空間論による治療の考察

今日の院内勉強会は

空間論による痛みの治療の考察

北辰会では痛みを伴う運動器疾患を次のように分類している

1)経絡・経筋病

2)臓腑病から経絡へ伝播したもの

3)臓腑病そのものによって病むもの

4)痹証

1)~2)は早く治り易く

3)~4)に進むにつれて治るには時間と養生が必要

どこでもしている、局所に鍼を打つ(圧痛点治療)だけでは

3)~4)の病は治すことは不可能

しっかりと弁証し、弁別することができなければならない

だから、日々の勉強が欠かせない

虫の目ではなく鳥の目で全体を俯瞰し、直感力を養うには5~6年かかる世界

円形脱毛の病態把握

円形脱毛の病態

東洋医学では

1・血虚

2・腎虚(腎気虚・腎陰虚)

3・肝陽上亢

4・肝腎陰虚

等が多く見られる

いずれも、しっかりとした弁証が必要

小学生の成長期のお子さんの円形脱毛に対して他の鍼灸院で

動物性たんぱく質の摂取は禁じられていると言われたケース

肉や牛乳を摂取していないので「血虚」がみられた

脱毛だけでなく、皮膚もカサカサである

これでは頭皮や毛髪へ栄養が行き届かない

肉や牛乳をよく食べるように栄養指導した

これは間違った栄養指導の結果「血虚」が生じ

脱毛を促す事になりかねない事例である

東洋医学の診察の基本「四診」をしっかりできる

鍼灸院が少ないのが実はこの業界の問題点なのである

空間論による坐骨神経痛の症例

40代♂

ゴルフのスイングや胡座をかくと臀部痛発症

問診30分、体表観察数分

百会右に著明な反応

1寸3番鍼を百会右に置鍼すること10分

治療直後に痛みは消失

空間的な歪みが整うといつも驚く程の効果を示す

最近の痛みの疾患の多くは「空間論」で弁証して著功を得ている

治りも早く経過も良好である

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胸椎圧迫骨折

70代♀

月に1~2回鍼で健康管理をされている患者さん

今日はお姉さんが付き添い来院された

数日前から腰痛発症し

2~3日前から寝起きが困難になったとのこと

トイレに行くのに10分以上かかっている

腰の運動痛は全て(-)

ベッドサイドでの運動痛も(-)

弱冠の微熱があった

右腎兪を触診すると熱がある

腰椎の叩打痛検査をすると上部腰椎で痛みが響く

直感的に圧迫骨折を疑い

近隣の外科に紹介状を持たせレントゲン検査を受けてもらった

結果は「第12胸椎の圧迫骨折」の診断

フィルムも貸し出してもらい写真でも確認した

圧迫骨折は3週間以上安静臥床するしかない

家事仕事も不可なので入院を勧め

姉の近所の病院に依頼することになった

腰痛でも圧迫骨折だけは鍼灸の適応外なので

正確かつ迅速な診断が必要である