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腹痛・食欲不振・便秘の症例

腹痛、食欲不振、便秘などの機能性消化管障害に対して、
 
鍼灸治療が有効だった症例を紹介します。
 
 
症例 70代 女性
 
1年前ごろから徐々に胃腸の不調が強くなる。
 
内科で検査をうけるも、原因を特定できる疾患は見つからず。
 
食欲が低下してきて、半年で体重が10kg減。
 
現在の症状として、お腹の張り、すぐにお腹いっぱいになる、
 
便秘、排便すると楽になる腹痛、食欲不振がありました。
 
 
機能性消化管障害について その1
https://ameblo.jp/n-harikyu/entry-12571552169.html?frm_src=thumb_module
 
これらの症状から、患者さんは機能性ディスペプシアと、過敏性腸症候群の2つが併存している状態でした。
 
 
治療は、合谷、足三里を基本穴として
 
理気、健脾、活血化瘀など中医学的に見立てて、配穴しました。
 
 
経過
 
3診目で食欲がでてくる、お腹の張り、胃痛、便秘は変わらず。
 
6〜8診目、排便回数が増えて、硬かった便が柔らかくなってくる。
 
9診目 活動量が増えてお腹の痛みが気にならなくなるように。
 
11診目 今までは腹痛が起きるとロキソニンを服用していたが、服薬なしでもダイジョブ。
 
 
現在も通院中で、非常に経過は良好です。
 
 
 
食欲がでて、「美味しく食べられた!」ということが好循環になり、
 
排便、腹痛、お腹の張りなども徐々に軽減したと考えます。
 
 

 

灸頭針について

灸頭針とは・・・

皮膚に刺入した鍼の柄に、丸めたもぐさを差し込んで燃やす方法です。

もぐさは通常よりも燃焼温度の高い「粗悪もぐさ」を使用します。

輻射熱により広範囲・深部まで温めることができます。

灸頭針を使う目的として

1.冷えにより末梢循環障害が起こっている場合(東洋医学的には寒凝血オによる不通則痛)

2.深部組織の拘縮などにより痛みや循環障害が起こっている場合(五十肩の拘縮期など)

3.自律神経症状の改善(温熱刺激は自律神経の調節に有効)

など様々です。

夏場だと、クーラーの冷気で血液のめぐりが悪くなっている方や、

冷たい物の摂りすぎで、内臓が冷えている方にはぴったりです。

地域医療における鍼灸師の役割

在宅医療カレッジを聞いて、今自分たち(開業鍼灸師)が地域でできることはなにか?

今一度整理して考えたいと思います。

1.日常生活の支障になっている症状(疼痛、運動機能障害、精神機能、内臓機能など)
  
を軽減させる。QOLの向上を目指し、生きがいや目標を支える。

2.特に、高齢者の場合フレイル・サルコペニア、低栄養のリスクを早期に発見し、
  
悪循環に陥らないように適切に治療・指導を行う。
 
(食欲の改善、活動量低下の原因となる運動器愁訴の軽減、食事指導など)

3.地域の診療所、病院、地域包括センター、介護福祉施設と連携を図り、

鍼灸治療院のみでは対応しきれない患者を適切に紹介する、または在宅医療へ繋ぐ

4.在宅医療の現場で、鍼灸師が活躍できるしくみをつくる

5.養生(東洋医学的な健康観)の考え方を地域に広め、0次予防の意識を持つことで病気を予防する

鍼灸は、単に肩こり腰痛を治す治療法のひとつではありません

これからは、慢性疾患が増え、病気とともに生きる時代。

東洋医学、鍼灸の多様性を生かし、人々の健康を支える治療院を目指したいです。

解釈モデル

時に、治療者と患者の間で意思の食い違いや、考えに齟齬がある場合があります。

たとえば、患者側の「本当はもっと話を聞いてほしい」や

「他にも症状があるけど言い出せない」など、

あるいは、治療者側の「この患者は〇〇に違いない」や「あなたはもっと〇〇するべきです」など

一方的に価値観を押し付けたり、決めつけたりする。

このようなことは、治療者と患者の信頼関係を築く上で、妨げとなります。

治療者と患者の齟齬を少なくするために、「解釈モデル」という考えがあります。

患者が病気をどのように考えているか。

また、心理社会的背景を考慮しながら、「患者中心の医療」を行うための手法です。

Label   :何を一番問題と考えているか

Etiology :なにか思い当たる原因があるか

Timing :どのくらいの期間、問題を抱えているのか

Severity :その問題はどのくらいひどいのか

History  :何もしないとどうなりそうか

Effects   :その症状でなにが一番困っているか

Affect  :今、何が一番心配か

Rx   :どんな治療を希望しているか

これらの頭文字をとって「LET’S HEAR」とおぼえます。

これらの問いを中心に、患者と医療者の考えを一致させながら治療を行うことで、

良好な関係を築くことができ、トラブルを防ぐ事ができます。

反復、傾聴、支持・共感などの医療面接の基本を踏まえた上で、

「解釈モデル」を意識して問いかけることが、

「患者中心の医療」を実現させるためには必要です。

n-acp.com

医療におけるICTの活用

こんにちは、長岡哲輝です。

厚生労働省が、2036年の医師不足は2.4万人と言われており、

人口の少ない地方や、医療過疎地では特に医師の数が不足しています。

そんな中、ICTを活用した医療が徐々に普及し始めています。

 ICT(インフォメーション・コミュニケーションテクノロジー)

ヒトとヒト、ヒトとモノをつなぐ情報の共有技術のこと。

医療においては、オンライン遠隔診療があります。

僻地や医療過疎地など医療供給が行き届かないところに、

オンライン上で診察、検査、処方を行うのが「遠隔診療」です。

在宅医療の現場では多職種との情報共有ツールとして、医療介護専用SNSなどがあります。

また、高齢者の生活状況や活動状態をインターネットを通して見守るシステムもあります。

医療の担い手が不足する日本の現状において、ICTの普及により業務を効率化し、

人員不足の解消につながるのではないかと思います。

脊髄損傷(?)の症例

こんばんは、長岡哲輝です。

今日の印象的だった症例を紹介します。

50代 女性

主訴 両膝と肩の痛み

母指の動かしづらさを感じ、X-2年にK病院で脊髄損傷の診断を受けました。

その後、肩痛や膝痛が出現しましたが、医師から

「脊髄損傷は色んなところが痛くなる病気だから仕方ない。」

と言われたことから、「薬を飲んでも治らないだろう。」と思い、

服薬もせずに辛い痛みに耐えていました。

患者さんは、自分の症状を「脊髄損傷からきている」と思っていましたが、

診察をすると肩は「五十肩」膝は「変形性関節症」でした。

このように医師の言葉はとても影響力が大きいですが、

ときに医療に対する不信感や、不安を煽ることも少なくありません。

私達、鍼灸師はしっかりと患者の病態を見極め、適切な説明をすることも大切です。

「病を診て、人を診ず」という典型的な一症例でした。

患者との関わり方

こんにちは、長岡哲輝です。

水曜日に定例の院内勉強会を行いました。

今回の症例は、「咳」が主訴の30代女性の方でした。

問診をしていくなかで、持病の再発の不安、家庭内でのストレス、悩みを相談できない・・・

「咳」だけではない、様々な問題点が明らかになりました。

初対面の治療者に、自分の生活環境や家庭内の事情、精神状態について話すのは、

患者様にとって、とても勇気のいることだと思います。

私たちは、どんな治療者であれば病気で悩んでいる方の力になってあげられるのでしょうか。

鍼治療のスキルがあることや、診断力があることだけではなく、

また、「頑張りましょう」と励ましたり、「あなたの病気は〇〇が原因です」と

病気の説明をすることではないと思います。

「苦しんでいる人は、自分の苦しみをわかってくれる人がいるとうれしい」

という小澤竹俊先生の“援助的コミュニケーション”の重要性を改めて感じました。

鍼灸という力を借りて病気を治療していく過程には、「苦痛に寄り添い、支える」という

治療者の姿勢が、自然治癒力を引き出す力になるだろうと信じています。

軽い熱中症の疑い

通院中の80代の患者さん

電話があって

今日の昼から食欲なく

昼にキウイを食べた後に下痢

口の中がしびれる

身体がえらいのでなんとか診て欲しい

急遽来てもらう

脈診:浮弦数

舌診:紅舌厚い乾燥した白苔

上下肢躯幹どこを触れても熱い

BP168/81 P98 体温36.4℃

熱中症になりかけの状態

陰液不足で虚熱が亢進

滋陰清熱の処置

※この猛暑でもエアコンは使わず

扇風機だけで寝ている!

昨夜は暑くて汗をかき夜中に3回も着替えた

どうしてエアコンを使わないのかを尋ねたら

風邪をひくのが嫌で夜は使っていないとのこと!

水分も全然足りていない

高齢者は異常な暑さに鈍感になっている一例・・・

不明熱寛解

患 者:50代男性

主 訴:微熱が半年続く・両下肢がだるい

    
現病歴:X年2月頃から37.0℃~38.0℃の微熱が続き

    大学病院で精密検査を受けるが異常は認められない

    カロナール内服しても変化がない

脈 診:滑弦

舌 診:暗紅色・厚白膩苔

弁 証:湿熱内蘊

処 置:合谷、陰陵泉で清熱利湿をし、陰陵泉に左右整えの灸

養生指導:毎日摂取する2ℓの水分の殆どが
   
     ジュースやカフェオレ等糖分を大量に含む飲料と判明

     初診翌日から水とお茶に変えていただく

経 過:ジュース・カフェオレを止めてから下肢のだるさは半減

    微熱は数回の鍼灸治療で気にならなくなる

    下肢のだるさも消失

   
    肝欝と飲食不摂生が根本原因の症例

クリニック内覧会

近くに新規開業クリニックができ

内覧会があったので御挨拶に伺った

名古屋市天白区高島1丁目204

やすまよファミリークリニック

小児科と内科をご夫婦で診療されるとのこと

内科は漢方薬を積極的に処方されこともあり

鍼灸治療に理解があり

「連携できますね」と言っていただけたので

心強い存在になりそうだ

やすまよファミリークリニック

http://www.yasumayu.jp/