暑 邪

今年の異常な高温はひとのからだに大きく影響している

六淫といい、外から入ってくる病気の原因となる”邪気”

風邪・寒邪・湿邪・暑邪・燥邪・火邪・の六種ある

夏の暑さは”暑邪”という”暑邪”は熱なので、からだの上半身に上りやすい

顔や頭に症状が出やすく、頭痛、顔の発赤、異常な発汗、目の充血etc.

汗は”津液”といいからだを潤す水の成分なので大量に発汗すると

津液が不足し、のどが渇き、汗とともに”気”ももれると

息切れし、脱力感、無気力、という”気虚”の症状もあらわれる

熱中症は”暑邪”のもたらす典型的な病態といえる

”暑邪”を治すのは難しくない

今日も数人の患者さんに”頭の熱を冷ます”処置をしたが

ほとんどは足の肝経の原穴「太衝」か「百会」に一本打つのみである

みるまに頭の熱が冷める患者さんが頭がスーとしたと喜ばれる

たった一本の鍼で・・・

癌と胃の気

癌と胃の気

最近は癌患者さんを診ることが増えてきた

多くの場合、抗がん剤を使っているのだが

初診で脈診をすると、胃の気が弱っていることが多い

胃の気とは以前もブログで解説したが

生命力そのものであって、癌細胞と闘うエネルギー(免疫力)なので

胃の気が弱ると、食欲が落ちて体重が減少する

この状態が続くと癌細胞に身体が負けてしまい予後不良になる

鍼を続けていると、胃の気の脈が強くなってくる

前立腺癌で抗がん剤のために体重が8Kg落ちた患者さんが治療を始めて一ヶ月で3キロ体重が増えた

胃の気が増して食欲が出てきたのだとても感謝された・・・有難いことであるし

希望が持てる、こころも安定する

あきらめてはいけない

北辰会

昨日は大阪で開催された北辰会の

臨床コースの勉強会に6人が参加した

師匠の藤本蓮風先生の講演、

空間論の実技講習など盛りだくさんで

収穫があり、早速今日から治療に取り入れている

東洋医学とくに鍼灸の治療はいかに寒熱、陰陽、虚実

の極めて微妙な変化を視覚、触覚で感じ取ることができるか

が腕の見せ所である、ある意味では職人技の領域に入っている

臨床22年まだまだこの東洋医学は奥が深い底なしの医学であると

感じる毎日である

日々研鑽あるのみ!

http://www.n-acp

頚肩こりといえども

アンデス山脈

70代の男性患者さん、慢性的な頚肩こりで苦しみ、整形外科、接骨院、鍼灸院、指圧、マッサージ
何をしても治療直後だけ良くなるが、すぐ戻って治らない
今までの鍼治療は鍼灸師が本人が訴える局所(頚肩)に鍼を打っていた
少し楽になっても翌日はまた凝ってくるという

1時間かけて問診、20分かけて体表観察、そして弁証(東洋医学の病名を決めるプロセス)
症は「肝陽上亢」と診たてた。左太衝に一本打ち、左肝兪に一本打った(頚肩のツボは使っていない)
頚肩こりを訴える部位の皮膚は発赤し、熱をこもらせていた。”清熱”の処置をしただけである

翌日から毎日続いてどんな鍼治療をしても治らなかった頚肩こりが治った
頚肩こりは患者さんが自分で思いこんでいただけで
実際には頚肩の筋肉は全く硬くなく、他覚的にも凝りはないのである
患者さんが訴えるから治療家まで頚肩こりと思い込み
局所に鍼をたくさん打つ、そこには医学的な検証も何もない
それを医学とはいわない

なぜ頚肩こりを自覚するのかを、東洋医学による診察をしっかりおこない
弁証論治(病名を決め、治療方針を立てること)ができれば、病を救うことができる

患者さんはとても喜び、痛みで苦しんでいる知人を紹介してくださった

月経と東洋医学その5

月経前症候群

月経が始まる3日~10日ぐらい前から決まって起こるさまざまな症状を

月経前症候群(PMS:premenstrual syndrome。月経前緊張症とも)」と言う

症状は落ち込み、イライラ、不安感、腹部膨満感、便秘、頭痛、乳房の痛み、むくみ、

食欲不振(あるいは過食)など多様で、

月経が始まると自然に治まったり、軽くなったりするのが特徴。

症状が軽い場合は、とくに治療の必要はないが、

仕事に集中できない、眠れないなど、日常生活に支障が出るほど症状が重い場合は

まず婦人科で、検査を受けたうえで、異常が認められなければ

東洋医学による治療をお勧めする。

原因は

1・お血 (血液の滞りで古い血が停滞する)

2・気滞 (ストレス・運動不足などにより、気の滞りがおきる)

3・肝脾不和 (ストレスなどで、肝の機能低下によって脾の働きが弱る)

4・血虚 (栄養の偏りや、胃腸の弱りによって、血が足りなくなる)

5・気虚 (気というからだの源のエネルギー不足)

6・気血両虚 (血虚と気虚が重なる場合)

原因によって鍼灸では使うツボが違い、経過もさまざまですが、

ピル等を使う前に、鍼灸で心身のアンバランスを整えることが大切です。

月経と東洋医学その4

初 潮 続き

初潮が大幅に遅れるケースや、成人になっても全くない、

あっても時々または、来たり来なかったりという場合は治療が必要

16歳までに初潮がない場合を初潮遅延

20歳までに初潮がない場合を原発性無月経という

西洋医学的には黄体ホルモンや卵胞ホルモンの分泌異常が疑われる

東洋医学では「血虚」「腎虚」によることが多い

「血虚」は血が不足した状態

多くは小中学校の運動部に所属し、毎日のきつい練習で「血」を消耗しすぎ

加えて、食欲不振で胃腸の機能低下で栄養の吸収が低下すると”血虚”が生じるので

お子さんの運動や栄養状態をご両親が注意することが必要

舌の赤みが薄く、眼瞼結膜が白っぽい、爪の色がピンク色でなかったりすると要注意

注)「血虚」とは血液検査での貧血とは少し意味が違います

「腎虚」とは胎児期に母体の栄養不足や、健康上の問題があると、”先天の腎気不足”

乳幼児期に大きな病気を患ったり、栄養不足などでおきる”後天の腎気不足”

下半身を冷やしすぎたり、疲れすぎても”腎虚”が生じ

いずれも初潮遅延や、原発性無月経の原因となる

このように初潮が遅れている場合は、”早めに”東洋医学による治療を受けることをお勧めする

安易にホルモン剤などを使うのはその後と考える

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月経と東洋医学その3

初 潮

今は小学校4年生ごろから初潮が始まる子供がいるが

6年生になると多くの女子は初潮を迎える。

女性のからだにとって、月経が始まるということは一大事である。

女性ホルモンが活動し始め、腎気が盛んになり気血が満ちてきた証拠である。

初潮が遅い場合は、気血不足、腎虚、脾虚が考えられる。

始まっても周期に乱れがある場合は

気血不足、肝鬱(ストレス)が原因となる。

初潮の状態を知ることは女性のからだを知る上で大変重要なのである。

続きはまた明日に

月経と東洋医学その2

小笠原の夕日

「素問」上古天真論より

「女子は七才にして腎気盛んなり、一四才にして天癸至り、
任脈通じ、月事以て時に下る、二一才にして腎気平均す
二八才にして筋骨堅く、髪の長極まり、身体は盛壮なり」とある

つまり、2千年以上前の中国の古典医学書には
14才くらいから月経が始まり、21才くらいで女性として
のからだがほぼととのい、28才くらいになるともう盛りだ、
そして、さらに35才ぐらいで腎気が衰え始め
42才ぐらいで髪が白くなり始め、49才で月経がなくなる、と書いてある。

つまり、女性の一生を七の倍数の年齢で区切って考えているのである。
このことは、平均寿命も延びた2千年後の現代でもそのままあてはまることは驚異でもある
(初潮の年齢だけは少し早まってはいるが)

女性の体の変化の流れは今も昔も変わらないのである
女性の体には一定の流れがあり、それを支配するのが月経である
続きはまた明日に

月経と東洋医学

女性は初潮から始まり

月経・妊娠・出産・閉経

というプロセスに伴う身体の変化が、

男性の身体と決定的に異なることは

今更いうまでもないが

東洋医学では二千年以上前に書かれた

医学書「黄帝内経」に詳細に記載がされている

月経の状態を詳しく診ることは

陰陽平衡の状態をたやすく把握できるのである

続きは明日

喘息完治

先週土曜日に2回目の治療をした

気管支喘息の中学生の女の子

3回目の来院

食後の咳は全く出なくなった

処置は右公孫に一本打っただけである

湿邪の停滞がなくなり、気の巡りがよくなった

完治である

内科的な治療には特に

一本鍼は著効を示すことが多い

舌の写真は1枚目が初診

2枚目が2週間後の今日の舌

舌の白苔が薄くなって、舌尖の赤い斑点(紅刺)が消えて

全体の赤みも薄くなって(淡紅色)いることが判る

自覚症状もなし、脈も良い、舌もきれいになっている

確実に病が癒えている

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