に自分たちの診察法が標準的で正しいのかを確認する必要がある

触診の仕方も極めてソフトなフェザー(羽毛)で皮膚を撫でるような触れかたが基本だ

午後は藤本蓮風先生の臨床報告

空間論として”帯脈”を如何に臨床に使うかを解説され

筋委縮性側索硬化症の患者に帯脈穴を用いて著効を得た症例など

非常に面白く興奮する内容だった

体を地球に例えると

地軸は衝脈という体の中心を貫く経絡

帯脈は赤道にあたり体の上下を分かち

前後左右を繋げる重要な穴処である

ゆえに難病治療で縦の一二経絡で上手くいかない場合に

帯脈を上手く動かすと驚くような効果を示すことが示された

今日早速患者さんに使ったが、確かに面白く速効的な効果を得られた

空間論は現在、私の研究テーマなので

毎日の臨床現場で使いながら

さらに技術を高めることができると確信している

空間論による治療の考察

今日の院内勉強会は

空間論による痛みの治療の考察

北辰会では痛みを伴う運動器疾患を次のように分類している

1)経絡・経筋病

2)臓腑病から経絡へ伝播したもの

3)臓腑病そのものによって病むもの

4)痹証

1)~2)は早く治り易く

3)~4)に進むにつれて治るには時間と養生が必要

どこでもしている、局所に鍼を打つ(圧痛点治療)だけでは

3)~4)の病は治すことは不可能

しっかりと弁証し、弁別することができなければならない

だから、日々の勉強が欠かせない

虫の目ではなく鳥の目で全体を俯瞰し、直感力を養うには5~6年かかる世界

滑肉門著効

臍の上方1寸から外側2寸

“滑肉門”という経穴がある

空間論による体の歪を整えるのによく用いる

時に驚くような効果を見せる経穴でもある

40代♀

主訴

中学校の時からの分離辷り症による腰痛

慢性的な頚肩部痛、右の外反母趾の痛み

右上下の気の偏在と診たて

右滑肉門に1本鍼を打った

10分後抜鍼した直後

右外反母趾の痛みが消失

頚肩部痛、腰痛もほとんど消失

患者さんはたったこれだけの治療ですか?と唖然とした表情

痛みが消失した事実に徐々に気付くと

驚きの表情から満面の笑みに変化した

さもありなん

数年以上続いた痛みがたった1本の小さな鍼を

お腹に打っただけで改善したのだ

大変遠方からの患者さんだったので

近くの北辰会所属の鍼灸院を紹介して終了した

〔〕

顎関節と空間論的治療

顎関節症で空間論的な診たてをすると

臍の左右の経穴で”天枢”に左右差が認められる事が多い

今日は2例ほど顎関節の動きのアンバランスを調整した

患側の”天枢”に鍼を打つと直後から動きがスムーズになる

お腹のツボに1本鍼を打つだけなので

患者さんは???というキツネにつままれたような表情になる

ヒトの身体全体を一つの空間と診てアンバランスを整える

”前後左右の法則”に基づいた”空間論”の治療は大変奥深く

今後も様々な疾患への応用が期待される

[http://www.n-*acp.com]

空間論による腹診

東洋医学の診察法の中で≪腹診≫についての解説

ヘソ(臍)は身体の中心に位置する

身体を一つの宇宙と同じ空間と考えると

ヘソ(臍)は北斗七星である

ヘソ(臍)を中心に身体の空間的な歪を診るのである

ストレスフルはヘソ(臍)の周囲に緊張がみられる

身体の右上に病があればヘソ(臍)の右上に緊張が現われる

鍼を一本打つことによってこの緊張がすぐ取れる場合は

病は治り易い、とれにくい場合は時間がかかる

ヘソ(臍)から10㎝程度空間を広げて診ることもある

滑肉門、天枢、大巨といった経穴(ツボ)の反応を診る

之を応用した治療を≪空間論≫といい

所属する北辰会で研究している

さらに発展し応用する余地のある奥の深い診察法である

空間論による身体の診方

「空間論」とは人の体を一つの空間物体と考える氣のバランス論である

提唱したのは師匠の藤本蓮風先生で、2008年に「上下左右前後の法則」が発刊されている

現代の数学でいうトポロジー(topology)位相幾何学に関わる

空間的な物体というのはます、上と下、前と後ろ、右と左、

このバランスが取れていれば空間物体として安定する

人間の体を3次元における空間物体と捉えて診ると

どこかに痛みがあるとそのバランスが崩れて不安定な状態になります

どのようにアンバランスを捉えるかと言うと

まず臍(へそ)の周囲の緊張のアンバランスを診ます

経穴では「滑肉門」「天枢」「大巨」

頭のてっぺんの「百会」の左右の反応も重要です

右の腰痛があると左の天枢に邪(緊張)が現われることがあり

そこに鍼を打つと腰の緊張が緩み腰痛が早く治ることを多く経験しています

右の肩関節の痛みで左の陽陵泉に鍼を打って即座に痛みが消失した症例もあります

ぎっくり腰で百会を使って著効を示した例や

右中指のつき指を百会右で治した例等々

書ききれないほどの症例を「空間論」による

上下前後左右のバランスを整えることで治療しております

この治療法はまだまだ研究する余地があり

痛みの疾患のみならず、様々な治しにくい症例に対しての可能性を感じています