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扁桃体の暴走と、不平等社会がもたらすうつ病

10月20日夜9時から放送されたNHKスペシャル

「病の起源 第3集 うつ病~防衛本能がもたらす宿命~」を興味深く視聴した

http://www.nhk.or.jp/special/sp/detail/2013/1020/

■発症メカニズムを解明

その秘密は、意外にも5億2千万年前に誕生した魚の研究から明らかになってきた

魚でもある条件を作ると、天敵から身を守るために備わった脳の「扁桃(へんとう)体」

が暴走し、うつ状態になることが分かってきた

その発症メカニズムは、天敵に出合うと強いストレスホルモンが出て、

それが「扁桃体」の活動を活性化し、不安や恐怖の記憶として脳に残りやすくなる

それにより、天敵から身を守る行動に繋がり、生き残る確率を高めてきた

ところが、こうした不安や恐怖が長期間続くと、扁桃体が暴走を始めて脳が萎縮してい

き、魚でもうつ病になるというのだ

■背景に格差拡大と対人関係の複雑化

紀元前のメソポタミア文明で、人類最初のうつ病の記録が残っているという

富を持つ権力者が現れ、貧富の格差が激しくなったことが原因だという

今でも狩猟採集で暮らす原始共同体のアフリカのある部族

皆で協力して獲得した獲物は共同体内で”完全に平等”に分けられるという

この部族を米国の大学が調査した結果、うつ病患者はゼロで、

うつ病になる要素も非常に低いという結果が出た

発達した農耕民族はピラミッド型の階級社会となり

”完全な平等は”くずれ、上下関係が発生し不平等が生まれる

公平や平等というのは心の安定には非常に大事な要素

「立場の弱い人は常に強いストレスにさらされている」

比較的自身の裁量で仕事ができる範囲が広い専門職や技能職に比べ、

ノルマや上司の厳格な管理の下に置かれている

営業職や非技能職の職業グループの人たちの方が

うつ病が格段に多いという調査結果もある

■生活改善療法で薬漬けから解放

最後に、米国で最近注目されているTLCと呼ばれる生活改善療法を紹介

薬漬けにするだけの日本のうつ病医療に警鐘を鳴らしている

鬱病の症例

うつ病の症例

40代♂

主訴:不安感・気分が落ち着かない

   頭が締め付けられる
 
   眠りが浅く一日ボーとする

   記憶がとぶ

   食欲がない

現病歴:1年前から家庭内の問題でストレスが増える

    心療内科でうつ病の診断

    抗うつ剤・安定剤処方されるが主訴は変化がない

弁証:四診合参し”肝鬱化火”と診たてる

処置:左後谿に蓮風鍼3番で10分~15分の置鍼を

   週に2回続け、一ヶ月で主訴は軽減

   減薬をしつつ治療を続け、薬なしで症状は安定

   11回の治療で主訴は消失治癒

※ 適宜カウンセリングをしつつ薬物に頼ることなく早期に治癒に至った症例

うつ病対策

企業には「うつ病の予防」という視点と対策が必要

精神科医には、ばらつきの大きい治療法を改善していく仕組みが必要

精神科医療としてのEBMと、標準的な治療法の確立を目指すべきで

このような対策は国を挙げて整備し取り組むことが必要と強く感じる

うつ病患者を減らすには

「うつ病100万人時代」のいま

企業に加えて、精神医療界の対応が急務だが

日本の精神科医は8,000~10,000人いる、といわれるなかで

精神科クリニックが次々と開業し

あたらな抗うつ剤も開発されているのに

患者数は減らず、増える一方である

ある患者さんの言葉を借りると

「いい精神科医に出会うことがこれほど難しいとは思ってもみなかった」

いい精神科医とは

問診に時間をかけ、日常生活に関する質問が多く、

自分のことを理解してもらっていると患者が感じ

投与する薬物が最小限で、良くなれば減薬してもらえるような医師ではないだろうか

うつ病患者を減らしていくためには、企業と医療の両輪で

取り組んでいかねばならない

次回に続く・・・

とあるIT企業の例

社員数約2,000人と業界の中堅クラスのあるIT企業の実例

この会社では、うつ病など精神科疾患をもつ社員は常に存在する

一日中PCに向かい、納期が迫れば深夜残業は当たり前

静まり返った社内では会話の声は聞こえず

ただキーボードを叩く音だけ

隣の社員との会話はメールという職場

不調になりはじめるのは責任を持たされるリーダーたち

帰宅は常に深夜、土日も出勤

疲労とストレス、仕事のプレッシャーで不眠が続き、やがて動けなくなる

他部門との交流もないので、身近な人がうつ病で休職しても

それが全社的な傾向とは気がつかない

毎年200人以上の新卒者を採用し、それを上回る退職者が出て

補充するために途中採用でしのぐ自転車操業

これでは経営者は休職者へ意識が向かない

同業他社で、過重労働による体調不良で自殺した社員の家族が会社を訴え

1億円の損害賠償を命じる判決があった

他人事ではないと思ったトップが主導し対策に踏み切った

このように後ろ向きの対策が多いのが日本企業の現状である

明日に続く・・・

うつ病に対する企業の取り組み

労務行政研究所が2年ごとに調査する

「企業のメンタルヘルス対策に関する実態調査」では

メンタル不調で1ヶ月以上の欠勤・休職者が「いる」と回答した企業は6割を超えた

1千人以上の従業員規模では9割以上という結果に対して

300人未満では4割に過ぎない

大手企業ほど制度的に休職しやすい環境があり

規模が小さい企業ほど退職するケースが多い

実態は休職までに至らない人も含めれば

うつ病など精神疾患を抱えた社員は日本の全ての企業にいるとみるべきだろう

サラリーマンが企業に求めたいのは「働きがい・生きがい」だったのが

景気低迷で会社が求めるのは「効率第一主義」

そのギャップに耐えられない、割り切れない人が増えているようだ

今や企業にとって「社内うつの対策」は生き残り戦略に組み入れるべき

重要課題になっているのだ

次回に続く・・・・

 

うつ病100万人

2008年にうつ病患者が100万人!を突破した

働く世代に多いため社会的な損失は2兆7,000億円と試算されている

会社内のうつ病が特に増えている

日本の自殺者は2010年まで13年連続で年間3万人を越えた

自殺の原因はうつ病を含む病気と、経済苦が大半を占めるようだ

自殺の原因となるうつ病は全体の3割ぐらい

発症者の男女比は1対2で女性が多いが

自殺者は2対1で男女が逆転する

うつ病はいま働き盛りを強襲している

しかし、その現実に関心を持たない経営者があまりにも多いことが問題

明日に続く・・・

後谿穴の効果

飛騨の里 

後谿穴の効果

心神不安、抑うつ、不眠、うつ病などの精神科疾患に

後谿(こうけい)という手のツボをよく使う

安神作用として非常に優れた効果がある

7月21日のブログに

23種の薬を処方されているうつ病患者さんのことを書いた

鍼治療で体調がよいので薬の減量を主治医に頼んだが拒まれた

ところが、治療を始めて一ヶ月で

なんと22種類の薬を自分で減らしたのだ

それから3カ月、催眠剤を1種内服するのみで

体調はすこぶるよい

来院時にはいつも私にVサインをしてくれる(^^)/

この患者さんにも後谿穴を使った

ランナーズハイ

朝焼け

ランナーズハイ

5年前にうつ病発症した男性患者さん

鍼治療を2年前から始める

徐々に薬が減ってきた

数ヶ月前から”自分の意思で”ジョギングを始めた

5㎞を30分で走れるようになる

マラソン大会の参加をお勧めした

完走できるか不安を覚えながらエントリーした

10㎞ハーフで名古屋アドベンチャーマラソンに出走

1時間で完走した結果は

”ランナーズハイ”を経験したようだ

「みんなで走ることがこんなに楽しいとは思わなかった!」

と感動した様子、ランナーズハイという”特効薬”である

完走したことで持久力・忍耐力もついたはずである

職場復帰の強い追い風になることを期待している

うつ病治癒

京都のとあるお寺 筆者撮影

以前報告した牧師さんの経過

抑鬱症状、意欲の低下、強い不安感、不眠

全ての症状が2カ月の鍼治療で消失

結局抗うつ剤は使わずに目覚ましく元気になられた

本人曰く「意欲がでてきて、前向きに考えられる、不安感もない」

お血もなくなり、左の背部の強いこりもなくなった

今後は長期間内服している催眠鎮静剤(夜間1錠)を

治療を続けながら徐々に減量してクスリなしで眠れるように

導くことが必要、鍼治療をすればリバウンドもなくなる

ココロの病は増える一方

東洋医学で弁証して、一本の鍼を打つ

あとは自分の体が治してくれる

そして病の根本に本人が気付けば治癒する

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