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気逆咳

こんにちは、長岡哲輝です。

慢性的な咳が主訴の30代女性。

先週から風邪をひき、咳が増悪したとのこと。

風邪(外感病)の場合、咳、咽頭痛、鼻汁、悪寒などの症状が同時期に起こった場合を指します。

体表観察では、脈が浮いてきたり、ツボが発汗したりする反応を示します。

患者さんの訴えは「咳」のみ、体表観察では脈は沈んでおり、太衝や行間は実の反応。

よく問診を行うと、家庭でのストレスが長引いていて、精神的にとても落ち込んでいるとのこと。

この患者さんの咳は、東洋医学的に「気逆咳」といいます。

長期的なストレスは、気が滞るだけでなく、上に突き上げてしまう「気逆」という状態になります。

突き上げた気は、肺の機能を阻害して「咳」が出現します。

治療は、突き上げた気を引き下げる「行間」というツボに鍼をしました。

置鍼後、咳はピタッと落ち着き、気分もリラックスしたとのこと。

気逆咳に対して鍼治療は、即時的な効果を期待できそうです。

ゲップと期門

こんにちは、長岡哲輝です。

40代 女性

ゲップを主訴に来院中。

数回治療を行っていましたが、一向に改善せず。

体表観察で、右の期門に顕著な圧痛と実の反応あり。

1番鍼で10分置鍼したところ、ぴたっとゲップが止まり、抜針直後に排便もあり。

ゲップが治まっただけでなく、「刺鍼直後にのどや脇腹に響く感じがあった」とのこと。

普段常用しないツボのため、改めてツボの穴性を確認しました。

期門は足厥陰肝経の募穴です。

効能としては、疏肝理気、清熱肝胆、清血熱などですが、

期門は足太陰脾経との交会穴のため、脾胃の病(嘔吐、ゲップ、胃痛)などにも効果があるとの記載がありました。

また、肝経は側腹部を通り、のどをまとっているので

脇腹やのどへの響きがおこることにも納得しました。

つまり、この患者さんのゲップに関しては、

肝の失調(気のめぐりがスムーズでない状態)により

脾胃の働きが低下した“肝胃不和”であると考えられました。

「ゲップに期門」は、今後の治療の選択のひとつとなりました。

申脈の効能

足太陽膀胱経の申脈穴

陽蹻脈の主治穴

最近よく使うようになった経穴

おもしろい効果を体験している

五十肩

頑固な坐骨神経痛

長引く風邪

長引く咳

逆子

胆経、膀胱経に効くが

足の陽蹻脈の主治穴なので

表の陽気の不足を補うことで

風邪や咳、逆子が治ると考える

又申脈は神に通じて

精神的に不安定な場合に

速やかに効果を表すとされている

臨床的に非常に面白い経穴だ

照海の効能

陰陽のアンバランスで最も多いのは陰虚証

陰液が不足し相対的に陽気が多くなった状態

舌は紅舌、津液不足で無苔が多い

手足の火照り

口内乾燥し、進行すると盗汗(寝汗)

陰虚陽亢に至ると頭重、のぼせ、目眩など

虚側の「照海」を用いると

速やかに陰液が補われるので

口内が乾燥してバサバサしている人でも

10分ほどで津液が補われ潤い

内熱も速やかに冷めてくる

使用頻度がとても多い経穴

帯脈の効能

「素問」痿論篇には

陽明と衝脈と督脈、帯脈が密接な関係にあることが記述してある

身体の中心(臍)の横を帯が取り巻くように存在するので「帯脈」という

「帯脈」は空間を仕切る中で特異な存在

多くの経脈が縦方向に流注するのに対して

横に流れるということで異質

臨床応用として

腰椎椎間板ヘルニアの患者様

左SLR 60°(++)

左帯脈に50㎜2番鍼を10分置鍼

直後に左SLR 90°(-)

以後経過良好

慢性腰痛に対して「帯脈」はこのように面白い使い方ができる

後谿著効4例

後谿穴 手の太陽小腸経の愈土穴

主治:胆経腰痛、陽気の調節、心神を安定させる

今日の午後診だけで

後谿一本の鍼で著効を示した症例4名

①40台男性

主訴:うつ病

現病歴:仕事のストレスによって10年前から発症

抗うつ剤、精神安定剤、抗不安薬、催眠鎮静剤等を内服

主に左後谿の置針30分

週に一度の治療を半年間続け

意欲の低下もなく体調とても良好

薬も安定剤以外は内服していない

②40台女性

主訴:慢性腰痛

現病歴:家具作りの仕事で腰痛発症、慢性化した痛みが毎日続く

患側後谿15分全ての痛みはほぼ消失

肝鬱気滞による腰痛の典型的な症例

③30代女性

主訴:急性の頚部痛

現病歴:1週間前から急性の頸椎捻挫

患側後谿10分置鍼で全ての痛みは消失

育児の疲労や枕の不適切な使用による

督脈上の経気の停滞と考えられる

④10代男子

主訴:坐骨神経痛

現病歴:剣道全国大会小学生の部で優勝

連戦の疲れで坐骨神経痛発症

患側のL4椎間、秩辺・飛陽の鍼数回で

NRS10→0.5に軽減

今日練習再開し

NRS0.5→1.5に少し悪化

練習中止してすぐに来院

患側後谿10分置鍼で

治療後にブラガード(-)腰の前屈(-)

NRS1.5→0.0

トップアスリートは痛みにとても敏感

安神作用による有効症例と考えられる

以上後谿1穴著効症例

本日午後診の4症例

大巨で膝の激痛消失

久しぶりに来院された70代男性

左膝関節が歩いたり階段下りるときに激痛がするとのこと

膝関節を調べると水は溜まっていないが

屈曲で(+++)伸展(++)

内側マクマレーテスト(+)

空間診では患側の大巨に深在の軽い邪を認められた

左大巨に40㎜2番鍼で直刺10分間

2日後に再来院され

膝関節・屈曲(-)伸展(-)歩行痛(-)階段(-)

空間診を正しく弁証できれば

身体が自然に治してくれるということ

肝鬱による弱視に滑肉門

80代女性

緑内障による弱視

四診により肝鬱気滞・右上気の偏在が認められ

患側”滑肉門”に置鍼15分

ぼやけていた視力が回復し

20センチ離して見えなかった

カレンダーの文字が判別できるようになった

今後視力検査もしつつ経過を診ていきたい

肝鬱がらみで空間的歪みを整える効果を実感した症例

http:www.n-acp.com

内関の鍼

手の厥陰心包経の内関について

内関は非常に敏感なツボなので刺鍼には注意が必要であるが

巧みに使えばとても優れた効果を示す

長年患ったリウマチの為に要介護3の患者さん

内関にごく浅い鍼を打つと

寝たきりで心肺機能が低下し

深い呼吸ができなくなっていたが

逆流性食道炎の胸焼けがなくなるとともに

10数年ぶりに深く呼吸ができるようになったと大変喜ばれた

ついでに仙骨部にできた褥瘡には

銀の古代鍼で散鍼をし3回で発赤がなくなり

膿が止まり、皮膚の新生ができ早期治癒した事実に

訪問看護師は大層驚いていた

左公孫

40代女性

乳がん手術後のケアで通院中の患者さん

いつも一本の鍼で体中に気血が巡って

治療中に先生今日もすごかった!と感動される

今日は膝と背中の痛みで

左公孫に置鍼中に

右の背中の痛かったところまでまでビンビン気が巡って

痛みが消えました~すごーい!と感動

鍼は本当に奥が深くおもしろい