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癌と鍼灸

昨日は大阪で北辰会エキスパートコースにスタッフ3人と参加してきた

漢祥院の間質性肺炎・気管支拡張症・喘息などの

難治性肺疾患4症例の貴重な経過報告と弁証論治・治法・病因病理の解説

連風先生から癌についての解説はピリピリした緊張感に満ちていた

緩和ケアとしての鍼灸の介入ではなく

初期から中期の癌については完治を目指すと言い切っておられた

画像診断でがんが消滅した症例や、発症後5年以上経過良好な症例など

50症例の治療実績を解説していただき、大いに勉強になった

50年の臨床経験から”週に1回以上鍼灸に通っている人は99%癌にかからない”

という事実は、臨床25年の当院でも実感している

国民の2人に1人が癌でなくなるこの時代

予防医学として鍼灸はすごい力を持っていると確信している

混合診療におけるがんと鍼灸

昨日は福岡市で第1回統合医療支援セミナーを受講してきた

米国アリゾナ大学のDrワイル博士のフェローシップ2年間を終了した

織田聡先生による、鍼灸師を核とした”日本型統合医療”実現のための講義だ

1)統合医療概論

2)医師との連携の仕方

3)がんと鍼灸の3講義で

2)医師への紹介状の書き方や、3)がんと鍼灸は

日帰り九州する価値のある内容だった

がん患者さんへの鍼灸が介入するタイミングは

がんと診断されてから抗がん剤、放射線治療、手術の前後、ターミナルケア

あらゆる過程で鍼灸治療の介入は、患者さんのQOLを上げることが期待されているが

現在の医療システムでは病院内の鍼灸は認められていないのだ

TPP交渉で混合診療解禁を政府が決めようとしているなかで

ダヴィンチ手術のような先端医療に対しての検討は進んでいるが

鍼灸が病院で実費で受けられる(これも混合診療)ことは検討課題にないそうだ

この問題について織田医師は厚労省事務次官に直訴したとのこと

日本の医療改革が鍼灸にとって追い風になることを期待を込めて・・・

乳がん治療の副作用には鍼治療が有効

米国CNNや全米テレビ局が14年3月18日~20日付のニュースで

「鍼治療が乳がん治療の副作用改善に効果がある」と報じた

ニュースの元は医学誌「Cancer」最新号が掲載した

米国メリーランド大学医学部の研究チームによる研究結果

研究では、乳がんの化学療法によって起こるほてりや痛み吐き気が

改善することが明らかになったと報じられた

研究の主査は「今回の実験では鍼治療に副作用がほとんどなく、

ほてりと関節症状に十分な効果がある可能性が明らかになった」とインタビューに答えている

我々の臨床現場ではがん治療の副作用による吐き気や食欲不振、体重減少

痛みに鍼治療が有効であることは実証されているが

全米ネットワークのマスコミが取り上げたことは大いに結構

多くのがん化学療法や抗がん剤の副作用に苦しんでいる患者さんに知っていただきたい

抗癌剤副作用に対する鍼灸治療

70歳♂

主訴:抗癌剤副作用による食欲低下、体重減少、味覚異常、舌の痺れ、足底の痛み

腎臓癌により、右副腎と肝臓の一部摘出Ope

Opeは成功し、転移なし、腫瘍マーカー(-)

再発予防で抗癌剤を内服、副作用に苦しむが主治医は再発予防で必要との判断

滋陰目的で照海に置鍼10分~20分の処置を2カ月続け主訴は軽減、食欲出る

以降は胃の気を補う目的で、滑肉門に置鍼20分、足の三里に施灸

4か月目に主治医が減薬しても良いとの指示が出て更に体調が良くなる

治療開始して半年で4㎏体重増加、一年前に予後不良と言われていたが

旅行に行けるようになり、経過は極めて良好

抗癌剤は、食欲減退により胃の気が弱ることで

自然治癒力を著しく低下させる

免疫力を上げ、再発予防を目的とした鍼灸治療は

多くのがん患者さんを救うことができる

がん患者さんの治療

癌患者さんの治療をしていて思うこと

①癌細胞が消えているのに再発予防のために

抗癌剤を使い続け強い副作用で苦しむ患者さん

②放射線や抗がん剤を使っても癌細胞が全身に転移

痛みはあるが鍼で疼痛のコントロールができる元気な患者さん

①の症例は抗癌剤を使っていない期間の健康状態は極めて良好

胃の気の脈も有力、食欲もあり生活に困ることは無い

鍼治療にも良い反応を示し、免疫力を高めることが癌の再発予防となっている

②の症例は元々体力があるので、抗癌剤の副作用を自覚しない

胃の気の脈は有力、痛みは鍼治療で緩解するので、ペインコントロール

をしながら癌との共存を目指す

そこに東洋医学の介入する余地は大いにあり

がんは鍼灸治療の相対的適応症ともいえる

末期癌の「自然な最期」

日本人の3人に1人が癌で亡くなる時代

厚労省の調査では6割以上の人が、在宅での最期を希望しながらも

実際は病院で亡くなる人が8割近い

住み慣れた我が家で最期を迎える人はわずか15%に過ぎない

高齢者の末期癌についてある一冊の本が波紋を投げかけている

『大往生したければ医療と関わるな』幻冬舎新書 中村仁一医師著

京都の老人ホーム「同和園」付属診療所の常勤医として勤務して以来

7年間の間、癌で亡くなられた人の数は52名

抗癌剤、放射線は勿論、モルヒネを使わず『完全放置』した結果

全ての癌患者がモルヒネを使うような激痛を訴えずに亡くなられたそうだ

医療に頼らない「自然な最期」は驚くほど安らかなものであり

人間は本来安らかに穏やかに死んでいける力を備えているというのである

人の死と医療の関わりについて深く考えさせられた一冊である

興味をもたれた方は是非ご一読をお勧めする

大腸癌手術後の下肢の冷え

大腸癌手術後の下肢の冷え

60代♂

3年前の大腸癌開腹手術後より右下腿の冷えを強く感じる

Ope痕は臍から右に10cm横に横断

右肝腎経絡の不通と診たて

右大巨・右脾兪に鍼を置く

2日後再診で3年間続いた冷えは緩解

開腹手術の際に横にメスを入れることがあるが

筋肉を切断し、気の流れる通り道の”経絡”も切断される

よって手術は成功しても術後の後遺症が現われる事が多い

多くは下焦(下半身)の異常である

経絡の気の巡りが妨げられるので”気滞”が生じるのである

濾胞性リンパ腫

院内のポインセチア

濾胞性リンパ腫完治

50代♂

2年前に発病、抗がん剤内服で手足の痺れ

下腿の原因不明の発赤発症

1年前から鍼治療開始

半年間は週に一度の治療

後の半年は月に一度の治療

手足の痺れは消失

体調は極めて良好

最近のCT検査でリンパ節腫瘍の消失が確認

血液検査では全ての項目で正常値に至り

完治した。一本の鍼で・・・

前立腺癌

小笠原の夕日

前立腺癌

80才♂

前立腺癌の診断を受けて1年半、

抗がん剤、放射線は患者自身の判断で中止

女性ホルモン剤のみ内服し、鍼灸治療を続けている

経過は極めて良好

渓流釣りや農業に勤しみ、健康状態問題なし

PSA(前立腺癌の検査)が0.02上がっています・・・

と主治医が詳しい説明なく告げる

PSAは3.40が上限値

0.02が0.05に上がったところで誤差の範囲内

問題なしと説明し、ようやくいつもの少年のような笑顔に(^^)

主治医の説明不足である

他の血液検査の数値の説明も補足して

喜んでお帰りになった

東洋医学の治療家でも、最新の西洋医学知識は必須である

癌と胃の気

癌と胃の気

最近は癌患者さんを診ることが増えてきた

多くの場合、抗がん剤を使っているのだが

初診で脈診をすると、胃の気が弱っていることが多い

胃の気とは以前もブログで解説したが

生命力そのものであって、癌細胞と闘うエネルギー(免疫力)なので

胃の気が弱ると、食欲が落ちて体重が減少する

この状態が続くと癌細胞に身体が負けてしまい予後不良になる

鍼を続けていると、胃の気の脈が強くなってくる

前立腺癌で抗がん剤のために体重が8Kg落ちた患者さんが治療を始めて一ヶ月で3キロ体重が増えた

胃の気が増して食欲が出てきたのだとても感謝された・・・有難いことであるし

希望が持てる、こころも安定する

あきらめてはいけない