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胃の気の脈診

東洋医学の診察法で最も重要と言えるのは「脈診」である

左右の橈骨動脈の脈の状態を診ることで”生気の虚実”を伺う

脈を診ずして鍼を打ってはならない

脈診については解説すると一冊の本ができるので

ここでは重要なことを記する

”胃の気”を診ることができるのは脈診のみである

≪素問≫平人気象論

胃の気の有無は生死にかかわる

≪蘭室秘蔵≫脾胃論

胃の気の不足こそ百病の大元

≪医宗必読≫

身体を健全に養うには胃の気は不可欠

中国の古典医学書には多くの”胃の気”についての記述がみられる

巧みな鍼の技術は”胃の気を補う”ことで養われるともいえる

95歳の脳梗塞の患者さん

意識はなく医師はもっても2週間と言った

親族は葬儀の準備をしていた

脈診すると”胃の気”大いにあり

当分大丈夫と判断した

驚くことに1年たった今では呼びかけにこたえ、

車いすに座れるほどになった

もうじき96歳を迎えようとしている

脈診

20年来の患者さん

いつものように脈を診ると

沈虚の脈が浮緊となり所謂硬くて緊張した脈である

睡眠不足は? ない

何かあったんじゃない? 

旦那様が大工仕事で転倒して腰を強打

レントゲンでは異常ないけど時々電気があ知るほどの激痛が・・・

痛みをこらえて仕事に出ているという

心配事があるだけでも、脈はすぐ変化が起きる

ストレッサーが増えると脈診で判ることが多い

後谿に鍼を打ち、脈は緩んだ

あとは、けがをした旦那様の治療が必要

歯の健康と胃の気

多くの患者さんと接していると、比較的健康で丈夫なひとは

虫歯がなく、歯列の異常がなく、噛みあわせが正しいひとが多いことに気づく

きちんと食物が噛むことができないと、胃に負担がかかり

「胃の気が弱る」ゆえに身体の抵抗力が弱って病気になりやすい

健康の基本は正しい口腔衛生から始まる

「胃の気」については今までもこのブログで解説しているので参照してほしい

虫歯の放置は論外、噛み合わせの調整をしてもらい、

口腔衛生の指導がしっかりした歯科・矯正歯科を選ぶことが大切

胃の気の診方

金閣寺の紅葉 筆者撮影

胃の気の診方

昨日解説した「胃の気」の続きです

臨床では「脈診」で胃の気をうかがう

末期がん患者、急性期の脳梗塞、心筋梗塞など

治療に耐えうる状態か否かの判断

予後不良か否かの判断

治療が適切か否かの判断

「胃の気」の盛衰が大いに関わっている

 【症 例】

①抗がん剤で衰弱し骨転移したがん患者70代♂

 初診で脈診は胃の気が触れないが
 
 数回の鍼治療で脈有力になり

 胃の気旺盛になる

 結果食欲がでてきて、一ヶ月で3㎏体重が増えた

 今では食事が美味しく、食欲旺盛、排便正常

 「生きる希望が見えてきた」と本人家族より大いに感謝される

②脳梗塞で意識不明の95才の♀

 医師からあと2週間もたないと言われた

 脈をとる

 浮いて弦脈、胃の気おおいに有力

 意識はなくても当分大丈夫ですと伝える

 3ヶ月後に退院

 発症後4か月経過し、老健に入所となった

 現在胃瘻での栄養摂取であるが

 時折呼びかけに答えるようになった

 95才の年齢である、親族の気持ちは複雑な様子

③左脳梗塞60代♂

 医師からは半年は職場復帰はできないと言われた

 当初より胃の気旺盛

 井穴(指先の経穴)からの刺絡(血を抜く治療)を数回

 発症して1ヶ月後に退院、右の片麻痺なし、言語障害なし
 
 職場復帰を果たした

  
 胃の気を正確に知ることができると

 生命予後さえも知ることができる貴重な症例です

 

 

胃の気とは

京都・龍安寺「気通」の書 

「胃の気」とは・・・

我が師匠、藤本蓮風先生著「胃の気の脈診」より抜粋させていただきました

≪黄帝内経≫素問 平人気象論

胃の気の有無は生死にかかわる

≪黄帝内経≫霊枢 五味

五臓六腑はみな気を胃の腑から受け取る

≪蘭室秘蔵≫脾胃論 

胃の気の不足こそ百病の大元

≪医宗必読≫

身体を健全に養うには胃の気は不可欠

≪医方考≫脾胃論

脾胃、即ち胃の気は身体の大元

≪景岳全書≫

人身における胃の気のかかわりは大きく、先天の気すら補うことができる

≪医門法律≫

胃の気は身体の大元にして、腎の臓の先天の気も、これに従う

≪中国医学大辞典≫

胃の気とは胃の腑の働きであり、どのような疾病でも第一に大事とされねばならない

≪鍼道秘訣集≫

胃の気の有無は生死を決定する

≪脈法手引草≫

胃の気の有無は生死を決す

以上中国や日本の古典にみる「胃の気」の内容を集約すると

^澆竜い聾淆]紫ァ身体の大元である

胃の気の有無は生死を決定し、かつその盛衰は元気の消長でもある、
 それ故、胃の気とは生命力そのものである

0澆竜い鯀?させることが治療の基本である

た与箸砲論菘掘Ω綸靴瞭鷂亀い存するが、これらは相補性、相互依存性があって統一される
 だが、胃の気を増すことは、そのまま後天の元気、腎を強化することである

グ澆竜い箸蓮胃の腑(脾胃)の働きである

続きは、明日臨床例から平易に解説します

胃の気

”胃の気”とは

患者さんが、先生胃の調子が悪くなって”うつ”になることがありますか?と尋ねられた
とても良い質問なので解説をしたい

東洋医学でいう”気”にはさまざまな意味がある
先天的に持って生まれた気を”元気”という(原気・真気ともいう)
呼吸によっ肺から取り込まれる気を”清気”という
胃腸ので作られる飲食物から得られる気を”水穀の気”という

もうひとつ”胃の気”という大切な”気”がある
生命力があるかないか
自然治癒力があるかないか
この気は脈診によって伺うことができる
”胃の気”とは胃の腑の働きでありどのような疾病でも第一に大事とされるべきである
「中国医学大辞典」による

判りやすく言うと胃腸が元気で食欲があって消化吸収もよいと健康であるが
その反対は未病(病気になる前の状態)であって、五臓の気の弱りによって
あらゆる病の原因となりうる、ということなのである
冒頭の”うつ”にもなりうるのである

この夏何度もブログに書いたが、胃腸に負担をかけるような暴飲暴食や
冷たい飲み物の取りすぎは、夏バテを招き、秋になって心の病を呼び込むことが
あるので気をつけること・・・
毎日所謂”夏バテ患者さん”の治療は増える一方である

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